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第16話 孤独な王女と聖女の出会い


 エルドアナ国を出てから20日が経った昼過ぎ頃、私が乗り込んだ船はようやく最終停留所であるラバディース国の港へと辿り着いた。


「ここがラバディース国……」


 船から下船した私の瞳に映るラバディース国の港の景色に私は目を奪われた。

 色取りの建物が立ち並び、港には出店が沢山、出ていた。


 高台にはこの国の王城が聳え立ち(そびえたち)

 その王城に繋がる坂道の両道には緑の葉をつけた木々が立ち並んでいる。


「取り敢えず、乗り換えの船に乗らないとね」


 ラバディース国に留まるつもりはなかった為、私は別の目的地行きの船に乗船することにした。


 

 

 案内人の男性が手に持っていたディアーヌ帝国行きというプラカードを見て、私はディアーヌ帝国行きの大型客船に乗り込んだ。


 ラバディース国の港には沢山の客船が止まっていたが、下車した船が止まっていた場所から近い所に止まっていた船だった為。

 ただそれだけの理由だった。

 

 この時は最強の聖女と名高い。

 アディラーゼ王国の聖女様──


 カトレア・リーゼ様と船内で出会うことになるとは思ってもみなかっただろう。

 

「大型客船なだけあって広いわね。迷いそうだわ……」


 船内に乗り込んだ私は甲板を歩きながら、客室がある階へと向かっていた。

 しかし、途中であることに気付く。


「部屋って予約制なの……?」


 甲板を通り過ぎて、船内にある階段を降りようとした所、下の階から登ってきたカップルらしき男女の会話が耳に届く。


「ねえ、部屋、ちゃんと予約したわよね?」

「ああ、勿論したよ。忘れるわけないだろ? そんな大事なこと」

「まあ、そうね」


 カップルらしき男女の会話を聞いて、客室である部屋が予約制だと私は気付いたのだ。

 そして、今に至る訳である。


 脚本の部屋はどうやら予約制であるようだ。

 つまり部屋の予約をしていない私は泊まる部屋がないということになる。


「どうしましょう……」


 私は不安になりながらも、ひとまず階段を降りて下の階へと行くことにした。


 一つ下の階へと繋がる階段を降りた私は、下の階にある通路を平然とした顔で歩いていた。しかし、内心はかなり焦っていた。


(本当、どうしましょう…… ベッドで眠れないなんて嫌すぎるわ。バロットから渡された鞄の中にお金は入っているけれど)


 客室の通路を歩きながらこれからのことを考えていると、前方から歩いてきた同い年くらいの女性が視界に入った。


 とても綺麗な青い瞳と白髪。

 そして何より整った容姿に私は思わず見惚れてしまう。


 その女性は私を見ることなく横を通り過ぎて

 行く。

 私は足を止めて、立ち去って行く白髪の女性の背中を見つめてから、身体の向きを変えて、その女性が歩いていく方向へと足早に歩き始めた。




「あの、すいません。少しいいですか?」


 私は白髪の女性の背後から声を掛けた。

 白髪の女性は私の声に足を止めて私がいる方へと向く為、振り返る。


「何でしょうか?」

 

 振り返り私の顔を見てから、白髪の女性は私にそう私に問い掛けてきた。

 私と同い年くらいの白髪の女性。

 深い青色の瞳が私の姿を捉えていた。


「あの、私、部屋の予約を取り忘れてしまって。お金は払うので同室させて貰えませんか?」

「え……? 同室ですか!」


 見ず知らずの赤の他人にいきなり同室を頼みこんできたことに驚いたのか、目の前の白髪の女性は少し驚いた顔をする。


 それもそうだろう。

 見ず知らずの赤の他人にいきなり同室をお願いされたら誰だってきっと驚く。


 しかし、私はここで怯む訳にはいかなかった。寝る場所の確保の為だ。

 私は真剣な顔で目の前にある彼女を見てから、頭を深く下げた。


「どうかお願いします……!」  

「頭を上げてちょうだい! わかったわ、取り敢えず部屋に行きましょうか」


 唐突に頭を下げてきた私を見て、彼女は慌てた声でそう言ってくれた。


 私は目の前にいる白髪に青い瞳をした自分と同じ年くらいの女性と共に客室の通路を再び歩き始めたのであった。


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