273Dead『生きている間は好き放題』
セリスターはそれを聞いて
「なんという事だ……こんな神に背くような言葉をあんな幼気な少女が語るなんて……」
と呆れていた。
それを聞いてアンジェリスは
「神? 神とは? あの神の事? 弱い人間が取り敢えず作った絶対的な存在? 何で人間が作り出しただけの存在が人間のやることに反対してくると考えているの? 私は科学を信じているタイプだから神を信じては無いかなあ……もし君の言っている神に背く行為なら神様はいったい私達に何の罰を与えるの? いつもいつもいつもいつも、殺人や病気や貧困や紛争を止めようとしないの? 助けようとしないの? もし貧困と病気をどうして人間に試練として与えるの? そこが意味わからないんだけど……試練と言うより完全に罰を与えているように思うんだよねえ……なのに本当の罪を犯した人間は何故かそういう酷いことになっていないと思わない? 殺人は罪を償ったように見せかけて名前を変えて顔を変えて幸せに暮らしている人間は普通にいるよ? そいつらこそ試練を与えればいいのに罪のない人間に与えてるよね? ハイ論破して見ろボケ!」
とセリスターに言い切った。
それを聞いたセリスターは
「神は誰も裁かない……裁かれるとすれば死んだ後だ! そして、生きている間はその罪悪感を感じて生きることが罪だ! それこそが生きている人間に与えられた罰だ!」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは嬉しそういに
「つまり! 死ぬまでは好き勝手やっても罪悪感を感じているだけでそれ以上の罰は与えられないわけだ! やったあああ! つまり生きている間に好き放題出来るってこと! やったああ!! それに! ここに居る皆は罪悪感がある?」
と聞くとレングレラは
「いえ……私は特に」
他のゾンビ兵も
「俺もだ」
「後悔はない」
「寧ろここまで自分に出来るなんて思ってもみなかった」
と言った。
アンジェリスは
「確か望もそうだよね!」
と聞くと望も
「うん、そうだな」
と言った。
アイザも
「俺も女を抱いて後悔はないぜ! 俺は金を払った! 後悔はない!」
と言った。
アンジェリスも
「私も後悔も無ければ罪悪感もないよ、まあレイビン家のやったことは神に対してでなく他の人に血筋か迷惑かけた事かなあ……でもみんな私に君は血筋だけで君自身が悪い事をしていないから気にするなって言った! だから私はもう後悔も罪悪感も持っていない! つまり! 地獄に落ちるまでに自分本位に生きることが大切なんだ! 誰も責任を感じることは無い! ありがとう! これで分かったよ! 神様は死ぬまで私達に手を出す事は出来ない! 罰を与えられる前にやりたい事をやってしまってもその後償えば問題ないわけだ! やったあああ!!」
と喜んだ。
それを聞いたレングレラは
「こんな小さな女の子が……ここまでその事を嬉しく思うなんて……」
と言った。
それを聞いて望は
「そりゃあそうだろ……こいつはずっと血筋で自分が悪いと思ってたみたいだし……それがこちら側が悪くないって言って上げるだけで気も軽くなるだろうに」
と言った。
するとゾンビ兵の一人が
「それを……あの姫とあの糞騎士のセリスターがお前はあの血筋と言って貶したよなあ……子供に対して……確か国にいた時……なんて国だっけ? まあいい……どうせ滅んだんだ……興味もない、しかし、あの男は……こんな子供に」
と言った。
それを聞いたアイザは
「ええええ! マジでえええ! 俺の事言えねえじゃん! 最低だな! こんな子供に悪くない子供にそんなことを! 引くわああああ!」
と言った。
だがセリスターと共にいた人たちは
「まさか……あんな子供の血筋が……俺達の家族を」
「許せない」
「っ返せええ! 俺の子を!」
「私の娘と息子を返して!」
「兄を返せ! 妹を返せええ!」
と涙を濡らして皆が絶叫する。
それを聞いてセリスターは
「聞いたか! レイビン家の子よ! これがみんなの思いだ! 貴様等はやり過ぎたんだ! 皆貴様の責任なんだ! それを何だ! 自分の良い方へと思い込みをするなんて! 貴様は自分の置かれている状況を分かっていないのか!」
と言った。
それを聞いたゾンビ兵は
「マジかよ……こいつ……さっき関係が無いって話を聞いていないのか……」
「こんな何もしていなかった小さな子に文句を言っても意味ないというのに……あいつに付き従う奴らも自分達の言っていることが分かっているのか……」
「相手は自分達が失った子供と同じ年ぐらいの子なんだぞ……しかもこの子は関与していないだろ! 望様!」
「ええと、確か邪魔だから日本に追いやられたんだっけ? 実験自体は妹を勝手に使われたらしいぞ? その上父親と母親は妹に付きっ切りで自分の相手もしてなかったし、妹が実験で殺されたと聞いて泣いたって話だったよ」
と言った。
それを聞いてレングレラは
「被害者じゃないか……それなのに」
と言ってこんな小さい子に責任を負わそうとするセリスターの勢力に対して嫌悪の表情を浮かべる。
すると
「ゾンビ共が! 人のマネごとをするな!」
「気持ち悪いんだよ!」
「今までお前等みたいなのに襲われたんだぞ!」
「その上俺等を酷使するなんて!」
とやはり怒りは止まらなかった。
アイザはそんなセリスターの勢力を見て
「俺はあんなイカレタ奴らと一緒に仕事していたのかよ……」
と口を手で押さえる。