263Dead『臭い飯』
奈々子は
「ハハハハ!! 良いね! 楽しみだなあ!」
と言って何かを作っている。
トーラスは
「おい! この二人は関係ないだろ! どうしてアルマの弟と妹を独房に入れるんだ! 俺とアルマならともかく!」
と話し掛ける。
すると奈々子は
「……お前等……不法入国って知ってる? それが犯罪であることも」
と作るのを止めず片目だけが見えるように後ろを向いて話す。
トーラスは
「ふっ不法入国だと! この二人はちゃんとした手続きでこの国に入ったんだぞ! それを犯罪だと! ふざけるな! 散々お前等が庇っている男はちゃんと手続したと言っておきながら! 自分達だけは特別扱いか!」
と怒鳴る。
奈々子は
「フーム……確かに望さんやその同行者はこの国に特別に招かれた……そういう意味では特別扱いだという事は分かる……でもさっきの話でその二人がちゃんとした手続きをしたかどうかとなると……残念ながら不成立になる」
と言った。
トーラスは
「な! なんでだ!」
と叫ぶ。
アルマも
「そっそうよ! 私はちゃんと二人分のお金を払ったわよ!」
と同じく言い返す。
すると奈々子は
「フーム……分からないのかあ……何て頭の弱い人達……アルマちゃんだっけ? 君はどんなお金を使って二人を国に入れたのかな? 分からないとは言わせないよ? そして、トーラス君……君はどんな方法でお金を儲けた? 分からないとは言わせないよ?」
と二人に質問する。
アルマは
「そっそれは……」
と答えに迷っているとトーラスは
「二人とも働いてだ! そうやって必死に働いて稼いだ金なんだ!」
と先に言い返した。
奈々子は
「フーン……抱かれることを拒否って勝手に持って来たお金は必死になって働いたお金か……てっきり必死になって盗んだお金だと思っていたよ……鉱物を勝手にくすねて他のところに売ってお金を儲ける事が必死になって働いた……滑稽だなあ……それはちゃんと働いていることにはならないよ……会社で言うところの横領だよ横領……それって犯罪だよね? そんな犯罪で稼いだお金をこっちがきっちり理解している上でそれをちゃんとしたお金として取り扱う事はしてないよ」
と言った。
トーラスは
「!! な! まさか!」
と驚く。
奈々子は
「ううう?? それはどっちの驚き? まさかバレてないと思っていたの? 鉱物の発掘の量が少なくてどうしてかなんてすぐに調べれば分かる事だよ……しかもそれ君何度もやってるでしょ? そりゃバレるでしょ? 取り敢えずバレた瞬間一応は国に入れる者のすぐさま国で逮捕するために入れるようになってるから……二人共おお……ここに入ってきた場所は私のところだよねえ」
と言って奈々子は笑ってジェシカとライドの方を見る。
2人は
「……はい」
「……糞」
と悔しそうにする。
アルマは
「そっそんな」
と言って涙を流す。
奈々子は
「この子達を犯罪者に仕立て上げたのは私達ではないよ……君達自身だよ……君達は正義っぽい事をやったつもりだろうけどそれはただの犯罪だからそうなった……この子達はこれから刑を受ける……二人の未来を閉ざしたのは君達……いや、レード君も合わせて3人だな! フフフフフ!! ハハハハハ!!」
と笑う。
それを聞いて
「糞おお! 出せえ! っここから出せええ!!」
と言って牢屋の鉄格子を
バンバン!!
と叩きつける。
奈々子は
「取り敢えずは2週間拷問に準備は掛かるからそれまでははい! 今日のご飯!」
と言って皿を人数分渡す。
そこには肉が入っていた。
奈々子は
「奈々子特性臭い肉料理!」
と言って笑う。
それを聞いてジェシカとライドは
「う!」
「ほ! 本当に臭い!」
と鼻を摘まむ。
アルマとトーラスもその匂いに少し怯んだ。
そして、
「プラスう!! スープだよ!!」
と言ってスープの入った器を人数分渡した。
そして
「さ! ちゃんと食べてね!」
と言ってご飯の時間にする。
奈々子は笑いながら眺めている。
4人は
「たっ食べましょう」
「そうだな……こいつらとはいえ飯は大切だ」
「でも臭い」
「うん」
と話す。
ジェシカとライドが嫌がるがアルマは
「わがまま言わないで」
と言った。
トーラスはこそッと
「逃げる時に体力がないと逃げれないぞ」
と言って二人を説得する。
ジェシカとライドは
「分かった」
「食べる」
と言って自分の分のお肉とスープを食べていく。
奈々子は
「さ! 二人共! ちゃんと食べてね!」
と言って部屋を出る。
2人は奈々子が出て行った後
「俺等も食べよう」
「そうね」
と言って出されたご飯を食べて行った。
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こうして2週間ちょっとの日数が経った。
刑の時がやってきた。
4人は牢屋から出される瞬間奈々子を殴るか、押さえ込んで何とか弟と妹を脱出を図っていた。
そして、奈々子がドアを開けて入ってきて。
「お待たせ! 待ったかな!」
と笑顔でバッグを置いた。
鍵を持ち牢屋に近づく。
すると奈々子は
「そういえば! 私が作った料理ちゃんと食べてくれてたけど……美味しかった?」
と質問する。
鍵は穴に入れたまま止まる。
トーラスは
「はあ……何だいきなり」
と言った。
奈々子は
「うううん……わざと臭い飯作ったけど……さすがにお前等でもまずかったのかなって思ってさ!」
と言っておちょくる。
それを聞いてトーラスは
「フン! あんなぐらいの飯! 普通に食べれたさ! 味だって美味しかったぞ!」
と対抗するように言った。
アルマも
「はい……美味しかったです」
と言った。
ジェシカとライドも
「最初は臭かったけど食べたら慣れた……お前の思惑通りにはならなかったぞ!」
「うん! 寧ろいっぱい食べれたんだもん!」
と言った。
トーラスは
(フン、今の内に油断していると良い……今お前が用意した料理を食べていたお陰で大体の体力も力もある……肉料理を作ったのが間違いだったな! 今の俺ならお前程度倒せる!)
と意気込む。
それを聞いて奈々子は
「良かったああ! 美味しかったんだ!」
と言って鍵を
ガチャ
と開ける。
トーラスは
(まだだ! 今飛び出たら鉄格子でガードされる! まだ行くなよ俺!)
と自分を言い聞かせる。
そして奈々子は
「きっと彼も喜ぶよ」
と言った。
その言葉に違和感を覚えた。
アルマは
「……彼……どういう?」
と疑問に思い嫌な予感はしたが聞いた。
すると奈々子はニヤッと笑って
「もちろん」
と言いながら近くにあったクローゼットを開けて服とズボンを出して床に落として
「彼の事だよ」
と言った。
その服とズボンを見てアルマとトーラスは真っ青になった。
その服とズボンは最後に見たレードの服そのものであった。
臭いもその当時のレードと同じ匂いがした。
あの懐かしい匂いだった。
ジェシカとライドも見覚えのある服を見て
「あああ……ああああああああ」
「そんな……嘘……レードお兄ちゃん」
と震える。
アルマは
「いやあ……いやああ……いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
と言って
「おうえええええ!!!」
と胃液を吐き出す。
奈々子は
「ハハハハ!! 出しても遅いよ! もう君達の体に蓄えられているよ! その為の2週間なんだもん!」
と言った。
それを聞いてトーラスは
「ふっフふざけるな……そんな……ふざけるなああああ……なんてことを……」
と言って震える。
すると奈々子は
「はい! 一人確保!」
と言って初めに妹のジェシカを捕まえる。
「嫌ああああああああああああああああああああ!! 離してえええええ!」
「しまった!」
と動揺していたトーラスは鉄格子を開けた瞬間を逃してそのまま妹を取られた。
その上すぐに鉄格子を
ガシャン!
と閉められて、鍵を掛けられる。
それを見てトーラスは
「この! 狂人があああああああああああああああ!! 出せえええええ!! ここからああああ出せえええええ!!」
と大声で叫びながら鉄格子を
ガシャンガシャン!!
と揺らす。
奈々子は
「ハハハハハ!! 良かったね! レード君! 美味しかったんだって! ちゃんと食べて貰えて良かったね!」
と言って笑顔で言う。