101Dead『近視』
望は
「音無……何してんの?」
と聞いた。
和子は
「? ああ、ちょっと向こうの方でね……」
と言って指さしていた。
望はその方向を見るとなんだかでっかいゾンビがロケットランチャーを持っていた。
「……何あれ?」
と望は和子に聞いた。
和子は
「なんだか知らないけどあのゾンビこっちに来てたから当たるかなった思って」
と再び銃で
バンバン!
と発砲していた。
望は
「……当たんの? 確かに見ると怯んでいるように見えるけど……」
と言うと
「なんか弱点っぽいところがあったからそこ狙って撃ってるんだけどね……取り敢えず当たってるみたいだよ……ちょっとあのボコってなっている部分が抉れてるし」
と言って望も見ると確かにでっかいゾンビの首筋にある小さい出来物みたいなものが妙に動いていた。
そして、その部分が和子の撃った銃によって取れかかっていた。
望は
「あれ……なんか寄生してるような物かな?」
と聞くと和子は
「分からないけど……まあ撃ってみるよ」
と言って和子は集中して撃ち続けていた。
望は
(まあ確かにあんなバズーカ―撃たれたら俺も楽には死ねないかな……)
と見ていた。
そして
ドシャ
と遠くからか少し音が小さくその出来物部分が抉れた。
そして、そのままでっかいゾンビは思いっきり前に倒れて動かなくなった。
望は
「すげえな、流石にあんな小さいのを撃って倒すってお前……てか何で裸眼で撃ってんの?」
と聞いた。
和子はいつも掛けていたメガネを外した状態で撃っていた。
それを聞いて和子は
「ああ、なんかメガネがあると見えにくくて裸眼だったら見えたから撃ってたんだよね」
と言って汗を腕で拭って言った。
望は
「バスタオルあるけど使う?」
と聞くと
「いや、君の使った後のタオルはちょっと……」
と普通に遠慮された。
望は
「そうですか……」
と言って持っていたバスタオルを首筋に掛けた。
そして、
「ああ、涼みに来たらここで涼んじまった……部屋ってどこに行けばいいの?」
と和子に聞くと
「そこの角を曲がって地下に入れば」
「それはお前らが俺を閉じ込めた牢屋だろ? そこじゃなくて」
と聞き直すと和子は
「え? そこが君の部屋になるんじゃないの?」
とキョトンとして聞かれた。
望は
「それ……ガチで言ってる?」
と聞くと
「はあ、分かったよ……仕方ないなあ……じゃあ着いて来て」
と言って歩き出した。
望は
「仕方ない……かあ……」
と残念そうに言った。
そして、和子の後を着いていった。
----------------------------------------------------------------------------------
「さて、みんな集まったかね?」
と1人の研究者が言った。
望は
「俺は部屋の場所を聞いたのに……何で集められてんだ?」
と不思議そうに言った。
和子は
「君がお風呂から上がったらここに皆で話をするって話になったの」
と教えてくれた。
望は
「さっき音無俺を牢屋に案内したくない?」
と聞いた。
和子は
「まあいいじゃない……ではべナさん……お願いします」
と言った。
べナは
「ええ、結論から言うとワクチン自体は俊敏性犬と聖草の成分を調べて作ることが出来ました。マウス実験でも薬自体は効果がありました」
と言った。
続けて
「それとは違い俊敏性犬の噛みつきに関しては望君以外効果が無いということも分かりました」
と言った。
望はそれを聞いて
「は? 何言ってんだ? 何で俺以外効果が無いって……」
と聞くと
「おそらくこの俊敏性犬の心情にも関わってるんでしょうね……君以外だとゾンビになったの、このマウスを見て」
と言って動物実験の鼠を見た。
すると
「キイイイイイイイ!! キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
と奇声の様な鳴き声で入っている籠に頭をやたらとぶつけていた。
そして、べナは
「ここにもう一匹のマウスを入れます」
と言ってマウスを入れた。
すると最初にいたマウスが入ってきたマウスをいきなり
ガジ!!
「ギイギイイイイイイイイイイイイイ!!」
と噛まれたマウスは悲鳴のような鳴き声を出して痙攣を起こした。
そしてそのまま動かなくなり
ピク
と少し動いた瞬間
「キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ! キイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
と最初にいた鼠と同じように暴れ始める。
望は
「……で? どうするの?」
と聞くと
「まずはこの薬の効果を見せます」
と言ってマウスに注射をしてワクチンを接種させた。
すると
「き……きいいいい……チューチュー」
と普通の鼠のように戻った。
そして
「キイイイイイイイイイイイイ!!」
ともう一匹の再び噛みつく。
だが
「キイイイイイイイイイ!!」
と悲鳴のような鳴き声を上げた。
そして再びゾンビになった。
べナは
「とにかく、再び噛まれたところを見るとゾンビではなくなったと思われます」
「……ああ……うん」
「凄いな」
「ええ、これは……」
「良かった」
「ああ、一筋の光を見たな」
「これでゾンビ化を止めることは出来るんだね」
と望以外はいい反応を見せた。
望は
「でもこれって……再発は防げないの?」
と聞くとべナは
「現段階はこれが限界なの……でもいつか薬を成長させるわ」
と言って他の研究者も頷いていた。
望は
「……まあうん、で? 俊敏性犬がどうして俺以外の者はゾンビ化するんだ?」
と聞いた。
べナは
「取り敢えず見て貰った方が早いわ」
と言って俊敏性犬をマウスが数匹いる場所へと放った。
俊敏性犬は
「グルルルルルル!」
と唸っていた。