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99Dead『ナイフ』

望は


「ううう……ぐず」


と泣きながら歩いていた。

そして


「あの野郎共が……ふざけやがって……」


と泣いていた。

そして


「俺は何も悪くないのに……勝手に人の秘密を洩らしやがって……ふざけんなよ」


と和子の言う通り全く反省をしていなかった。

すると


「あれ?」


と望は何か影を見つけた。


「まさかさっき言ってた俺を人質にしてた子かな?」


とみると案の定そこにいた。

しかも隠れている様子だった。

レアズも望に気づかれて


「どうしてお前の気配は分からないんだ……」


と唖然としていた。

望は


「……何やってんの……まさか研究所が動き出して降りられなくなったの?」


と聞くと


「ちっ違う!! 何も情報も無く帰るとお仕置きされるからだ!」


と震えながら言った。

望は


「じゃあ俺を殺せば何も問題なくね?」


と言って腕を広げて胴体を露わにする。

するとレアズは


「お前を殺しても何にも手柄にならん」


と普通に無視された。

望は


「……あそう」


と何か不満げに言った。

望は


「そのナイフは何で手に持ってるの?」


と聞くと


「いつでも対象を殺せるためだ」


と言った。

望は


「俺は殺さないじゃないか」


と言うとレアズは


「だからお前を殺しても何にも手柄にならんからだ」


と言った。

望は


「はいはいそうですか……だがな、そのナイフの使い方は違う……ナイフは人を殺す道具じゃない」


と言った。

それを聞いてレアズは


「は? 何を言ってるんだお前は……」


と呆れたように言った。

望は


「ならお前はナイフをどう扱うんだ? 知ってるのか?」


と言うとレアズは


「人を斬るためだ、人を殺して人を尋問してあの方に尽くすためにあるんだ」


と言った。

望は


(なるほどね、癪に障るな……そいつの中では俺は全くどうでもいいのか……)


と少し不貞腐れた。

そして望は


「だったら俺の使い方を教えてやる!」


と言ってナイフを突然レアズの手から強引に奪った。

レアズは


(しまった! どうしてこいつは死にたいくせに私の邪魔をするんだ! だがベルゲザズ様もこいつには興味をほんの少しだけ持ってらっしゃる! この場で殺す訳にも!)


と焦った。

望は


「いいか! 本当のナイフの使い方はこうだ!」


と言ってナイフを舐めだした。


「えろお……レロオオオ……ハムハム」


と隙間なくペロペロと涎が着いていく

レアズは


「きっ貴様!! いったい何を!!」


と言ってドン引いていた。

望はナイフを舐めていた。

すると


ブチ

ブシュウウウウウウ!!


「うげばああああああ!!」


口を斬って出血してしまった。

レアズは


「何をやっているんだ!!」


と引いていたがさすがに怒りながら望に


「見せろ!! 斬れた部分!」


と言って口の中を覗いた。

結構深く舌のところを斬れていた。

レアズは


「もう! 仕方ない奴だ!!」


と怒りながら持っていた止血用の包帯を巻いてすぐさま止血した。

望は


「うううえええええええ!!」


と言って激痛に顔を歪ませながら


「ろうだ! こえがらいふのとゅかいかただ」


と言いにくそうに自慢げに言った。

それを聞いてレアズは


「は?」


と本当に顔を険しくしながら言った。

望は続けて


「まあひけ……らいふはらめるもろだ……よくえいがれみるらろ?」

「いや、はっきり喋れ」


と言われた。

望は包帯を少し涎で濡らして柔らかくし


「まあ聞け……ナイフは舐める為の物だ、映画でも見るだろ?」


と言い直した。

レアズは


「いや、映画とか見ないし相手を殺すためのもの以外何もないだろ……」


ときっぱりと言った。

すると望は


「だったら見てみろ……」


と言ってスマホを取り出して映画の俳優がナイフを舐めるシーンや役者がナイフを舐めているシーンだけをピックアップして見せた。

レアズは


「……嘘だろ……」


と言った。

レアズはベルゲザズの洗脳により外界の情報を閉ざされていた。

しかし、


「う!! あ! 頭が!!」


と言って激しい頭痛に襲われた。

望は


「そうか……きっと思い出してるんだ……お前の中のナイフを舐める記憶が……」


と言った。

レアズは


(な! 何だ! これは! まさか本当に!! ナイフは……舐める……だったら私がやってきたことは……)


と突然の不安に襲われた。

望は


(フン、やってやったぜ、俺を殺す命令をしなかったんだ……これぐらいの腹いせはさせて貰うぜ)


と鼻で笑いながらそう思った。

望は


「どうだ? 大丈夫か?」


と聞くと


「クッ糞が……ふざけやがって……私に何をした……」


と頭を押さえながら言った。

望は


「俺は何もしていない……君がナイフを舐める記憶があるんだろ」


と言った。

それを聞いて


「バッバカな……この私がそんな馬鹿なことを……」


と恐怖に包まれて


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


と言って悲鳴を上げて逃げて行った。

望は


「あー、逃げた」


と言っていると


「何があったの!!」


と言って和子と剣子とべナさんが走って来た。

望は


「さっきの子を捕えようとして逃げられた!! この舌の傷が証拠だ!!!」


と言って咄嗟に言い訳をした。

和子は


「だったらなんで包帯をしてるの? まさか君……また」


と怒るように言うと


「ちっ違う!! 違う!!」


と言ったが望の信頼は低すぎたせいで再び牢屋に入れられた。

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