216Dead『待て』
望は数分程度俊敏性犬を走らせて
「良し!! ここで待てだ! 出来るな俊敏性犬!! いいな!!」
と俊敏性犬に言い聞かせる。
俊敏性犬は
「ガウン!」
と何か納得したように吠える。
望は
「よし! 待て!」
と言って俊敏性犬をその場で止まらせる。
そして
「よし! そこで待てよ! 絶対に待てよ!」
と言って後ろへと少しずつ移動する。
「待てよ! 絶対に待てよ!」
「ガウン!」
と本当にその通りにして俊敏性犬は動かないようにした。
望は
「!!」
と今だと感じてすぐさま走り出す。
俊敏性犬は
「……クウウン」
と少し寂しそうにしながらその場で動かずに待った。
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そんな中6人は研究所内を移動している。
アンジェリスは
「奴は……アガスト・レイビンは生まれた時から体が弱くてすぐに病気になっていたわ……」
和子は
「病弱だったってこと? 今は……もしかして」
と言うとアンジェリスは
「そう、自分を電子世界にコピーしてその中で生きている……肉体は冷凍保存しているけど……」
と言った。
それを聞いてアレックスは
「肉体を殺しても無駄ってことか?」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「そうね……だからこの研究所の電子機器を全て壊すことがこの研究所の機能をストップさせることが出来る……研究所を壊した後薬を手に入れればそれでこっちの勝ちよ」
と言った。
剣子は
「でもそれじゃ奴は別の場所へと送信されるんだろ? それじゃ知識は奴の知識自体は残るんじゃないのか? そうなると意味がないんじゃ……」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「そうね……でもここの施設を破壊すればここでの研究自体はストップ出来るわ……少しでも奴らの施設を破壊していた方がいいと思うわよ……」
と言った。
すると光子は
「ならばこのゲーム機が役に立つかもしれないです……」
と言って携帯ゲーム機を取り出した。
アンジェリスは
「……それ……まさかあの時捨てたゲーム機?」
と聞くと光子は
「そうです! 電子世界には呪いなんてないでしょうです……でもこれは! 電子世界にこのデータを送り込めばきっと飲み込まれてただでは済まないです!」
と言った。
アンジェリスは
「それ……私達には大丈夫?」
と聞くと光子は
「大丈夫です……光子が制御しているです……何に問題ないです!」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「おっおう……それは良かった……」
と言って少しゲームから視線を逸らす。
すると
『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』『なの!』
と再びあの怖い声が聞こえてアンジェリスは
「うわああああ!!」
と普通に驚く。
和子は
「っだっだだ大丈夫? アンジェリスちゃん……」
と心配そうに聞いた。
アンジェリスは
「うん……大丈夫……」
と研究所内を散策する。
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そして、ガバントは
「ドっどこまで続くんだ……かなり進んだはずなんだが……」
と息を切らせながら歩き続ける。
熱帯雨林として作られているせいか暑さと湿気でかなりの体力を奪われていた。
だがガバントはそれでも歩き続けるしかなかった。
大切な人を助ける為に、
ガバントがカルメリーナと出会ったのは幼少の頃であった。
彼女はガバントの許嫁であった。
彼女との出会いは親同士の友好関係によっての食事の会であった。
「やあ! ロウバサ! 久しいじゃないか!」
「ガナルドも! 久しぶりですな!」
と二人の父親同士が挨拶をした。
ガバントはガナルドの後ろの隠れていた。
すると一人の少女がロウバサと呼ばれる男の後ろから出てきた。
そして、すぐに前へ出て
「どうしたの! 緊張しているの! 大丈夫! 一緒に遊びましょう!」
と言って手を引っ張った。
それを見てガナルドは
「はっはっは! 元気のいいお嬢さんだ!」
と笑う。
ロウバサは
「いやはや……お恥ずかしい」
と言って照れる。
すると少女は
「私! カルメリーナ! よろしくね!」
と挨拶をする。
するとガバントは
「がっがガバントです」
と挨拶をする。
ガバント様ですね! いいお名前ですね!」
と言って
「じゃ! 遊びましょう!」
と言ってそのまま引っ張っていった。
ガバントは
「ま! 待って!」
と言ってそのまま手を引っ張られて連れていかれた。
ロウバサは
「待ちなさい! カルメリーナ! ガバント君が嫌がってるでしょ! すみませんお恥ずかしい」
と言って再び顔を赤くする。
するとガナルドは
「いえいえ! うちのガバントは引っ込み思案でして……カルメリーナみたいな子が一緒にいてくれるともしかしたら騎士としての自覚が身に着くかもしれません」
と言った。