自分の話
盗賊ってのは嫌な仕事だ。
人から何かを奪うだけで与えることはない。
そんな盗賊が私は嫌いだ。
まぁ、その盗賊が私の職業なんだけどさ。
えーと、何から話そうか?
最初から?
…わかったよ。そんな目で見るな。
私が生まれたのは、比較的裕福な家庭だった。
え?それなのになんで盗賊をしてるかって?
そりゃ決まってるだろ?
私の町が丸ごと潰れたんだ。
神のせいでね。
この盗賊のアジトから、そう遠くない町さ。
今はもう跡形もないけどね。
朝起きたら、周りが火の海だった。
おかあが私を抱えて走っていた。
火の神だったんだろうね。
みんな必死に火を消してたけど、全然消えなかった。
“水”の国になんで火の神がいるのか?
そんなの私が知るわけないだろ。
それでさ、おかあと私は町から逃げ出したんだけど、おかあの火傷がひどくてね。
静かに死んでいったよ。
私にはどうすることもできなかったね。
で、腹空かせて森を歩いていた私を、お頭が拾ってくれたってわけさ。
あら、少し話が重くなったかな?
さ、次はあんたの番だよ。
え?話したくない?
ふざけてたら殺すよ?
早くいいなよ‼︎
あ、獲物が来たってさ。
狩りが終わったら、絶対話しなよ。
約束だからね‼︎