240Dead『兄妹風呂』
そして、アンジェリスは
「えっと……貴方達の国に行く事なんだけど……ちょっと疲れてるし明日でもいい? 色々と話は聞きたいけど……さすが今は……」
と少し残念そうに言った。
それを聞いて瑛代は
「いいよ! 明日ね! じゃあ今日はここに泊っていい? 私もここでお兄ちゃんと一緒に泊るよ!」
と言って笑って答える。
すると誠子は
「じゃあ明日の為にまずはアレックスさんと光子ちゃんに話をしましょうよ!」
と言って鼻血を出しながら荒い息をする。
望は
「取り敢えず今から行かないんだったら今日は休むは……なんか乗り物酔いとかでしんどい……」
と言った。
それを聞いて和子は
「お風呂ぐらい入ったら? 臭いよ」
と言って注意をする。
それを聞いて望は
「分かった……取り敢えず風呂入って何か食っていい?」
と言ってベナに確認を取る。
ベナは
「まあ普通にそれはしてもいいんだけど……許可とかいらないから」
と言った。
それを聞いて望は
「じゃあ先にお風呂に入ってくる」
と言って風呂場へと望は向かった。
瑛代は
「じゃあ私は!」
と言ってそのまま望の方へと走っていった。
アンジェリスは
「……まさか一緒にお風呂に入ろうとしてる?」
と疑問に思う。
和子は
「さすがにそれは……もう高校生だし……一緒に入るのも嫌がる年じゃない?」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「うーん……どうだろうか……瑛代ちゃんだし」
と言って悩むが
「そうだ……」
と言ってアンジェリスも瑛代の後を追った。
それを見てレベッカは
「……え……ちょ! アンジェリスちゃん!」
と手を伸ばすがそのまま走っていった。
ベナは
「まあいいんじゃない」
と言ってレベッカと止める。
レベッカは
「いや! さすがに!」
と言うが
「あの子もあの子なりの考えがあっての行動だと思うわよ……もし一緒に入るならそれなりの理由があるんじゃない?」
と言った。
それを聞いてレベッカは
「……まあそうなんだろうけど……」
と少し心配そうに見る。
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望は大浴場にタオルを巻いて入ろうとすると
「お兄ちゃんマナー違反!」
と言って後ろから濡れタオルを叩きつける。
「うご!」
と変な声を上げて瑛代を見る。
「お前なア……まあ俺が悪いけど……」
と言ってタオルを頭にのせてそのままお風呂の入る。
瑛代も
「ふー」
と言ってお風呂の入る。
望は
「で? 俺に何の用だ? お前が俺と一緒に入るときって何かあるだろ?」
と言って瑛代を見る。
瑛代は
「そうだね……そのつもりで来たかな」
と言った。
望は
「ふーん……で? その表情だと何か報告か?」
と聞いた。
瑛代は
「正解!」
と言って笑う。
望は
「……まあちょっとは予想出来るよ……俺にも物凄く関係がある事だろ? 家族の事……つまり俺とお前の父親と母親だな……家族に対しては世界と取る為に利用はするがそれでも家族は大切にするからな……現に俺の事は見下すがそれでも俺の命を守るつもりなんだろうし……」
と言った。
それを聞いて瑛代は
「お兄ちゃん……」
と言って涙を流す。
望は
「はあ……言えよ」
と言って呆れながら瑛代の頭を撫でる。
そして
「わたし……お父さんとお母さんの死体……見ちゃった……ズズ」
と鼻を啜る。
望は
「そうか……」
と言って少し寂しそうにする。
望は
「はあ……それを知る前に俺はゾンビ化したかったぜ」
と言って頭を抱える。
瑛代は
「だから……私はお兄ちゃんだけは生かすつもりだよ」
と言う。
それを聞いて望は
「いや……お前学校で俺を助けようと思ってないんじゃないのか? 絶対に来なかったろ?」
と言った。
瑛代は
「大丈夫……お兄ちゃんの思考パターンは私結構分かってるつもり……そして、お兄ちゃんは自分の目的に進めば進むほど空回りして叶えられない……だから私が助けるよりその方がお兄ちゃんが生き残る可能性は高かったから一番いい判断と自負してる」
と言った。
望は
「もし死んでたら? もしくはゾンビ化」
と言った。
瑛代は呆れながら
「大丈夫……それは絶対に無い……お兄ちゃんに限ってそれだけは」
と自信満々に答える。
望は
「お……おう」
と反応する。
そして、瑛代は
「それに私がどうにかしようとすると逆にお兄ちゃんの命がヤバかったと思うよ……こっちとしても生き残る為の準備は進めたかったからね……なんせいきなりだったから」
と言った。
望は
「まあ……そうだけど……」
と言ってちょっと疑心を持って瑛代を見る。
瑛代は
「まあ……事が起こった瞬間に私は監視カメラで気付いて行動出来たけど……それでもお兄ちゃんの教室まで行くのにかなりのリスクがあった……それにお兄ちゃんの行動の把握は携帯出来たし……それほど心配はないと確信していた……」
「スゲええな……お前にとってお兄ちゃんって何なの??」
と聞くと瑛代は
「凄い馬鹿だけどそれが変に役に立ったりするイレギュラーなスペックな人間」
と言った。
望は
「はあ……そうすか」
と呆れる。
瑛代は
「さて! ここからは私の生き残りの物語!」
と言って笑顔で回想に入る。