229Dead『原点』
6人は何とかその場から逃げて薬を探した。
「あああもおおおお!! まさかドイン・ダンドリーの体を乗っ取る椅子があるなんて!! さっきまで無かったのにいいい!! 絶対に後で出したでしょ!」
とアンジェリスは文句を言っていた。
和子は
「まあ過ぎてしまったことは仕方ない……かな……アガストがあの体を使いこなせるかも分からないし……何とか罠に嵌めて殺せるかもしれないよ!」
と励ます。
アンジェリスは
「確かにそうかもだけどおお……光子ちゃんはどう思う?」
と聞くと光子は
「……」
と黙ったままであった。
剣子は
「光子ちゃん?」
と聞くと光子は
「! ごめんです……ちょっと気になってです……」
と言った。
すると
「あった! あれの事!」
とレベッカは指を指した。
アンジェリスは
「あ! それそれ! とにかくそれを持って行きましょ! まだここまで来るのに時間は掛るだろうし!」
と言って薬を取ろうと部屋に入る。
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望は
「畜生が……この糞犬……」
と俊敏性犬を睨む。
俊敏性犬は
「ぐるるるん」
と寂しそうにする。
すると望はある物を見つけた。
「ああ!! 充填式ドライバーだあああ!」
と言って落ちているドライバーを指さした。
望は
「きっと俺の目から落ちたんだ! 良し! 刺そう!」
と言って拾いに行くが
「ガルン」
と俊敏性犬の鳴き声と共に
バギイイイイ!
と充電式ドライバーは粉々になった。
「……お前どうやったらそんなに早く動けるんだよ……」
と言った。
そして、望は
「まあ仕方ない……どうせ死んでも光子の能力で俺は死ねないみたいだし……魂を再生するまで固定されて俊敏性犬が俺を復活させる……そう考えると死ぬのはもはやリスクかもしれない……かなり痛みは慣れたが俺自身が別に痛みが欲しいと思っているわけではない……ならば!」
と考えると望は
「……原点! つまりは俺の原点! 原点こそが俺に必要な事!」
と言った。
俊敏性犬は
「グルルン?」
とキョトンとする。
そして、望は
「つまり! ゾンビ化! 最初に目指していたゾンビ化! それこそが俺の望みを叶える一番大切な事! 俺が目指すのはこの世界から逃げ出す事! 死ぬ事も視野に入れて考えていたがやはり! ゾンビ化! 俺がするべきことはゾンビ化すること! そして意識を失う事! うむ! やはりそこが一番大切な事!」
と最初に目指した原点を思い出してそこを目指すことを決めた。
そして
「良し! 行くか!」
と言って死ぬことを一旦呆れめてゾンビ化の為に再び望は歩き出す。
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アンジェリスは部屋に入って
「取り敢えずここの暗証番号を」
と言って目の前のモニターに数字を入れる。
その数字番号を見て和子は
「うわああ……さっきの番号と変わらない……生年月日を使ってるんだね……」
と呆れていた。
剣子は
「……さっきも希咲がおかしいって言ってたけど……生年月日だとダメなのか?」
と不安そうに言った。
和子は
「剣子ちゃんも生年月日はなんだね……まあ今じゃお金なんて意味ないし! 盗まれても大丈夫だって!」
と言った。
剣子は
「そっそうだな……うん……そうだ……はあ……お年玉使っとけばよかった……小さい頃からためてたんだよなあ……本当……大人になった自分の為に……」
と少し悲しそうに言った。
和子は
「大丈夫……私も貯めてたタイプだから……」
と言って二人は手を握り合う。
そして
「良し! これで薬が……」
『鍵を使ってロックを解除してください』
と機械音でアナウンスされて鍵穴が出てきた。
アンジェリスは
「……何でいきなりアナログ! おかしいでしょ! さっきまで電子機器だったくせに!!」
と文句を言った。
アンジェリスは
「ていうかアガストお前! 電脳人間だろうが! どうやってアナログ鍵を使うんだよ!!」
と文句を言って地団太を踏んで怒った。
すると和子は
「希咲のピッキングが役に立つんじゃない? もしくは鍵を探すか……」
と言った。
剣子は
「近くの部屋見て来るよ」
と言って出て行った。
アンジェリスは
「まあいきなり希咲が来るかどうかも分からないし……取り敢えず近くの部屋を探そうか……」
と良いって5人も部屋を出て探し始めた。
そして、数分後
「見つけた?」
とアンジェリスは皆に聞くと
「いや」
「無かった」
「見つからん」
「無かったです」
と和子、レベッカ、アレックス、光子は言った。
剣子も
「部屋はめちゃくちゃ散らかっていた上に鍵もなかった……無駄な労力で散らかった部屋を散策したよ」
と疲れた様子であった。
アンジェリスも
「私もなかった……はあ……」
と言って頭を抱える。
すると
「あれ? 何してるの?」
と望が俊敏性犬と一緒に部屋に入ってきた。