203Dead『魂』
アンジェリスは
「この腕どうする? さすがにずっと持っておくのも……」
と言っていると光子は
「大丈夫です……捨てないでくださいです」
と言った。
それを聞いて和子は
「?? どういうこと? 腕残ってても意味ないんじゃ……」
と聞くと光子は
「光子は先程希咲にバラバラになっても復活させれるといったです……腕だけならどうしようもないとでも思ったのでしょうです」
と話す。
それを聞いてアンジェリスは
「! 出来るの! この状態から復活! でも腕以外全部の再生ってかなり時間が掛かるんじゃ! それに俊敏性犬にそこまでの力ってあるの!」
と言った。
それを聞いて光子は
「俊敏性犬の力なら全部再生させることは可能です……でもやはり時間が掛かるです……なので捨ててきた体をその腕に引き寄せるです」
と言った。
レベッカは
「凄いわね……そんなことも出来るんだ……」
と驚く。
アレックスは
「え……何……この状態でも希咲を復活って……あんた化け物だろ……」
と言った。
すると光子は
「酷いです……化け物だなんて……酷いです……エーンエーンです」
とアンジェリスの肩に顔を伏せて隠す。
すると女性勢から
「ちょっと! アレックスさん!! 酷い! 化け物だなんて!! 光子ちゃんだって女の子なんだよ!! そんなこと言うなんて! 最低!」
「そうだぞ……酷すぎるぞ」
「信じられない」
「謝んなさいよ! ほら! 光子ちゃんに謝んなさいよ!」
と怒られる。
アレックスはさすがに罰が悪くなり
「ごめんなさい」
と頭を下げて謝る。
すると光子は
「まあ光子だけなら幽霊を見たり魂を捕まえて肉体に留めるぐらいです魂、まあ応用として肉体を魂の場所に集めるぐらいです……肉体を再生させる俊敏性犬がいるからこそ出来る合わせ技です」
と言った。
するとアンジェリスは
「でも望の魂を戻すのって難しくない? 前一週間ぐらい掛かってたわよね……さすがにこの状況で……」
と言っていると光子は
「ええ……だから魂は腕に留めてるです……詳しく言えば腕だけの魂を留めて肉体は腕から伸びた状態で飛び出してるです、だからその腕も動くです」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「今なんて……」
と言った瞬間
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
と腕が勝手に動き出す。
それを見て和子は
「うわ! ホラーじゃん!!」
と悲鳴を上げる。
そして
「うわ! ちょ!! 逃げるなって!! 望! ちょ!!」
と暴れる腕を必死に押さえ込もうとするが
ツルン!
と手が滑りそのまま和子の胸に腕が行き手が鷲掴んだ。
「……糞!!」
と一瞬呆けたが和子は抉れた腕の部分を叩きつける。
すると
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
と腕が胸を離して地面に落ちて魚の様に暴れだす。
アンジェリスは
「今度は地面で暴れてる……望は何をしたいの……」
と呆れていると光子は
「それは腕だけが魂と違って地球の重力で落ちているです……つまり体は浮けても腕だけはその理から外れないせいで腕を地面で何とか動かさないといけない状態です」
と言った。
それを聞いてアンジェリスは
「なるほど……つまり今は腕だけで歩行しないとダメってことね」
と言うと望の腕は指だけを使って立とうとするがすぐに倒れる。
アンジェリスは
「まあ指だけで立とうとするのは難しいわよね……手のひらを突けばいいだろうけどそれじゃ歩けないし」
と苦笑しながら言った。
そして
「それではすぐにでも再生させるです……時間が経つと体の方が燃えてしまって引き寄せる意味がなくなるです、アンジェリス……腕を持って窓に出してそのまま持っておいてくださいです」
と指示を出す。
アンジェリスは言われたとおりに車の窓から手を出した。
アレックスは
「開けて大丈夫なのか?」
と聞くと光子は
「今ある気配は少ないです」
と言った。
そして光子はアンジェリスの隣で望の腕に触れる。
すると
ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!
と風を切るように焼け焦げてズタズタになった望の体が腕めがけて飛んできた。
爆発のせいで四方八方に飛んだのだろうが残りのパーツだけが望の腕へ集結する。
そして
「俊敏性犬お願いです」
と光子は指示を出す。
そして、俊敏性犬が
「ガウン!」
と吠えて望の腕に噛み付く
ガブ!
すると
ズボボボオボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
と音を立てながら再生を始める。
そして、完全に治ると
「うおおおおおおおおおおおああああああああああああああがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! お前えええええええええええええええええええええええええええ!! 何復活させてるんだああああああああああああああああああああ!!」
と悲鳴を上げながら車の窓から腕だけをアンジェリスに捕まれている状態で復活を遂げた。