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12星座別恋愛小説

12星座別恋愛小説 ~うお座~

作者: 黒やま

これはあくまで私の主観で書いたうお座像ですので

この小説を読んで気を悪くしたうお座の方がおられましたらご容赦下さい。


♓2月19日~3月20日生まれ Pisces♓


*包容力がある

*優柔不断

*直観力・ヒラメキが鋭い

*ロマンチスト

*自己犠牲の精神



「うふふ~、うふふ~。」


「ちょっとその不気味な笑い何とかしなさいよ。」


「あは。すいません、もうこれからのデートが楽しみで楽しみで仕方ないんです。」


双川(ふたかわ) 真魚(まな)は業務中にもかかわらず頭は今日のデートのことでいっぱいだった。


「全く双川は・・・、今は仕事中なんだからシャキッとしなさい。」


「はい。私あと少しで終わりですので、シャキッどころかジャキッちゃいますよ綾瀬(あやせ)先輩。」


「ジャキッてむしろ危ないわね。」


真魚の二つ先輩である綾瀬は可愛い後輩のアホな発言に心配そうな表情を浮かべる。


「それだけ今のカレにゾッコンラブってことですよ、真魚さんは。」


芳岡(よしおか)~、よく分かってるじゃん。」


芳岡は真魚の同じ看護大学の一つ下の仲の良い後輩で今年この病院に勤務しはじめたばかりであった。


「あれ?けどこの前彼氏と別れたって言ってなかった?ほら銀行員の人と。」


「それがまた新しいのが出来たんですよ、一週間前に。

 どうも今度は売れないミュージシャンらしいです。」


「はぁ!?また!?」


「これは運命の恋なんです。今度こそきっと!!」


真魚の口癖が今日もまた飛び出した。


「双川あんたねぇ、毎回毎回交際するたびにそんなこと言ってるけどこれで何度目なの?」


「えっと・・・数えきれないほどの恋をしてきました。」


「要するに覚えてないってことですよね。」


「大体この前の銀行員とはなんで別れたのよ、あんなに相思相愛だって

 患者さんの前でノロけてたじゃない。」


「それが聞いてくださいよぉー、彼に重いって言われちゃったんです。

 私はただ彼に喜んでほしかっただけなのに~。」


「あぁー、真魚さんってそういうとこありますよね。」


「そういうとこ?」


「相手のことを思いすぎて自己消滅みたいな。」


「自己消滅・・・自業自得・・・。」


「そこまでは言いませんけど、だって大学生の時のあれだって。」


「あれって?」


「そっか綾瀬さんにはお話したことないですもんね。

 真魚さんが大学生の時三年間付き合ってたカレがいたんですよ。」


「へぇー、そんなに長く続いてたの。今の双川からじゃ想像できないわ。」


「普段の私は一途なんです。今はただ愛の狩人なだけです!」


「・・・で、その彼氏との間にトラブルでもあったの?」


「そのカレが二股してたんです、しかも相手の方が本命で真魚さんの方が浮気相手で。

 普通そのことが分かった時点で別れますよね。」


「まぁね、私の場合は一発グーパンチするけど。」


綾瀬は拳を前に突出しパンチするジェスチャーをした。


「が、しかし!真魚さんは怒るどころか許したんです。

 そして『貴方がすきなの、二番目でいいから。』って言ったら

 カレに『君の気持ちを受け止めるには俺の心は汚すぎた!』って断られて逃げられちゃったんですよ。」


芳岡は大げさに身振り手振りをつけて当時の状況を再現してみせた。


「うわぁ~、重いわ。」


「どうしてですか!?純愛でしょう?こんなに相手のことを想って幸せで・・・」


「双川はそれで幸せかもしれないけど、相手にはその分負担がかかるのよ。」


「私は別に見返りなんて欲しくありません。だから負担だなんて思わず

 そのまま受け取ってもらってくれればいいんです。私がしたいだけだし。」


「分かってないですね、真魚さんは。女は愛すより愛されろ、追うより追われよ。」


「愛されるのもいいけど、尽くしてると私この人の事好きなんだなって実感できるの。

 愛すことこそが私の幸せ、満足できるの。」


「真魚さん絶対ヒモとかに弱そう。それで将来借金の連帯保証人とかになって自己破産を

 しちゃうみたいな。」


「有り得るわね。」


「それはさすがにないと思うけど、相手を好きなら自然とそうなるよ。」


「危ないですよ、ちゃんと男は見定めないと。自分が損しちゃいます。」


「自分の損得は恋愛において関係ないと思う。だって好きだから。」


「これは・・・身を投げても男に尽くすタイプですよ、これじゃあ相手も堕ちますよ。」


「芳岡の言う通りよ。そんなんじゃせっかく好意を抱いてくれた男もダメ男になって

 最終的にみんなあんたの前から去っていくわよ。」


「好意を抱いてくれたのが嬉しくてそれを表現してるだけなのに。」


「双川の愛情表現は過剰すぎるってことね。」


「そうですか、私は知らず知らずの間に相手の重荷になって

 ダメにしていくマイナス女だったんですね・・。」


さっきまであんなに自論を目を輝かせて説明していたのに


今はしゅんと背中を丸めて小さくなり負のオーラを纏っている。


「綾瀬さん、言い過ぎじゃないですか。何とかしてください。」


「えぇ!?私のせいなの。芳岡だって言いたい放題だったじゃない。」


「こういう時は年上の人がするものでしょう。」


「都合の悪い時だけ年上扱いして・・・。」


と言いつつも綾瀬も少なからず悪いとは思っていたのでとりあえず慰めることにした。


「ねぇ、双川。今の彼氏とはいい付き合い方しなさいよね。

 あんたは優しくて思いやりのあるいい子だから、相手のために何かしたいと思うのは分かるけど

 自分をしっかり持ちなさい。相手と自分のためにも。」


「そうですよ、真魚さん。優しいのが取り柄ってのもいいですけど、

 その優しさを少し自分にも向けてあげなきゃ。」


「先輩、芳岡・・・。」


二人の言葉に励まされ少し元気を取り戻した真魚をみて素早く芳岡が話題を変える。


「それはそうと、今のカレとはどうなんですか?」


「え~。」


真魚は急に聞かれもじもじと指を絡ませ恥ずかしそうな顔をしたが一旦口を開くとペラペラと話し始めた。


「えっと~、今の人は無愛想だけどひたすら音楽に打ち込んでいる姿に一目ぼれして・・・

 私はただ彼の背中を見つめてるだけで幸せ。何も言わなくてもお互いの考えてることは分かる感じ。

 こういうの以心伝心っていうのかな~、彼となら絶対大丈夫!二人で地の果てでも地獄でも行ける!」


先程の忠告はどこへいってしまったのか、いつもの調子に戻っていた。


「心配・・・。」


「もう真魚さんがいいんならこれでいいんじゃないですか。」


真魚の幸せそうに語る表情を見て二人は肩をすくめた。


「あっ、あがりの時間ですのでお先に失礼します~。」


終業時間ぴったりに席を立ちあがり真魚はスキップしながら更衣室へ立ち去った。


「常に恋に全力投球な真魚さん、あんなに真っ直ぐに人を想えるなんてちょっと羨ましいかも。」


「周りを見失うこともあるけど、あの子に愛される人って幸せよね。」


二人のそんな羨望の眼差しに気付いたのか私服に着替えた真魚がヒラヒラと手を振った。


「コラー!!綾瀬に芳岡!口を動かしてる暇があるなら手を動かしなさい!」


「「はっ、はいっ!!」」


婦長に怒られ綾瀬と芳岡の二人が仕事に戻るなか


真魚が外へ出ると一陣の風が強く吹いた。


着ているコートを押さえてるとしばらくして風はどこかへいってしまった。


「すごい風、これは春一番かな。」


風が吹いた後はわずかながら暖かい空気を感じられたような気がした。


「恋をはじめるにはぴったりの季節になるね。」


真魚はデートという名目の彼の六畳一間のボロアパートの片づけに直行した。

今回は少し変えて女同士の会話のみにしてみました。

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