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幕前の鉄槌4

****



 時は進んで今は夕刻。


 私はタンザ国王をおもてなしするため、昨夜ララメル女王と晩餐を共にした部屋にいた。まもなくタンザ国王もおみえになるだろう。


 あれからずっと、御前会議の後トゥリンクスから聞いたことが頭から離れない。

 だけど今は、タンザ国王との晩餐に集中しなくちゃ。


「……集中集中!」


 声に出して軽く頬を二発叩いたところで、扉がノックされ今日の主賓が姿を現した。


「同志よ、今宵はお招きくださりまことに光栄である。センチュリアの料理は私の口に合うようでね。昨日紹介してくれた店の料理も非常に美味であった」

「こちらこそ、お越しくださりありがとうございます。『ラフデンフィア』の料理がお口に合われたようでよかったです」


 晩餐の席に向かってこられるタンザ国王に、そう申し上げながら歩み寄ると、手を差し出して握手を交わした。

 タンザ国王は私よりも綺麗な手をしておられるように見えて、とても恥ずかしくなった。


「昨日はキアラがやかましくてやかましくて、なだめながらの夕食になったゆえ、今日は心置きなく料理を堪能させてもらおうと思ってね。無論同志との会話も楽しみだが」

「恐れ入ります、私も陛下と過ごす時間が楽しみです」


 キアラさんがどうしてやかましかったのかは、聞かないでおくことにした。

 タンザ国王にアンウォーゼル捜査官のことを相談したらしいし、キアラさんとどんな話をされたのですかと聞いたら、タンザ国王も返答に困るだろう。


 私たちが席に着くとすぐ食前酒が運ばれてきた。乾杯の後、私は口をつけるだけにしたけど、タンザ国王は一息に食前酒を飲み干された。


 今日タンザ国王は、午前中にオーリカルク鉱山の見学、昼から加工所を回られた後、先ほどまで近くの商工会議所で講演をしてくださっていた。


「陛下、突然のお願いにもかかわらず、ご講演くださりありがとうございました。

 盛況だったそうですね。会場に入れなかった者も多くて、とても残念がっていたと聞きました」


 ウエイターが早速前菜を運んできた。今日は昨日と違って順調に仕事をしてもらえそうだった。


「それはすまないことをしたな。こちらに滞在中、私は暇を持て余しているゆえ、あの程度の講演ならばいつでもして差し上げよう」


 タンザ国王はとても機嫌よさそうにおっしゃると、あっという間に前菜のお皿を空にしてしまわれた。

 そうだ、この流れで『あの件』をお願いしておこう。ララメル女王には言いそびれてしまっているけど。


 あの件……タンザ国王がセンチュリアにお越しになられている理由を、ローフェンディア帝国には正直に伝えてない、ということ。


 タンザ国王になら、率直にお話しても聞き入れてくれそうな気もするけど、まずは丁寧に……というか薄皮に包んでお話しつつ、様子を見て皮の厚さを変えてお伝えしよう。


「ありがとうございます。では早速で申し訳ないのですが、お言葉に甘えてもう一度だけでも構いません、ご講義願いたいことがあるのですが」


 私も急いで前菜を空にすると話を切り出した。


「ほう、どのような事柄についての講義をご所望かな?」


 タンザ国王の表情が曇らなかったことを確かめてから、改めて口を開いた。


「現在、わが国では『中央縦貫道』の分岐道を整備する計画を立てております。

 分岐道に充てる道路は既に決定しており、これから該当する道路を拡張整備していくのですが、既存の道路を拡張整備するに当たって気をつけるべきことや重要なことを、この事業に携わる官吏たちにご講義願えたらと思うのですが、いかがでしょうか?」


 建築の権威であるタンザ国王なら、『中央縦貫道』がどのような役割を持つもので、どれほどの規模の工事になるかも、既にどこかからお聞きになってご存知だろうと思ったから、あえて細かい説明はしなかったのだけど。


 私が『中央縦貫道』という単語を挙げた途端、タンザ国王の顔色が変わった。

 口元に喜びをたたえ、煉瓦色の瞳をらんらんと輝かせて、私が話し終えるのを今か今かと待ちわびているような気すらした。

 だから、最後の方はとても早口に話してしまったけど、タンザ国王は気にも留めていなかった。私が口を閉じた瞬間、


「あの前代未聞の一大事業か!

 北方の港湾都市カラブスから南はシポリ共和国のプリアまで、南北全長六千の距離を貫く巨大道路!

 そこから伸びる分岐道を合わせると、総距離は一万五千を超えるそうではないか!

 同志は非常に運がよい。あのような大がかりな事業に関われるなど、望んだとてできることではないからな。

 まことに同志や中央大陸の元首たちが羨ましい限りだ! 私もいずれ、西方大陸全土を巻き込む事業をしたいものだ」


 タンザ国王は息もつかずにまくしたてると、喉が乾いたのか咳を二つして、国王にあるまじき所作でスープを飲み干された。両手でスープ皿を持つとそのまま口元まで持っていって、ずずずずずと吸われたのよ……ちょうどウエイターが奥に下がっていてよかったわ。


「そうですね。陛下ならいずれ西方大陸だけでなく、世界を繋ぐ建築事業をなされるのではないでしょうか」


 建築の権威たる方のスープの飲み方はともかく、お世辞を言ったつもりはなかった。

 詳しく存じ上げないけど、ユートレクトと同い年で、『世界機構』の建築委員会副委員長まで務める方なら、将来私が想像もできない国際的な規模の事業を任されるかもしれない。


 奥からウエイターが顔を覗かせた。タンザ国王のスープ皿が空になっているのを見取ったのだろう、慌てて姿を消した。私もまた急いでスープを飲まなくちゃ。

 ちなみに今日のスープは昨日と同じく赤かぶは使っているものの、リボン型の赤かぶは浮かんでいない。男性向けに少しスパイスの効いた濃いめの味付けになっていた。


 私の言葉にタンザ国王は、そうありたいものだ同志よ、と嬉しそうにおっしゃると、


「承知した。『縦貫道』については言いたいことが山ほどある。スケジュールが合えば、クラウス皇帝にも聞いて頂きたいくらいだ」


 と力を込めておっしゃったので、私はここぞとばかりに、


「それでしたら、皇帝陛下はご講義をお聞きにはなれないかもしれませんが、明日の昼食の折にでもお話されてはいかがでしょうか」


 明日四人で昼食を摂る件は、昨日私からお話したし、タンザ国王とララメル女王にお渡しした予定表にも書かれているから、了承してくださっていると思うのだけど。


 少し心配なのは、私がそのお話をしたとき、タンザ国王は気を遣ってくれるな的なことをおっしゃっていたのと、その後ララメル女王が怒りのあまり貴賓室を出ていかれてしまって、話がうやむやになってしまった気がして。


 だけど、私の心配は取り越し苦労みたいだった。タンザ国王は昨日のことなど全く気にされてない様子で、


「そうだな、よしそうしよう。ありがとう同志、感謝する。これで同志たちの『縦貫道』はよりよきものになるぞ。

 で、講義の内容だが、聴衆はどの程度の知識の持ち主だ? 何名ほど参加するのだろう、私の持ち時間は?」


 むしろ講義の具体的な内容を詰める気まんまんだった。


 うーん……ここからどうやって、


『陛下がセンチュリアにいらしたのは、『中央大陸縦貫道』の分岐道建設のことで教えて頂きたいことがあるのと、センチュリアにある建造物をご覧になりたいということでお越しいただいた、とローフェンディアには説明しています。

 なので、間違ってもクラウス皇帝に、宝物庫の鍵を持って逃走したララメル女王を追いかけてここまで来た、とか絶対に言わないでくださいね?』


 って話に持っていったらいいんだろう。

 先刻の御前会議からの疲れが出てきたのか、話をうまく繋げられる自信が少しずつなくなってきた。


 私がひっそり心の中で頭を抱えている間にも、タンザ国王は『縦貫道』の講義についてあれこれ聞いてこられた。


「末端の官吏まで聞きに来るような講義であれば、面白おかしく建築のいろはを混じえて話すし、建築専門の官吏や技師向けの講義なら、こちらも全力で知識を出そう。

 一般の講義と専門の講義を分けてした方がよいかもしれぬな……」


 パンに魚料理、肉料理と次々に平らげながらも、タンザ国王の口調と食欲は衰えなかった。

 タンザ国王からの質問にお応えしつつ、同じペースでお皿を空にするのに必死で、今日は料理の名前も味も堪能できなかった。

 おまけに、タンザ国王はワインも次々に空けていかれる。帝国学士院出身の人たちはみんな早食いか大食い、もしくはその両方なのね。


 ところでタンザ国王、明日の昼食の面子にララメル女王が入っているのに、何もつっこみ入れてこないけど、クラウス皇帝に『縦貫道』のことをお話できるのが嬉しくて忘れてるのかしら、と思っていたら、


「ところで同志よ」


 デザートの淡雪ゼリーを口にしたところで、タンザ国王はおっしゃった。


「はい、なんでしょうか」

「あの女が好むものとは何であろうか」


 危うく多めにすくった淡雪ゼリーをスプーンから落としそうになった。


「あ、あの女とは」


 ララメル女王のことだろうけど、一応聞いておく。ララメル女王の好きなものを聞いて、一体どうするおつもりなんだろう。


「あの女といえば、私が絶賛正妃にしようとしている、ララメル・アカレナ・ワイオリータのことだ同志よ。やはり女というものは、宝石やドレスに眼がないのだろうか」


 タンザ国王の口調は今までと全く変わらなかった。

 好きな(?)女性のことを口にするのに、恥ずかしがることもなければ、ララメル女王が治めるファレーラ王国の宝物庫の鍵を手に入れるため、籠絡してやろうという感じもしなかった。

 自分とララメル女王が結婚するのはお互いにとっていいことだ、と全く悪意なく考えておいでのようだけど、昨日ララメル女王から聞いた話が本当なら、全力で応援しづらい。


 というか、ララメル女王の好きなものって何かしら。

 仲良くしていただいているけど、そういう話はしたことがないから、実は私もよく知らないのだけど……そうだ!


「もちろん、そういったものもお好きかと思いますが」


 私は昼間食堂で女子官吏たちと話したことを思い出した。

 これは男の人には難しいんじゃないかしら。

 タンザ国王の愛情を欠いた結婚話に納得がいかない私は、申し訳ないけど少しばかり意地悪な回答をすることにした。


「今日、昼食をご一緒しました折には、手作りの化粧水のことなどで話が盛り上がりました。

 他にも、女同士の会話でしたから、日頃美容でどのようなことを心がけているかなどをお聞きすることができて、そのようなことに疎い私にはとても参考になりました。

 申し訳ありません、私もララメル女王陛下に親しくしていただいているのですが、互いの趣味の話はまだしたことがなくて、具体的に何がお好きかは存じ上げないのです」


 タンザ国王は私の話を身を乗り出して聞かれていた。

 その瞳はとても真剣で、女性を騙そう、手玉に取ろうという姿勢は全く見られなかったから、意地悪な返答になったことを少し後悔した。

 もしかしたら、この方は本当にララメル女王のことを女性として見始めているのかと思うくらい、後ろ暗さのない表情でいらっしゃる。

 でも、たった一晩でそういう気持ちになるものかしら……と思っていると、


「手作り化粧水か……センチュリアで手作り化粧水といえば、あれだな、ウルリカを配合しているのだろう?」


 タンザ国王が涼しげな顔でおっしゃったので、目が点になったような気持ちになった。どうしてこの方、手作り化粧水の材料なんか知ってるのかしら。


「はい、おっしゃる通りですが、どうしてそのようなことまでご存知なのですか?」


 あんまり驚いたから率直に聞いてみた。


「学士院の頃、一時期化粧品を作っていたことがあってね。

 昨晩食事に出かけたキアラに請われて、化粧水や石鹸など、かなりの種類の基礎化粧品を作っていたのだ。

 これがキアラ以外の女性にも好評でね、しばらく製造販売していたのだよ」


 そういえばタンザ国王は、お弁当の作り方もキアラさんに教えていたんじゃなかったかしら。

 建築のことだけじゃなくて女子力高い……というより、興味を持たれたことはなんでも調べて、ご自分の知識にされるのが大好きなんだろう。


 私がなんでもご存知なんですね、と申し上げると、タンザ国王はとても楽しそうに、


「明日から忙しくなる……講義の資料作成に化粧水作りか。やることがあるのは、とてもありがたいことだ。同志よ、心より感謝する」


 とおっしゃったので恐縮した。


「いえ、とんでもありません。こちらこそ講義の件、ご快諾くださり本当にありがとうございます。官吏たちも喜びます。日時は明日中にお知らせ致します」


 そう言いながら気がついた。


 『化粧水作り』って聞いた気がしたんだけど、気のせいかしら。

 タンザ国王、もしかしてララメル女王にお手製の化粧水をプレゼントされるおつもりなのかしら。

 タンザ国王謹製の化粧水って、一体どんなものが入るんだろう。とても高級なものとか変わったものが入りそうな気がする。ララメル女王が受け取られるかどうかは置いといて。


 タンザ国王はよろしくお願いする、とおっしゃると(講義の詳細や日程のことよ)予期しない爆弾を投下された。


「同志はいつあの女から聞いたのだ」

「?」

「私は同志に『私の友人をあの女に紹介してやろう』という主旨のことは昨晩話したが、あの女を正妃にしようと考えを改めたことは伝えていないはずだ。

 だが、先ほど私が『絶賛正妃にしようとしている』と言ったとき、同志は特に驚いた様子を見せなかった。

 ということは、あの女から聞いたのであろう? 私が求婚したことを」


 しまった、と思ったけど、とうの昔に手遅れだった。

 ララメル女王に大変申し訳ない失態だったけど、どうにも取り繕いようがない。

 私は素直に非礼をお詫びすると、昨夜の晩餐のとき、ララメル女王がお話くださったことを打ち明けた上で、


「女王陛下はご自分からお話されたわけではありません。

 いつもと違うご様子だったので、私が何かあったのかとお伺いしたところ、陛下から求婚を受けたとお話くだされたのです。女王陛下は私の余計な質問にお応えくださっただけで」

「あの女はどのような様子であった?」


 タンザ国王は怒ってはいらっしゃらないご様子だったけど、私の言葉を遮った。

 私は嘘はつかず、だけどきちんとオブラートに包んで応えることにした。


「はい、とても驚かれているご様子でした」


 そう、いろいろな意味でね。私もびっくりしたもの。思わず私も驚きました、と口を突きそうになったとき、


「私も驚いたのだよ。突然このような名案が浮かぶとは、夢にも思っていなかったものでね」


 タンザ国王はそうおっしゃって淡雪ゼリーを食べ終えると、コーヒーカップに口をつけられた。当人がびっくりするなら、他人はもっと気が動転して当然だろう。


 だけど、タンザ国王の次の発言に腰が抜けそうになった。


「恋とは突然やってくるものだよ、同志よ」

「そ、それは」


 どういう意味!? と口走りそうになったのを、寸前のところで胸の内に押しとどめた。


 まさかタンザ国王、やっぱりララメル女王のことを……?


 いやいや、ララメル女王によれば『他の友人にあの女を押しつけるわけにはいかぬ』とか言ってたみたいだし。

 それを思い出したら、タンザ国王に少し腹が立ってきたので、ちくりと言ってやることにした。


「陛下もララメル女王陛下の魅力のとりこになられた、ということですか?」


 嫌味のつもりで言ったけど、まさか口調まで皮肉っぽくするわけにはいかなかったので、普通の声音で問うた。そのせいか、タンザ国王は気分を害した様子なく応えてくれた。


「そうではない。だが、知りたくはなった。あの女が本当に一人の男と結ばれたいと考えているのか。

 あの女の派手な見目と派手な振る舞いからは、到底考えられぬ。

 同志を信じぬわけではないが、真実ならあの年でケケアラクワナ寺院並みに奇特な女だ」


 えーと……


「それはララメル女王陛下を褒め」

「褒めてはおらぬ。ただ単に私より*歳(ララメル女王のために自主規制)年上であるのに、よくも夢を追い続けられると思ったのだ」


 タンザ国王の声には嫌味がなく、私の先の台詞のように皮肉を隠して言っているわけでもなさそうだった。


「通常、女性は同志ぐらいの年で結婚する。あの女にも同志と同じ年の頃があったはずだ。

 だが、あの女は結婚しなかった。

 あの美貌ならば、多少性格に難があろうとも引く手あまただったろうに。なぜなのか、非常に興味深い」


 いや、それは、あの……

 たまたま私と同じくらいの年のときに、ララメル女王のお眼鏡に叶う男性が現れなかったか、お相手はいらしたけど、残念ながら諸般の事情で破談になったのかのどちらかだと思うけど。

 もしくは、私と同じく女王でいらっしゃるから、お相手選びをとても慎重になさっているか。


 ララメル女王が私くらいのお年のとき……*年前(ララメル女王のために自主規制)、私はまだばりばりの一般庶民だったので、当時の世界の王侯貴族のことはわからない。

 まして、恋愛事情なんて知りようもないけど、このくらいのことは想像できる。


 もしかしてタンザ国王、建築のことはよくご存知でも、恋愛のことはあまり興味がなくて知らないとか?

 でも、タンザ国王も側室はおられるみたいだし、いい年していらっしゃるんだから、こういう方面のこともご存知だと思うんだけど……


 私がひそかにタンザ国王の恋愛知識量を心配していたら、


「そういえば同志よ」

「はい、なんでしょう」

「同志はいつ結婚するのかね」

「……」


 わかった、この方やっぱり恋愛関係はあんまり得意じゃないんだわ。

 こんなこと、妙齢の淑女(私のことよ!)には絶対しちゃいけない質問だもの。


 心の中で大きなため息をついてから、


「いずれご縁のある方とできればと思っています」


 当たり障りのないように応えたつもりだったのだけど、


「では、その右手の指輪はなんだね。薬指の指輪は恋人からもらった指輪であろう?」


 あーーー……


 なんでその知識があって、ララメル女王が結婚されていない理由は想像できないのよ!

 あんた何歳よ、どのレベルで恋愛知識止まっちゃってるわけ!?


「こちらは預かりものなのです。大切なものなので、肌身離さずつけているのですが、この指にしか入らなくて」


 苦し紛れにしては、なかなかいい逃げ方ができたと思った。なのに。


「だからといって、そのような誤解される指にはめるものだろうか……わかったぞ、大切な恋人からの預かりものだな! 同志にぴったりの指輪を買うまでの、仮の指輪ということか! そういうことだな同志よ、違うか!?」


 あーーーもうっ! なんでそんなとこだけ勘がするどいかなあ!?


 タンザ国王のお顔を拝見すると、かなりワインの酔いが回っていそうだった。

 コーヒーも飲み干されていらしたので、だましごまかしお返事しながら、どさくさに紛れてあの件……


『あなたが宝物庫の鍵を追ってセンチュリアに来た、なんて恥ずかしいこと、ローフェンディアには言ってませんから! ちゃんとしてるっぽい理由をこっちで作って説明してますから、お願いですから余計なこと言わないでくださいね!?』


 をまんじゅうの薄皮三十枚くらいで包んだ感じでお伝えして、晩餐の席をお開きにすることにした。

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