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幕前の鉄槌5

*****



 今日はどうにか次の日が来る前に、ベッドに入ることができた。




 タンザ国王をお見送りしてから、ララメル女王に化粧水をおすそ分けしに行ったのだけど、外出されていてお部屋にいらっしゃらなかった。

 仕方ないので、侍女の詰所に顔を出すと、ララメル女王のお世話係になった侍女カタリーナがいたので、彼女に化粧水を預けた。


 それと一緒に『あの件』……くどくて申し訳ないけど、


『ララメルが今こちらにいらしているのは、昨年の『世界会議』で親しくさせていただいた折、センチュリアに大変興味を持ってくださったので、『世界会議』の会期中に訪問していただく日程を決めてしまったから、と勝手ながらローフェンディアには伝えています。

 ですから、タンザ国王に宝物庫の鍵を渡すのなんて、死んでもいやだからここまで逃げて来たんですわ! とか、絶対にクラウス皇帝にはおっしゃらないでくださいね』


 こんな内容を、まんじゅうの薄皮四十五枚に包んで書いた手紙も、その場で書いてカタリーナに託してきた。


 ララメル女王はどちらへお出かけになったのか聞くと、なんと昼間食堂で席がとなりになった、女性官吏たちと夕食に出かけた、ということだった。

 昼間知り合ったばかりなのに、その日のうちに食事を共にするとは思っていなかったので驚いた。

 ララメル女王も女性官吏たちも、行動力があるというか、人見知りしないというか、フットワークが軽くて羨ましい。


 私としては、ララメル女王と女性官吏たちの身の安全がとても心配だったけど、その点は、憲兵隊と王国軍が万全の体制で警護していると聞いて安心した。

 ララメル女王と一緒に夕食を摂る中に、昼間の女性官吏たちだけでなく、彼女たちと仲のいい王国軍の女性兵士たちも加わっているらしかった。これならごく近くでララメル女王を守ってもらえる。


 ララメル女王に配慮してくれたお礼を言おうと思って、憲兵隊の詰所にも立ち寄ると、今日もまたトゥリンクスと憲兵隊長が一緒に詰めていた。

 最高位の淑女の身辺警備を万全にしてくれているだけでなく、女性官吏や兵士たちの素性に裏がないことにも確認を取ってくれたと聞いて、重ねてお礼を言った。もちろん、女性官吏や兵士たちを信用はしているけど、今はほんの少しの油断もできない状況だから。


 公にはしていないけど、センチュリアはペトロルチカに狙われている。

 万が一にも、彼女たちがペトロルチカの手先で、ララメル女王に危害を加えたりすることがあれば、センチュリアに非難の目が向けられ、信用が地の底に落ちてしまうことも考えられる。


 いくらララメル女王が勝手にセンチュリアを訪れたにしても、ファレーラ王国からしたら自分の国の君主が危害を加えられていい気がするわけないし、他の国はそもそもララメル女王がセンチュリアを訪れた理由すら知らない。

 それに、言い方は悪いけど、


『ララメル女王は、不仲なタンザ国王の調査に応じるのがいやで、予告もなしにセンチュリアまで押しかけて来られたのです』


 とこちらが説明したところで、信じてもらえるかどうかわからない。

 センチュリアのことを快く思っていない国は、『そんなことがあるものか』と、ここぞとばかりに因縁をつけてくる可能性の方が高い。


 なにより、ララメル女王に危険が及ぶなんてこと、私が友人としていやだし絶対に許せなかった。


 偉そうに言っているけど、センチュリアがペトロルチカに攻撃される可能性を作ったのも、ララメル女王やタンザ国王が訪問されることになったのも、すべて私の責任だった。


 他の重臣や官吏たちにも、もちろんとても感謝している。けれど、トゥリンクスや憲兵隊をはじめとする王国軍には、ひときわ頭を下げたい気持ちでいっぱいだった。

 だから、その場にいる隊員たちにだけで申し訳なかったけど、心からの感謝を伝えて、明日もどうぞよろしくね、とお願いした。




 何はともあれ、明日はいよいよ本番。


 ローフェンディア皇帝の行幸なんて一大イベントが、私の治世の間にあるなんて夢にも思わなかった。

 これ以上センチュリア王国の歴史に残ることはしたくなかったのに、私はこれでまた一つ『センチュリア王国史』に名前を残すことになるだろう。


 そして、それだけでは済まないことも今の私は持っていた。


 御前会議が終わってからずっと……今も、それはとぐろを巻いて私の心に居座り続けている。


 『それ』について、タンザ国王との晩餐の前に、再び重臣たちを集めて自分の思いを打ち明けた。

 けれど、『それ』を実行するためには、他にも確かめないといけないことがあった。

 それらを確認して実行できるとわかったら、最終的な判断は私に任せると、みんなは言ってくれた。


 とはいうものの、『それ』を正式に決めるには、私の独断でというわけにはいかなかった。『センチュリア最高貴族選定結晶会議』で協議したうえ、過半数の承認も必要になる。

 だから、いつでもこの会議が開ける準備をしておいてくれるよう、ベイリアルに頼んだ。


 それから、クラウス皇帝が通達について本当に情報を持っているかどうか……持っているとしたらどこまで教えてくれるのか。『それ』を実行するには、クラウス皇帝からもたらされる情報も判断材料にしなくてはいけない。


 キアラさんが残した書きつけの意味も今ならわかる。どうしてずっと私に『教えてくれなかった』かも。

 キアラさん、私に教えてくれと言われたとき、どれほどいやな気持ちだっただろう。自分の愚かさを謝りたいけど、謝ったらなおさら不快に思われるかもしれない。


 少しでも眠れるといいのだけど、今日はきっと眠れないだろう。せめてベッドに横になって目は閉じておかないと、明日が余計辛くなってしまう。

 まぶたを閉じようとしたとき、視界の端にあの指輪が映った。目の前に右手をかざして問いかけた。どう思う、と……返事はない。


 こんな気持ちのまま指輪をしていたら、あの人に不安な気持ちが伝わってしまう。今夜は指輪を外して寝ることにした。

 薬指から指輪を外し、サイドテーブルの引き出しにしまっておこうと思って引き出しを開けると、見覚えのある冊子が入っていた。


 それは『センチュリア王宮だより』だった。


 王宮に勤める人たちに、各部署の動向や王宮内の行事などを知らせる冊子で、まじめな特集もあれば懸賞付きクイズなんかも載っている。官吏たちの楽しみの一つになっている読み物だった。

 毎月一回発行されていて、私やユートレクト、重臣官吏から、食堂のおばさん、馬や牛のお世話をしている飼育係のおじいさんにまで配られる。


 引き出しに入っていたのは最新の一月号だった。寝る前にでも読もうと思って、しまっておいたのをすっかり忘れていた。

 手に取って表紙をめくるとすぐ、私の絵姿と新年の挨拶があった。

 恥ずかしくてすぐさまページをめくった先に、『宰相』の文字が大きく載っていた。


 気がついたとき、私の目はその紙面の文字を一心に追っていた。




 〜今月より始まる新連載! 宰相閣下が鋭く厳しく世相に切り込みます〜


 『宰相府より檄をこめて』第一回


 新たな年を迎える慶びを、センチュリアに降り立ちし神々に感謝申し上げます。


 昨年、この連載を依頼されたとき、貴殿らに向けて何を発信したらよいのか考えた。

 広報課の担当者には、私が書きたいことを書けばよいと言われたが、読まれもしないものを書いても紙面の無駄である。

 次号より、この紙面で扱ってほしい事柄があれば、広報課に申し出るとよいだろう。

 この新聞は様々な職種・階級の者が読むため、できる限り平易な説明を心がけるつもりだ。


 しかし、今回は私たちが公僕として、常に念頭に置かなくてはならないものについて書きたいと思う。

 それは国益についてである。


 国益……国家の利益とは、何も経済的なことに限定されるものではない。国民の安全と生活を守ることこそが国益だと私は考えている。

 従って、私が施政や外交方針を考える場合、何を最優先させるかといえば、国益すなわちセンチュリア国民の安全と生活である。


 外交に関して、わが国は永世中立国であるため、他国に比べれば国益を守りやすいともいえる。

 しかし、永世中立国であるがゆえに、仮に他国に攻め入られることがあれば、原則としてどの国も我々に力を貸すことはない。

 ゆえにわが国には、徴兵制と国民皆兵法が敷かれ、いざという時は国民が一丸となって国を守る体制が取られる。

 また、人口に対しての防衛費も世界平均よりもはるかに高く、軍備も世界最新鋭クラスを誇り、各国に一目も二目も置かれている。


 わが国の国民はおおらかな気質であり、街並みも独特の歴史観溢れるたたずまいであるせいか、一見すると牧歌的で平和なように見える。

 しかし、その影には永世中立国の立場をよく理解している国民の、平和を望む意識の高さがある。


 兵士たちは、年中無休で雪の積もる国境の山脈を警備している。

 国境付近にある鉱山で働く鉱士たちは、いつでも武器を取って戦える鍛錬を積んでいる。

 市街地に働く住民も、男性は必ずなんらかの武術の心得を持ち、女性は家の地下に武器と食料の備蓄を怠らない。

 このような意識の高さの上に、わが国の暖かな空気があることを忘れてはならない。


 では、国益を守るために決してしてはいけないことは何だろうか。

 それは感情を最優先させることである。

 実際にこの世界で起きたことを例に挙げよう。


 二十年前、ある国(以下A国とする)が財政破綻に陥った。

 困窮したA国は国際金融投資基金から資金を借り、危機を乗り切ろうとした。

 ところが、国際金融投資基金からの借入金に課せられた金利は高く、A国の財政はより一層逼迫することとなった。


 そこに救いの手……というより魔の手を差し伸べたのがB国だった。

 B国は首の回らなくなったA国の首相に、様々な手で罠を仕掛けた。

 賄賂はもちろんのこと、どこで調べたのか首相の理想そのものの女性まであてがい、金銭面からも心理面からも揺さぶりをかけた。

 一年後、A国はB国から金を借り、国際金融投資基金からの借入金を、利子も含めて全額を一括返済した。


 A国の本当の地獄はここから始まった。


 B国から借りた金の金利は、国際金融投資基金が課したものよりも高かった。

 A国の首相は無論このことを知っていた。しかし、賄賂を持参したB国の官僚や、A国の政権に入り込んB国の女性も含めた工作員たちによって、


「B国から金を借りて、一刻も早く国際金融投資基金からの借入金を返済した方が、より早く国内の財政改善に着手できるから、結果的に得になる」


 という方針になるよう、洗脳されていったのである。


 かくして、A国の財政は再建不可能なまでに落ちてしまった。

 ここで初めて首相は自らの過ちに気がついたが、時は既に遅かった。B国から金を借りた四年後、首相は失脚した。

 次に首相となったのはB国の息がかかった人物であり、A国は事実上B国の属国となった。


 B国側の人間……官僚や工作員、女性まで、彼らは言葉巧みにA国の首相をたぶらかした。先ほど挙げた方針だけでなく、


「国際金融投資基金はローフェンディア主導の機関だ。最初から我々に不利になるような仕組みになっている。

 わが国が金を貸すから、そんなところとは早々に手を切るとよい。同じ地域の国同士、協力して解決していこうではないか」

「我々はローフェンディアに敵視されている。

 今のローフェンディアのやり方は、世界を独裁支配しているようなものだ。これがいつまでも許されていいのだろうか?」

「我々はローフェンディアのような真似はしない。世界は皆で統治していくもの。その精神を各国に広めていこうではないか。

 貴国も我々と共に、この動きを先導する一国となってくれまいか」


 という義勇心を煽るような嘘までも吹き込み、B国はA国に自国の傀儡政権を立てることに成功したのである。


 B国が工作員を送り込んだのは、首相のもとだけではなかった。

 報道機関や教育機関にも工作員を潜入させ、B国を賞賛する記事を書かせたり、子供たちには『B国はよい国』とする教育を施した。

 B国の元首のことはもちろん、流行の服装から食べ物、生活習慣まで、B国のものが最新で素晴らしく、正義であり、B国こそが理想とすべき国家の姿だという考えを、民衆に植え付けるような報道や教育を続けた。


 そうした報道が出るたびに民衆たちは洗脳されていき、B国を礼賛する空気がA国を支配していった。だから、A国の首相が失脚した後に、B国の息がかかった首相が誕生したのである。


 そして現在もこの傀儡政権は続いている。

 今ではA国の土地や港、それだけでなく全ての資源が、B国の食い物にされている。


 肥沃な平地ではB国に輸出するための農作物が作られ、B国からの借入金の担保に取られた港からは、A国が海洋に持つ資源……魚や海底資源を根こそぎ取るための大船団が出港していくという。

 その大船団が魚や資源を積んで戻る先は、無論B国である。


 豊かな森林の奥にある水源地を有する土地は、B国の大企業に次々と買い取られている。そこに工場と作業員たちの住宅を建て、国民をA国に呼び寄せているのだ。

 その一帯は、さながらB国の自治区のようになっており、A国の国民が住む下流に向けて汚染された水が垂れ流されている。


 A国とB国がどこであるかはわかるだろうか。A国は南方地域のエルニアーサ共和国、B国は同地域のフォーハヴァイ王国である。面倒なのでここでは以後もA国、B国と記す。


 A国は冷静に見れば判断できたはずだった。国際金融投資基金とB国の金利を比較もしていたはずだ。

 にも関わらず、先に挙げたB国が感情面に訴えかけた嘘が、A国の首相と国民の目を曇らせてしまった。

 国際金融投資基金をローフェンディアにすり替えて悪とし、我々はローフェンディアに虐げられる不幸な世界市民、B国はその中でも救世主となるべき善き隣人、という印象をA国に愛想よく誠実なふりをして植えつけたのだ。


 もっとも、国際金融投資基金の課す金利が高額すぎることは、以前から改善すべき課題である。

 また、国際金融投資基金の主導国がローフェンディアであることも問題ではあるのだが、今回主題とする国益には直接関係ないため、ここでは詳細な言及はしない。要望があれば取り上げよう。


 私がこの件で言いたいことは、先に挙げた通り、『国益を守るためには、絶対に感情を最優先させないこと』ということである。


 結果的にA国は感情で動いてしまった。B国から金を借りる前の、A国の当時の世論を見ればわかる。


「B国とその元首は信頼に値する」

「B国は誇り高い民族である」

「B国にはわが国を好きな人が多い」

「同じ南方地域の国同士、仲良くしなくては」

「団結してローフェンディアの独裁に立ち向かおう」


 このような世論が当時のB国には蔓延していた。

 見据えるべきだったのは、自国に課された条件……国際金融投資基金とB国の金利の違いだけでよかったのだ。


 国益を守ると言うと、しばしば問われることがある。


「自分たちだけ幸せならばよいのか。

 それはむしろ国際的な協調を外れ、国際秩序を乱すのではないか。

 そのような姿勢では、世界的平和は遠のくのではないか」


 こうした問いに、私はこのように返答している。


「自国民の安全と生活を守れなくて、何が国際的協調、国際秩序、世界的平和か」


 それほど国際的協調が素晴らしいものであるなら、とうの昔に世界は一つになり、国際秩序の取れた中、世界的平和が訪れているはずだろう。

 今の世界がそうなっていないことが、これらの言葉の虚しさを示す現実ではないか。


 我々は遠い昔より、環境が異なる中で、それぞれの価値観を持って暮らしてきた。

 世界の中には、理屈抜きで共感し合える思想もあるが、およそ我々になじまない価値観も多くある。

 だが、合わない価値観を許し受け入れたり、逆に誤っているからといって相手を矯正する必要はない。

 我々の価値観を無理に曲げるのが苦痛であるのと同様に、強要すれば相手にとっても苦痛となる。そうなれば、無用の争いの火種となりかねない。

 世界で起こる争いの大半は、この価値観の押し付けから始まっているとも言える。友達づきあいとは訳が違うのだ。


 友人が間違ったことをしていれば、時には指摘することも必要だろう。だが、国同士のつきあいは友達づきあいではない。国家は多くの人間の集合体だ。その全員の思想を変えるなど不可能である。


 B国はA国に工作員を大量に送り込んだが、実は、A国の国民すべてを洗脳することはできなかったのだ。

 A国にも今の傀儡政権に疑問や反感を持ち、自国を取り戻そうと活動を始める者たちが現れたのである。


 彼らは過去、自らがB国の嘘に騙されたことを自覚し、二度とあの時のようなことにならないよう、深い自戒の念を持って活動している。果たして、B国はいつまでA国を支配し続けられるだろうか。


 もう一度繰り返そう。国益を守るためには感情を最優先してはならない。相手が提示した条件のみを見て、それだけを判断材料にすることだ。

 しかし、これが簡単なようで難しいからこそ、世界は混迷から抜け出せない。


 感情があるからこそ判断を誤ることもあるが、知識も理由もないにも関わらず、正しい道を選べることもある。このようなとき『勘』が働いたと言うのだろう。

 これは生物として野生の本能が残っている証ともいえる素晴らしいことだが、国家の運営においては、不確定な要素に身を委ねて国民を危険に晒すわけにはいかない。

 人間が持つ本能的なものは確かに重要だが、それを最優先させてはならないと私は考えている。


 紙面が少なくなってきた。

 これについての具体例は要望があれば記そうと思うが、国家間だけでなく、人と人の交渉では、互いの価値観は違うということを頭に置いて、その上で相手と接していくことが重要だ。それがひいては互いの国益を守ることにも繋がるのではないか。

 互いの国益が守られれば、おのずと争いは起こらないはずだ。

 しかし、未だかつて世界が凪いだ状態にならないのは、人間が感情を持つ生物であり、かつ完璧な生物ではないからだろう。

 私たちは自らにこのような盲点があることを自覚しつつ、常に最善の道を選ぶ努力を怠ってはならない。


 センチュリアに住み数年経つが、今でも驚かされることがある。

 世界の様々な建築様式が混在しながらも、それらが不思議と調和して美しく見える街並みなのだ。

 多くの国を訪ね歩いたが、どの国の街並みにも、統一された建築様式が立ち並ぶ美しさしかなかった。これは世界に一つしかない美しさだと断言できる。


 様々な民族に支配されながらも、どの民族にも染まらず、永世中立国を宣言するまでに復活し、たくましく生き抜いてきた国民を預かる立場にあることに、改めて身の引き締まる思いを感じている。

 この場を借りて厚かましく言わせてもらえば、センチュリアは私の第二の故郷だと思っている。


 今後も貴殿らと共に、センチュリアの国益を貪欲に追求する所存である。


 宰相 フリッツ・ユートレクト




 ……紙面を濡らしそうになるものを拭うために、両目を手の甲でこすると、外した指輪をもう一度はめた。


 今までセンチュリアを支えてくれてありがとう。この国を故郷と呼んでくれて、本当にありがとう。


 お願い、どうかここから見ていて。

 あなたは私が必ず守るから。

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