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店長さんの頼み事

「代金は要らないわ。代わりに、モンスターの素材を持って来て欲しいの。」

「…いいですけど、何のモンスターの素材ですか?」

俺が倒せるモンスターの素材なら、集めに行って来よう。

「え?あ、違うわよ。態々採りに行くんじゃなくて、持ってる物をこの店で売ってほしいの。」

リリアさんは首を傾げた後、微笑みながら言った。

確か、クマさんの素材が道具袋に入っていたはず。

「何でもいいのなら、持ってますよ。」

「本当?!素材が無いと何も作れないから、困ってたの。何何、何持ってるの?」

リリアさんが興奮して身を乗り出しながら言った。

「トレード画面を開いてくれないと、渡せませんよ。」

リリアさんは直ぐにトレード画面を開いた。

俺が持っていても意味が無いので、クマさんの素材を全部渡した。

「どれどれ~。」

リリアさんは椅子に座って、受け取った素材を見始めた。

そして直ぐに、眉間にしわを寄せて俺の顔を見た。

「え?迷子になってた森って、【ベアの森】だったの?」

「え?はい。クマさんが出て来る森でした。」

俺が答えるとリリアさんは驚き、再び素材リストに視線を移した。

「え?嘘…、ブラッディベアキングの素材があるんだけど?」

ブラッディベアキング?……ああ!あの、食べ物粗末にしたクマさんか!

「といれっとぺーぱー!」

リリアさんが勢いよく立ち上がりながら言った。

「この素材を使って、貴方に武器を作るわ!楽しみにしてて!」

そう言って、リリアさんは作業場だと思う方に走り出した。

「待って下さい!リリアさん!」

俺が名前を呼ぶと、リリアさんは勢いよく振り返った。

「すみませんが、先に魔法書と武器を売って貰えますか?」

リリアさんは、あっと口を抑えて座っていた席に戻って来た。

「武器だけど、この鋼のロングソードを使って。魔法書はこの三つね。」

リリアさんが魔法書をテーブルの上に置いた。

「えと、魔法書を全部買える程、お金が…」

「要らないわよ!貰った素材で、元は十分取れるわ!」

リリアさんはガッツポーズしながら言った。

「そ、そうですか。」

「貴方に渡す武器だけど、明日になるから!」

言いながらリリアさんは、作業場の方に向かって走って行った。

……良かったのだろうか?騎士服を一式と武器と魔法書三冊を、クマさんの素材と交換したが。

確かに、クマさんの素材は結構な量が有ったけど…。リリアさんが、損しなければいいんだが。

テーブルの上に置かれている魔法書を手に取り、使用した。

【ヒール】 単体のHP小回復 を習得しました。

【エリアヒール】 術者の半径二m内のHP小回復 を習得しました。

【シールド】 任意の場所に護りの盾が出現 を習得しました。

魔法を習得して鋼のロングソードを腰に付け、置いてあった黒いコートを着た。

ちょっと街を見て来よう。もしかしたら、姉さんと妹がいるかもしれない。

……あ!姉さんと妹のキャラ名知らないし、容姿も判らないな。

………ま、いいか。どっちかが、俺の名前を弄ったんだし、見つけてくれるだろう。

俺はリリアさんの店を出て、大通りの方に向かって歩いた。


ふらふら歩いていると、道の端の方にNPCの少年がお腹を摩っていた。

NPCは頭上に、NPCと表示されるのでプレイヤーと間違える事は無い。

少年の口が何かを言い、お腹を摩り俯いた。

少年の視線の先にある店に向かい、肉の串焼きを買い少年に近づいた。

「ちょっといいか?」

俺が声を掛けると、少年は驚いて俺を見た。

「実はな、そこの店で買い過ぎて食べきれないんだ。」

言いながら持っている肉の串焼きを見せると、少年の目が釘付けになった。

「良かったら、食べないか?」

肉の串焼きを少年に差し出す。

「え?でも…」

「食べきれないんだ。食べてくれると、助かるんだが。」

少年は肉の串焼きと、俺の顔を何度か交互に見て、こくんと頷いた。

「ありがとう。助かるよ。」

言いながら、少年に肉の串焼きを手渡した。

少年は受け取った肉の串焼きに齧り付き、凄い勢いで食べ始めた。

「喉に詰まらせるなよ?そんなに慌てなくても、誰も取らないぞ?」

少年の隣に立って、俺も肉の串焼きを食べ始める。

視線を下げると、少年は食べ終わっていた。

「……まだ食えるか?」

言いながら紙袋に入っている肉の串焼きを、紙袋ごと差し出した。

少年は目をキラキラさせて紙袋を見て、俺を見上げた。

「ほら遠慮するな。全部食っていいぞ。」

俺は笑顔で言いながら、少年に紙袋を渡した。

「ありがとう!お兄ちゃん。」

少年は紙袋を受け取って、笑顔でお礼を言ってくれた。

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