翌週への暴走 麗しき旅人からの書簡
『親愛なるアレクへ
お元気でいらして? わたくしはとても元気でしてよ。
実は、折り入ってあなたにお願いしたいことがありますの。
間もなく……恐らく来週半ばになると思いますけれど、どうぞ後生ですから、わたくしをあなたの国にかくまってほしいのです。
と言いますのも、全てあの男が悪いんですのよ!
先日『世界機構』から文が来たのですけれど、なんとあの男が! わたくしの国に視察に入るというじゃありませんか!
わたくし、それはもう激しく『世界機構』に抗議したのですけれど、『世界機構』は無礼にも、歴史的建造物ケケアラクワナ寺院の構造を精緻に調査することができるのはあの男しかいない、と言ってわたくしの申し入れを拒否したのです!
それでわたくし、ケケアラクワナ寺院の設計図だけでなく、他の大切な宝物も眠る宝物庫の鍵と一緒に国を出てまいりましたの。
許せませんわ『世界機構』!
一国の君主たるわたくしの慎ましい願いを受け入れないだなんて!
あの男の代役など、他にいくらでもいるはずですのに!
そして、わたくしからホーンアイル公爵を奪っておきながら、わたくしの国に汚らわしい足で踏み入ろうとするあの男!
どのような厚顔でわたくしの国を訪れようとしているのでしょう、恥を知らないにも程がありますわ!
というわけですから、あの男がケケアラクワナ寺院の調査を諦めておとなしく自分の国に帰るまで、ぜひわたくしをあなたの国に置いてやってちょうだい。
もちろん迷惑はかけませんわ、あなたの公務の邪魔は致しません。
何卒よろしくおとりはからいあそばして。
あなたの心からの友人 ララメル・アカレナ・ワイオリータ・ナル・アーエリュネ
追伸:その後、あなたのあちら方面の塩梅はいかがですの?
そちらに着いたら、直接ゆっくりと聞かせてもらうのを楽しみにしていますわ!』




