269Dead『支配者の敵』
望は取り敢えず瑛代の席に座った。
「うーん……俺のガラじゃないなあ……やっぱりなんかこういう場所は居心地が悪いなあ……」
と言って悩んだ。
レングレラは
「我慢してください、望様」
と言って王者の椅子に座る望に言った。
望は
「はああ……あいつは本当に凄いなあ……王者っていつ殺されるか分からないのにあいつはあ……いつこの椅子から引き摺り降ろされるかもしれないのに……そうすれば努力が無駄になるかもしれないのに……どうしてそういう事が出来る人間はそういう事が出来るんだろう……」
と言ってため息を付く。
レングレラは
「望様は……どうしてそういう夢を持つことは無かったんですか?」
と聞いた。
望は
「そうだなあ……俺が努力が嫌いだからだ……夢を持つってことは努力をしないといけない……だから夢を持とうと思わない……ある意味ゾンビになるのも夢かもしれないが……それは努力というより噛まれれば終わりだと割り切っている部分があるから努力と言うより……諦めの頂点かな」
と言った。
レングレラは
「望様……気持ちは分かりますが努力も悪いものではないですよ……例え敵わなくても積み上げた物は無駄にはならないと思います」
と言った。
それを聞いて望は
「そうだな……無駄にはならない……自分の目指した夢には到着しなければ別の夢を見てそれを叶えるのに無駄にならないかもしれない……だけどなレングレラ……違うんだよ……俺と瑛代にとってそれは……」
と言った。
それを聞いてレングレラは聞いた。
「違うとは?」
と、望は言った。
「俺等家族って結構不器用なんだよ……俺は死かゾンビという諦めを見ている……そして、瑛代は世界を取ることしか考えてないんだ……その一つの夢が潰れる瞬間瑛代は死ぬ……そんなギリギリの一つの縄を辿って手繰り寄せてなとしてでも世界を手に入れようと考えているんだ……それ以外の夢を見たいとは思っていない……その夢以外は欲しくないんだ……他の選択肢を捨ててでもその世界を取りたいという思いは捨てられない……それが切られても奴は切られた先を掴んででもその夢を諦めない……そして、もし敵わなければ特攻するぐらいの覚悟を決めてるんだよ……」
と言った。
レングレラは
(確かに……こんな世界になって世界を手に入れようとすることは……こんな世界にしたレイビン家つまりはゾンビ共と命を張って戦う事……もしこんな世界になっていなくても政府と戦う事になっていたはずなのにそれが壊されてしまっても、その切られた縄を無理矢理引っ張り張り付いてでも取ろうとしている……)
と考えた。
望は
「こんな世界になってチャンスだと思うのは奴だけだよ……妹だけだよ……だってあいつにはそれしか見えていない……だからこんな状況で助かろうじゃなくて世界を取ろうに考えを向けていた……だから今この国があるんだよ……この国は瑛代の世界を取る道だからな……取り敢えずお願いされたらお兄ちゃんは妹の夢を守ってやるぐらいしかできねえし……それが終われば俺も自分の夢に集中できるしな」
と言った。
レングレラは
「望様は……瑛代様の事が好きなんですね」
と言った。
望は
「いや……嫌いだよ……だけど親の言いつけは守らないとな……家族は大切にしろって言葉だけは守ってるよ……一応は」
と言った。
レングレラは
「とにかく……今は何とか瑛代様が帰るまでここをよろしくお願いします」
と言った。
望は
「分かってるよ……全く……重い任務を与えやがって……はあ」
と言ってため息を再び吐く。
すると
「大変です! 外に! 国の外に人が! 集まっています!」
と言った。
すると望は
「出たよ……支配者の宿命の敵……正義のヒーロー達が……あいつはこれを知ってなのかそれとも適材適所だと思ったのか……どんな方法でもいいから対処するから……なあ……」
と言った。
するとレングレラは
「何で正義のヒーローだと思うんですか?」
と聞くと望は
「大体国を牛耳ると必ず不幸な者も現れる……誰かが痛い目を見る事はもはや宿命と言ってもいいぐらいに収まることは無い……平等って言葉は絶対に無いんだ……だがそれを許さず皆を守ろうとする者は正義と言わず何だと言うんだ……俺はその名前しか知らない……」
と言った。
そして続けて
「そして、支配者を倒そうとする正義を迎え撃って倒さないいけないの瑛代だ……悪い人間も含めて正義人間も含めて倒さないとこの世界はあいつの者にならないからなあ……今はどこにいるのやら」
と言った。
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瑛代は鉱石場にいた。
「ふむ、やはり隕石が落ちているなあ……沢山……恐竜時代にも一度落ちたんだ……そしてこの草は……聖草……お遣いはこれで良い……」
と言って笑った。
瑛代は
「支配者の辛いところは、正義も悪も倒さないといけないところだ……そして、その菌を触媒として……我が国の者を進化させて兵士を強くしないとな……そして私も……」
と言った。
京は
「そうですね……私はどこまでもついて行きます」
と言った。