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山の道
右薙ぎ。袈裟斬り。逆袈裟。左薙ぎ。唐竹。逆風。
どれもキレがないし遅い。ボクには当たりそうにないな。そう少年が思った瞬間、少年はもうそこにいなかった。少年は相手との間合いを一気に詰め抜刀と同時に左下から切り上げた。キンッという金属音とともに、相手の左脇腹から血が吹き出し、2mほど離れたところに折れた刀が突き刺さった。
「盗賊としてはまぁまぁだけど、剣士としてはまだまだだね。」
少年はそう呟くと山道を歩き出した。
少年、まだ背は低く、髪と眼を焔の如き紅に染めその名を柊 燈火という。