翌週への前走 新皇帝夫妻からの書簡
『親愛なる友人と弟へ
堅苦しい挨拶は省こう。二人とも元気にしているかな?
先日は私の戴冠式への参列、リースルへの祝いの品をどうもありがとう。
今日は頼みたいことがあって筆を取った。
二月の初旬、貴国に数日間滞在させてもらいたいのだ。理由は三つある。
まずは私の即位記念の行幸先の一つとして、貴国を選びたいのだ。
フリッツは知っていることだが、ローフェンディア皇帝には、即位した年に諸国への挨拶を兼ねて数か国に立ち寄り、滞在しなくてはならないというやっかいなしきたりがある。
そのうちの一国にセンチュリアを選びたいのだ。
貴国ならアレクもフリッツもよく知った仲だし、気を遣わなくて済む。
友人・兄を助けると思ってぜひとも宜しくお願いしたい。無論、それ相当の礼をさせてもらうつもりだ。
次に、フリッツの皇籍返還に関わることだが、直接私から渡さなくてはならないものがある。ぜひそれを受け取ってもらいたい。
最後に……これが一番重要だが、二人に迫っている危機について他言できぬ情報を入手した。それを伝えたいと思っている。
非才の兄のささやかな願いを、友人も弟も断りはせぬと信じている。
私の滞在の日取りなどの詳細は、二人の了承が得られた後に正式な文書を送る。そちらで確認してもらいたい。
再会の日を楽しみにしている。
二人の婚礼を心待ちにしている(未来の)兄
クラウス・ハイドレイツ』
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『大好きなアレクとフリッツへ
こんにちは、二人ともお元気ですか?
わたくしはおかげさまで穏やかな日々を過ごしています。
アレク、先日はとても素敵な産着を本当にありがとう。
細やかなお心遣い、とても嬉しく感激しました。
産まれてくる子もお腹の中で喜んでいます。
センチュリアは今頃雪が積もっているのでしょうね。
こちらは時折ちらつくことはありますが、積もることはめったにありません。
クラウスがそちらに滞在したいと申していました。
ご了承頂けたあかつきには、お世話をかけますけれど、どうぞ宜しくお願い致します。
わたくしも参るはずだったのですが、大事を取って今回は留守番をすることになりました。
次の『世界会議』で二人に会えるのを、楽しみにしています。
寒さも増し、体調も崩れやすくなるかと思いますから、二人とも温かくして、身体を壊さないように……
お忙しいと思いますけれど、執務もほどほどに、仲良くしてくださいね。
フリッツはアレクにあまり厳しくしないようにしてくださいましね。
二人の健康と幸せを願って
リースル』




