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異世界ではじめるオブジェクト指向  作者: るる
平和なる幼少期編
4/4

第三話 誕生日に本をもらう

今日はこの体になってから5歳の誕生日だ。

母親は朝から嬉々としているし、親父も一緒に小さなパーティの為に食材を買いにいっている。

節目の5歳の誕生日には、パーティをするのが習慣らしい。

もっともこの村の習慣ではなく冒険者達に伝わる習慣だそうだ。

近所に住む同い年のデリン君の家の方々も来るし、親同士が仲のよい2歳年上のエミリーちゃんのところも来るそうだ。

賑やかなパーティになりそうで、俺自身も楽しみにしている。

ここ3年くらいは、普通の子供として暮らして来たし手のかからない子だったはずだ。

この二人には感謝もしているし、愛してももらっているから幸せだ。

近所の子どもたちも結構面白い子たちが多い、みんなでいたずらしたりするのがすごく楽しいのだ。

エミリーちゃんは、結構気が強くってしかも正義感あふれる女の子だからいつも俺達は注意されている。

逆にデリン君は、いたずらの主犯であることが多いからエミリーちゃんにこっぴどく怒られるのだ。

まぁ、俺も良く怒られるけどね、でもそんな二人を見てるといつも和やかな気持ちになる。

本当はみんな仲がかなりいいからね。


親父と母親が買い物から帰ってきたようだ。


「ギュスくーん、いい子にしてた?」

「はい、母さん」

「いい子だぞおーいい子だあー」


大きく手を広げて母は抱きついてくる。

甘くってくすぐったい優しい匂いに包まれながら微笑む。

そうして、買って来た物を置いた親父が話し始める。


「ギュスはいっつもえらいなぁー外じゃいたずらばっかりだって聞いたのに」

「そういう年頃よー、でも家じゃあ全然手がかかんないんだものー」

「がはは、まぁ男はもっとやんちゃなぐらいがちょうどいいってもんだ」

「そんなこと言わないの、ギュスくんはあなたと違ってがさつじゃないんですよおーねー」

「母さん、父さん、今日のパーティは何時からなのです?」

「ん?今日か?あと2時間もすれば始めるぞ、楽しみか?」

「はい!とても楽しみです」

「そうか、ギュスにとって最高の誕生日になるように頑張るからな」

「じゃあ、あなた料理始めましょうか」

「そうだな、ギュスもう少しだけ待っといてくれよ」


そういって頭に手を乗せてガシガシと荒く撫でると調理台のほうへ向かっていく。

小さなパーティといっても3つの家族が来るので家の庭を開放して使うみたいだ。

30分くらいは大人しく待っていたけど、暇なので外に出てみると既にエミリーちゃんが来ていた。


「ギュス、誕生日おめでとう!今日はすっごい楽しみだったんだから」


ふんすっと仰け反ると、可愛いドヤ顔でこちらを見ている。

エミリーちゃんは、金髪で猫のような愛らしい顔つきだ。

今日はいつもの村娘のような服装じゃなくて、女の子らしいワンピースを着ていすごく可愛い。

向こうの世界で言うモデルでも十分通用する可愛さだしかも、喜怒哀楽が激しいので見ていてすごく楽しい。


「来てくれてありがとうエミリーちゃん」

「当然じゃない、ギュスの誕生日だしね」


なかなか素敵な女の子だと内心感心しているとエミリーちゃんの両親が向こうから歩いてくる。


「おぉ、ギュスくんも大きくなったなー」


そういってくれるのは、エミリーちゃんのお父さんでアルフレッドさん

優しそうな顔で、茶髪に高身長で痩せ型だ。

どこかの貴族にも居そうな雰囲気だけど、魔法で戦えるそうだ。


「そうね、しかもギュスくん礼儀正しいし、将来はエミリーの夫さんかしら」


そういうおっとりした感じの女性は、エミリーちゃんのお母さんでモーラさん

この人も優しそうだ、しかもスラっとした体系でいっつも笑っている。


「おっギュスくん、嫁にしたいなら俺を倒してからだぞ!」

「あはは」

「やめてよ、お父さんお母さん...」


エミリーちゃんが赤面しながら両親の暴走を止めると母さん達が玄関から出てきた。


「モレッツ夫妻良くぞ来てくれた」

「硬いのは止してくれよ、ダリウス」

「がはは、そうだなアルフレッド、モーラさん、そしてエミリーちゃん今日はわが息子の為にありがとう」

「本当にありがとうございますー」

「いえいえ、私も楽しみだったんですよ、しかもエミリーも楽しみだったようで」

「母さん!?やめてよー」

「ふふふ、まぁそういうことなのでこちらこそありがとうございます」


そんなやりとりをしているとお隣から、怒鳴り声が聞こえてくる


「デリン、いい加減にしな!はやく支度しないとバシュロさんところがみんな待ってるんだから」

「はーい!分かってるよー母ちゃん!すぐ出るからー」

「分かってるってさっきから何回言うんだい!早くしな」

「まぁまぁ、母さんあんまり怒るんじゃないよ、今日はお祝いなんだし」

「あんたも、そんなこといってはやく支度しな」

「は、、、はい」


尻に完全に敷かれているけど、いい家庭そうだ。

そうしていると、急いだ感じで3人が出てくる。

男性のほうが、声をかけてくる。


「すいません、皆さんもうお揃いでしたか?」

「いえいえ、そんなことはありませんよー」

「急がずとも客人ですから、気にしないでください」

「そんなわけにはいかないですよ!」


慌てた感じで、痩せこけた感じで黒髪のおじさんが否定する。

この人はデリンくんのお父さんで、名前はエバン職業はそこそこ有名な木工系の職人さんらしく、木の椅子なんかを家で作って大きな街や国に売っているらしい。


「そうよ、あんた!皆さんお揃いなのにうちだけ来てないなんてどう考えてもおかしいでしょうが!」

「うぅ、、、」


そう怒っているのは、ジェナおばさんでこの村での販売はこの人が行っているそうだ。

その上、昔は絶世の美女だったとか今となっては恰幅の良い豪胆な女性といった感じだ。

デリンくんやエバンさんと違い、ジェナさんは綺麗な金髪で確かにやせていれば綺麗な人かもしれない。

そうすると、デリンくんが恐々と意見する。


「か、かあちゃんそんな怒らないでも、今日はギュスの誕生日なんだぞ!」

「まぁ、それもそうね!ギュスくん誕生日おめでとう」

「ありがとうございます。デリンくん、ジェナおばさん、エバンおじさん」

「あぁ、いつもデリンと仲良くしてくれてありがとうな」

「いい子ねぇ、ギュスくんったらー」

「お、おう!」



そんなこんなをしてみんなでわいわいしていると、親父が話し始める。


「よし、そろそろ料理もいい具合に出来たとと思うので持ってくるぞ」


そういって親父は、家に一度入り大きな鍋を担いできた。


「今日は、トーランブルの肉煮込みだぞ」


トーランブルといえば、この辺りでは見ることすら珍しい猪だ。

臭みがない肉と、猪とは思えないほどの美しい脂身と赤身で

高級料理店にも出るほどらしい。


そんな高級品が出てきて一番驚いているのは、意外にもアルフレッドさんだった。


「いいのか?こんな良いもの食べさせてもらっても普段も助けてもらっているのに、、、」


と少し落ち込み気味でもあった。

親父は、気にしてないというような顔でこう言う。

「いやいや、誤解しないで欲しい。皆さんには世話になっているしギュスの祝いでもあるんだ、まったく気にせず豪快に食べて欲しい」


母親が、全員に飲み物を配り終えると、父親が良く響く声で話はじめた。

「今日は、ギュスターヴの5歳の誕生日に皆さんお集まり頂いてありがとう。今日は、ギュスターヴにとって一つの節目であり、小さな一歩でもあります。では皆さんグラスをお持ちください。

ギュスターヴの今後の人生に幸運とナーヴアリスタのご加護があらんことを、乾杯!!」


カーンという木と木がぶつかる音と共に、皆話始める。


先ほどの父親の話でナーヴアリスタって単語が気になって聞いてみた。

今まで一度も聞いたことがない上に、あの凶悪な父が神に祈るとは思えなかったからだ。

「父さん、ナーヴアリスタってなんですか?」

「あぁそいつってのおかしいな。ナーヴアリスタは、冒険の神とも言われている実在したっていう冒険家さ。今は、冒険や人生の安全を司る神ってとこだな」

「父さんも、神に祈ったりするんですね」

「あぁ、お前の為ならなんでも祈るさ、健康に育ち強くなれよギュス」

「はい、父さんの様に強く生きます」

「おう、いい子だ」

また、頭をガシガシと撫でられた。

ただその手からは、愛情ばかりが滲みでているように感じてこの時ばっかりは嬉しくなった。


そこからは、キラキラとした時間が流れていった。

そして、3つの家族合同のパーティーも終わりに近づいた頃、

母親が目を輝かしてこう言った。


「私は、そろそろギュスにプレゼントを渡そうかしら」


そういって取り出したのは、一冊の本だった。

まだ読み書きも不十分だし、読み書きの本だろうか。

そんなことを思っていると、優しくその本が手渡された。

ここ数年で少し文字の読み書きが出来るようになったので表紙を読んで見る。

「算術魔法教練書?」


母親は、満面の笑みで話始める。


「最近、ギュスくんったら魔法に興味深々だったでしょー?知ってるのよぉー、この本は冒険者だった頃の友人が書いたものなの」


父親が少し険しい顔をしながら聞いている。


「優秀な魔法使いだったのよ、それでこの本を書いたの。

良ければずっと持っていてね、きっと本がしっかり読める頃にはちゃんと読めるようになるからね」


母親はあまり魔法を使わせたがらないし、冒険者時代の事を話さない。

それなのに俺が魔法に興味があるってことでこの本をくれた。

俺を理解してくれていてとても嬉しい。

その反面、転生したという事実を打ち明けれずにいるのがとてもつらかった。


「ありがとうございます!母さん」


「はぁーい」


そうすると、エバンさんがこちらに近づいてくる。


「改めて、お誕生日おめでとう!ギュスくんは、魔法の才能もあるし

きっと今後は優秀な魔法使いになると思うんだ。

そしたら杖が必要になるだろう?そこで作ってきたんだよ、これをどうぞ」


その杖は、受け取ったと同時にその軽さに驚いたのと同時に非常に硬かった。

敵の攻撃を受けることも出来るんではないかと思うくらい丈夫だった。


「お父さんに預かってもらっていてね、いつか使う日が来ると思うから」


そういうと親父は、俺に手を差し伸べてきたのでそこに杖を乗せる

その瞬間、親父の顔はとても鋭くなって唸りだした。


「ほう、これはかなり良い物だな。ここまで良いものを貰ってもいいのか?」


「ダリウスさん、ギュスくんには健やかに育ってほしいそれに対する投資ですよ!」


「ありがとう」

「ありがとうございます!」


エバンさんはうんうんと頷いている。

そうしていると次は、アルフレッドさんと小さな箱を持ったエミリーちゃんが来た。


「ギュスくん、お誕生日おめでとう。これは私とエミリーで作ったものなんだ。ほらエミリー」


「う、うん。ギュス!これはお守りなの!安全を祈るお守り!、ど、どうぞ!」


その小さな箱の中には、特殊な折り方が施されていて網目模様にも見える朱色で染まった布のお守りが入っていた。


「うちに昔から伝わるお守りでね、私自身の魔法も掛けてあるんだよ。是非ずっと身に着けておいてくれ」


「ありがとうございます!大事にしますね!」


そうして早速、ペンダントにして首へ掛ける。

こうしてプレゼントを貰って喜んでいると隣にはデリンくんが来ていた。


「ギュス、今日は呼んでくれてありがとうな!すっげー楽しい」


「うん!デリンくんこそ来てくれて、ありがとう」


「ギュスは、冒険者になるのか?おっちゃん達はそうなんだろ?」


「まぁね、でも分からないよ。まだまだ僕は子供だし」


「へへっ!そうだよなー!俺も全然わかんねー!」


デリンくんは、いつも陽気でバカっぽいけどたまに確信をつくときもある。

彼は、そういう空気を読む才能に長けているのだろう。


そうして賑やかだったパーティが終わりを告げる。


寝静まった夜、空には星が瞬き月は青色に染まっている。

川のせせらぎが聞こえてきて、とても良い響きだ。

その響きのなか、ページをめくる音が聞こえる。


「文字が読めないというより、文字を読み取ることが出来ないな、、、」


ある一ページを開いたときなにかが外に流れ出した。


「なんだ?まぁいいか、、、寝よう」


そういって彼は眠った。

これが、彼の転機を変える出来事だった。


そうして10歳になるまで彼はすくすくと幸せに成長とした。

この日が来るまでは、、、







まったく更新できてなくてすみません。

少しずつ、更新していきたいとおもいます。

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