鴨葱鍋セット
今回、主人公は出てきません。
~姉と妹の心配~
青色の短い髪に大きい青い瞳を持つ女性と、
ピンク色の長い髪に大きい緑色の瞳を持つ女性が街の中を走り回っていた。
二人は街をぐるっと一周回り、出発地点の広場に戻って来た。
「お兄ちゃん、居た?」
「ツバキ、見かけた?」
二人はお互いの姿を確認すると、ほぼ同時に言った。
お互いの言葉を聞いて肩を落とし、とぼとぼと近くのベンチに座って俯いた。
「こんな事になるんなら、ステータス弄るんじゃなかったぁ。」
ピンク色の長い髪の方の女性【わさび】が言った。
「こんな事になるんなら、勝手に名前変えなかったのに~。」
青色の短い髪の女性【からし】が言った。
二人はバット顔を上げて、お互いの顔を見た。
「え?!勝手にステータス弄ったの?」
からしが、わさびに聞いた。
「う、うん。ゲームだし、ちょっと悪戯しただけだよ。」
わさびが少し俯きながら言い、直ぐに顔を上げてからしを見た。
「お姉ちゃんだって、名前勝手に変えたんでしょ?」
「う、うん。変えちゃった。」
からしがテヘッと舌を出しながら言った。
「変えちゃった。じゃないよ!何で探す前に教えてくれ無かったの!
私、お兄ちゃんの事だから、本名入れてると思って探してたのに!」
わさびが怒りながら言い、からしが両手を合わせてゴメンと言った。
「もう!いいけど、名前何にしたの?」
「といれっとぺーぱー」
わさびが聞き、からしが答えると、わさびは首を傾げた。
「は?名前だよ?何にしたの?」
「だから、といれっとぺーぱー」
わさびは、はあっと溜息を吐いて町で見てきた名前を思い出している。
「そんな目立つ名前の人はいなかったよ。」
わさびは首を横に振りながら言った。
「じゃあ、違う町からスタートしてるとか?」
「多分、そうだと思うけど…?
ラビの平原、ウルフの森、ゴブリンの平原のダンジョンでの、目撃情報は無いし…。」
「あら?ベアの森は?」
「ベアの森?パーティ、もしくは、レベル15以上の人向けのダンジョンに行ってると思う?ベアの森に挑んだ人は、見つからなかったから情報は無いよ。」
「…そう。じゃあ、仕方ないわね。他の町に行ってみましょう。」
「うん。私は武器買ったし、直ぐ出かけられるよ。お姉ちゃんは?」
「私も平気よ。魔法書を購入して、習得しておきました。」
「じゃあ、急ごう!お姉ちゃん!」
わさびが勢いよく立ち上がって言った。
「そんなに慌てなくても、ツバキなら平気だと思うけど?」
からしが首を傾げながら言った。
「お兄ちゃんが、死ぬとかこれっぽっちも思って無いから。
お兄ちゃんの事だから、リアルラックで切り抜けるよ!」
「そうね。」
わさびの言葉に、からしが同意して頷いた。
「でも!急がないと、お兄ちゃんがカモられる!」
「そうね!急がないと!」
からしが勢いよく立ち上がった。
「カモがネギ背負って歩いているモノよね!」
からしが同意を求めるように、わさびを見ながら言った。
わさびは、首を横に振って溜息を吐いた。
「お姉ちゃん。甘いよ。練乳に砂糖足したのより甘いよ。」
わさびの言葉に、からしが首を傾げた。
「カモがネギ背負ってるレベルじゃないよ!
カモがネギ、野菜セット、豆腐、土鍋、カセットコンロを背負って歩いてるんだよ!
捉まったら身ぐるみ全部剥がれちゃうよ!急がないと、お兄ちゃんスッテンテンだよ!」
わさびが勢いよく言い、からしが激しく首を縦に振って同意している。
「そうよね!急ぎましょう!!」
「そうだよ!急がないと!!」
『カモられる前に、捕獲しないと!』
わさびとからしは、揃って同じ事を言って東の町【ガネリア】を出発した。
【ラビの平原】を通り抜けて、南の町【トリシア】を目指すのだった。
~とある武器屋の店主~
デスゲーム初日
黒目黒髪で、体格は細い方の男が店に入ってきた。
男はきょろきょろと辺りを見回している。
それを見て、ゲーム初心者だと判断した。
笑顔で出迎えると、男は安心したような表情になった。
営業スマイルが崩れないように気を付けながら、剣を薦めた。
やはり男は初心者だった。
ただの銅の剣120Gを、1500Gで買わせてやった。
男は全く疑いもせず、礼を言って笑顔で店から出て行った。
暫くの間、笑いが止まらくなった。
既に手遅れだったりする。