おいしいおにく。
簡単な存在理由を並べる。
30個ほど出てきた。
要らないものを消していく、後ろに放り投げる。
要らない
要らない
要らない
要らない
要らない
............
しまった。全て投げ捨 ててしまった
。
後ろに放り投げた存在理由を取りに行く。
はて?疑問。
俺はなぜ見知らぬ部屋にいるのだろう?
それになぜ存在理由なぞ並べて放り投げているのだ?
わからない。わからない。
右手には何故かナイフがいつの間にか握られていた。
左手はドラえもんの手みたいになっている。
ああ、これは夢か?夢が夢と分かる明晰夢というやつか?
なら左手がドラえもんみたいなのも、存在理由を放り投げるのも仕方ない。
部屋のドアを開ける。
木で出来た荒削りの人形が壁にもたれかかっていた。
木の人形からは黄色い染みみたいなものが出ていた。
油?
木で出来ているのに油で動いていたのかこいつは。
木の人形の腕をナイフで切ってみる。やはり黄色い液体が出てきた。
匂いも油だ。
面白いので切り刻む。
どんどんどんどん出てくる。
嗚呼おもしろい。
............
飽きたので奥に進む。
奥にはたくさんの木の人形がてんでバラバラにおいてあった。
だが先ほど、たっぷり遊んだので気にもとめない。
さらに奥に進むと階段があった。
階段を下りる。
すると出口が見えた。
じゃあ帰るか。
帰るってどこに?
するとパトカーが来た。
パトカーにはパンダが乗っていた。
何故パンダが?
ああ、夢だから仕方ない仕方ない。
パンダが俺を取り囲む。
何故だ?
夢だから。
取り押さえられる。
夢だから。
手錠をかけられパトカーに乗せられる。
夢だから。
パトカーに揺られること30分程。
警察署に着く。
取り調べ室?みたいな所で椅子に座らされた。
パンダが二匹入ってきた。
俺とテーブルを挟んで一匹はそこに座った。
もう一匹は入り口近くにいる。
目の前のパンダが話しかけてきた。
...わからない。
パンダ語なのかわからない。
俺は言った。
俺は人間だからあんたらの言葉がわからない。
目の前のパンダは怒ったように俺に問い詰めてきた。
ああ、ああ、煩い。
言葉がわからないと言ってるのに。
一時間後、俺は留置場に連れられ、檻に入れられた。
檻に入るのはパンダの方なのでは?
と、思ったが。
夢なので仕方ない。
夢だから人を殺したって食べたってしょうがない。
あれ?
まあぁ、どうでもいーや。
それから俺は何日も何日も檻に入れられたままだ。
たまにパンダが話しかけてくるが、俺は人間だからわからない。
と、言うとすぐに消えてく。
それにしてもあのパンダ共。
飯がマトモなのを出しゃしない。
米だと思ったら、蠢く蛆虫だったり、味噌汁だと思ったら、腐ったスープだったり。魚は生臭く食えたもんじゃない。
水だけはマトモだった。
水だけで何日も過ごしてる。
不思議と腹は減らず、飢えることはない。
だけど肉が食いたい。
肉が。
最近は肉のことだけ考えている。
肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉....
肉なら其処にあるじゃない。
どこに?
ほら、そこ。
あった。
けどこれは俺の足だ。
でも肉でしょ?
そうだね。
フォークて脹ら脛あたりを刺す。
刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す。
なかなか、肉が剥ぎ取れないな。
刺す刺す刺す刺す抉る抉る抉る抉る。
やあっと、肉が取れた。
いただきまあす。
........うん、おいしい!
ああ、おいしい!おいしい!
くちゃくちゃ口の中て咀嚼する。
久しぶりのお肉!
でも堅いな?
そおだ!
スプーンで肉を叩く。
叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く。
前にテレビで見た肉を柔らかくする真似事をする。
これくらいでいいかな?
口に入れる。
うまい!やわらかくなってる!
喰っていると頭が朦朧としてきた。
おまけにパンダが檻に集まって騒いでいる。
うるさいな...もう眠いんだ。
左手を見る。
ドラえもんみたいな手じゃなかった。
指が全部無い。
そっか。
じゃあ、おやすみなさい。
次に起きたら、夢も覚めてるだろう....。