捜すと見つからないよね
今回、主人公は出て来ません。
~知り合いと遭遇 わさびとからし~
わさびとからしは、【ゴブリンの平原】を抜けて【プラディエル】に到着していた。
「もう、二日も捜してるのに、何で見つからないの?!」
わさびが文句を言いながら歩いている。
「人が多いし…、もしかしたら、ここには居ないのかも知れないわね~。」
からしが隣を歩きながらのんびりと言った。
「お姉ちゃんは、心配じゃないの?」
「う~ん。心配はしてるわよ?でも、ツバキの事だから生きてるわよ。」
「それは、そうだけど…、早く会いたい。」
わさびが俯いて言った。
「そうね。私達が見つけないと、ツバキは私達の名前も容姿も知らないものね。」
「そうだよ!私達が、お兄ちゃんを見つけないと!」
からしが言うと、わさびが握り拳を作って言った。
「…あの、ちょっといいかな?」
金髪で青い瞳の男性プレイヤーが二人に近づいて来た。
「何?軟派ならお断りだけど?」
わさびが、男性プレイヤーを睨んで言った。
「ああ、いや、その、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
そう言って、男性プレイヤーは顔を近づけてきた。
からしとわさびは、それぞれの武器に手を置いた。
「…あのさ、もしかして、紅葉さんと、楓ちゃんか?」
男性プレイヤーが小声で聞いてきて、二人は驚いた。
からしは男性プレイヤーの名前を見て、武器から手を離した。
「タクヤさん?」
からしが首を傾げながら言った。
「ああ、うん。そこの店に仲間も居るんだ。立ち話もなんだし、行かないか?」
男性プレイヤーが近くの喫茶店を指差して言った。
「…本当に、タクヤさんなの?と言うか、何で解ったの?」
わさびが男性プレイヤーをじーっと見ながら聞いた。
「ああ、何で解ったか?その名前かな。二人は何時も、その名前でゲームをしてるから。う~ん、俺が俺である証明か……、お、これならどうだ?高速ママチャリ事件!」
「タクヤさんだ!」
男性プレイヤーが言うと、わさびが喜んで言った。
「まあ、今はタクだから、そっちで呼んでくれ。ツバキの事件で俺だと解るとは…。」
タクは笑って言い、三人は喫茶店に入った。
「ええと、あの席だな。」
タクが指差した席には、二人のプレイヤーが座っていた。
赤い短髪と紅い瞳の男性と、水色の髪と瞳の女性が座っている。
「待たせたな。カルロ、リン。」
タクが席に着き手招きをしたので、わさびとからしも席に着いた。
「誰ですか?」
赤い短髪の男性が二人を見て首を傾げて聞いた。
「ああ、ツバキの姉さんと妹さん。」
タクが二人の事を言うと、座っていた男性と女性が驚いて目を丸くした。
「え?!ツバキさんの、姉妹?!じゃ、じゃあ、ツバキさんも来てるんですか?」
男性がガタッと立ち上がりながら聞いてきた。
「おい、落ち着け、カルロ。」
「あ、はい。」
タクが言うと、カルロは大人しく座った。
「えっと、リアルの知り合いなんですか?」
「ああ。解ったと思うが、ツバキとも知り合いだ。」
からしが聞くと、タクが答えた。
「カトウです。あ、今はカルロですけど。宜しくお願いします。」
男性、カルロが笑顔で言って、会釈をした。
「シミズです。リンと呼んで下さい。宜しくお願いします。」
隣に座っていた女性、リンも会釈をしながら言った。
「ツバキの姉で、からしです。宜しくお願いしますね。」
「お兄ちゃん…ツバキお兄ちゃんの妹の、わさびです。宜しくお願いします。」
わさびとからしも会釈しながら言った。
「さてと、自己紹介も済んだな。…それで、ツバキは来てるのか?」
タクが聞くと、わさびとからしは顔を見合わせて溜息を吐いた。
「来てるけど、まだ会ってないから、居場所とか解らなくて…。」
「元気って事は、解ってるけれど。」
わさびとからしが順番に言った。
「…誰かと一緒にいるんだよな?」
タクが二人を見ながら聞くと、二人は首を横に振った。
「あ、そうか、会ってないから解らないか…。ツバキ一人だと、カモだからな。誰か、しっかりした奴と一緒だと良いんだけどな…。」
タクが溜息を吐きながら言った。
「ツバキさんだけだと、カモられ放題ですからね。」
カルロが言うと、五人が揃って頷いた。
「そうだよ。お兄ちゃんだけだと、カモ鍋セットだよ。」
わさびが俯いて言った。
「…カモ鍋セットじゃ済まないだろ。プラスで、高級松坂牛ステーキセットとか、タラバガニの盛り合わせとかが付いてくるだろ。」
「それにプラスで、胃薬とか付いてきそうですね。」
タクが言うと続いてカルロが言い、五人は溜息を吐いた。
「…あれ?でも、元気って解ってるんですよね?」
「はい。掲示板の方に、名前が載ってるので、元気なのは解ります。」
リンが首を傾げて聞き、からしが答えた。
「あれ?それなら、誰かと一緒だろ?」
タクが掲示板の名前を思い出しながら言った。
「そうですね。一人を除いて、誰かと一緒ですよね…あ~、何か解りました。」
カルロが頷きながら言って、溜息を吐いた。
「ああ~、一人で行動している、といれっとぺーぱーがツバキか…。」
タクの言葉に、わさびとからしが頷いた。
「それで、二人はまだツバキを捜すのか?」
「もちろん!」
タクが聞くと、わさびが元気よく答えた。
「…わさびさんには、悪いのですが。捜すのは止めた方が良いと思います。」
『え?』
リンが言うと、他の四人が驚いて言った。
「何でだ?ツバキの事が心配じゃないのか?」
タクが驚きながら聞くと、リンは首を横に振った。
「心配ですけど。ツバキさんって、捜してる時は見つからないのに、捜すのを止めたらヒョッコリ現れたりしますから。後、カモられる事は多々あると思いますが、ツバキさんなら、スッテンテンになっても何とかすると思うんです。だから、捜すのは止めて、レベル上げとかをした方が良いと思うんです。」
「あ~、確かに、捜すと見つからないよな。」
リンの言葉に、タクが頷いて言った。
「確かに、そうかも…。」
わさびが呟いた。
「どうする?俺等は、クリア目指すからレベル上げとかするが…、勿論、カモを見つけたら捕獲するが。女性二人は危ないし、一緒に来るか?」
タクが聞くと、わさびとからしは顔を見合わせた。
「そうね。私は一緒に居た方が良いと思うけど、どうする?」
「…お兄ちゃんの事、捜さないの?」
「全然捜さない訳じゃないわ。レベル上げをしながら、捜せばいいでしょ?私たち二人だと、軟派が酷いし、男性が居ると変な事に巻き込まれなくて済むかもしれないでしょ。」
「…うん、そうだね。レベル上げしながら、捜せばいいよね。」
「タクさん、宜しくお願いしますね。」
からしが言って会釈をすると、わさびも一緒に会釈をした。
「おう、宜しくな。ええと、わさびが剣士か?」
「二次職の、暗殺者になりました。」
タクが聞くと、わさびは首を横に振って答えた。
「おお。それなら、全職業が揃うパーティーになるな。俺は重剣士だ。」
「俺が、聖騎士です。」
「私は僧侶。」
「私は魔法使いです。」
タク、カルロ、リン、からしの順に言った。
「じゃあ、パーティー申請送るぞ。これから、宜しく。」
タクが、からしとわさびにパーティー申請を送って、五人パーティーになった。




