魔法少女の変身には時間がかかるようです。
小学生低学年の頃に流行ってた。
魔法少女のアニメがあった。
その魔法少女の変身にはステッキがあってそれで変身するらしいです。
魔法の力で悪を退治する。
そんな、アニメでした。
私はそのアニメが好きでした。
小学生は可愛いのです。女の子は可愛いのです。
子供は可愛いのです。
大人は、子供の、言うことを素直に聞くのです。
だって、可愛いのだから
もちろん、私も知ってます。
学校で学びました。
大人は偉いので子供に自由を奪う。
自由を履き違え、間違った素直を学ばせるための
大人の奴隷を作ってきたのです。
ただ、大人の、先生の、親の、可愛いは
大人の都合で変わっていくのです。
大人は自由でいいですね?
申し遅れました。
私は魔法少女です。
なんたって、魔法少女に憧れた。
魔法のステッキも持ってる。
魔法少女なのですから
ええ、ちゃんと、可愛いという魔法を持ってます。
ちゃんとしたステッキも持ってます。
乾電池という奇跡も魔法も無いものは入っていないのでアニメみたいに音はなりません
いいえ、私はわかってたのです。
私は魔法少女ではないということを
ただ、魔法少女と名乗らしてください
ここでは、この話だけは、私の話だけは、
ちゃんと魔法少女と名乗らしてください。
報道も実名で構いません。
ただ、ここでは、この場所では、魔法少女と名乗らしてください
私の事なんてどうしてもいいですね?
話の続きです。
高校生になりました。
性や俗に塗れ大嫌いな大人になる手前の歳です。
子供のまま、子供で、魔法少女のまま、魔法少女になりたかったのです。
そうです。
大人は、みんなそうです。
音の鳴らないおもちゃと馬鹿にしますがただの硬い棒でしかないかもですが
私にとってはちゃんとした悪を退治できる。悪者を退治できる。
魔法のステッキなのです。
母を殺しました。
父は元々いません。
私が産まれる時に否認したそうです。
なので、父は元々いません。
魔法なので、魔法少女なので、魔法のステッキなので、
ドライバーと乾電池を買ってきました。
あの頃のように、まるで今まで違うと否定してきたかのように、魔法少女ではないと、お前は今まで魔法少女ではないと言われたかのように、
『おもちゃ』からは音がなりました。
魔法のステッキを振り回して遊んだ時のように、今も私は魔法少女と思いたかったように、
魔法のステッキを振り回しました。
うるさい!!!
そう声が聞こえました。
あんた、誰よ。
そう声が聞こえました。
母はおばあちゃんになってました。
認知症の始まりでした。
私は25歳でした。
魔法のステッキ……音の鳴る……本物の……魔法のステッキ……大人は悪で……子供は正義で……
母を殴ってました。
魔法のステッキには血が着くほどに、音の鳴る本物の魔法のステッキは、音の鳴らない偽物の魔法のステッキに
違います。嘘です。
本物の魔法のステッキは偽物のおもちゃに変わっていたのです。
殴ったら硬いおもちゃに変わっていたのです。
人を殺した。母を殺した。
わかってます。介護に疲れたとか、魔法のステッキではないとか、魔法少女にはなれないとか、
魔法はあるのに、魔法は無いと、馬鹿にされた。
あの、少女時代に
魔法はあります。ステッキもあります。ちゃんとした魔法の少女なのです。
「わかった。わかったから……」
わかってないです。
私は、今は魔法少女なんですよ!!!苦しんできたんですよ!!!魔法なんてないなんて知ってますよ!!!
だから……刑事さん……私を、どうか、私を、子供の私を、魔法少女の私を、
捕まえてください
「今日未明、山田幸子さん56歳が母である92歳山田静江さんを硬い何かで何度も打撲を負わせ警察に自首しました。また、容疑者である山田幸子さんは経度認知症であるということも分かり今後も事件の調査をしている模様です。」
「続いてのニュースは2516年、地球温暖化により新たな酸素勢が加わりそれによる講義が国会議事堂まで来ました。デモ隊は熱中症で倒れた人の上に立ち死者が16名軽傷者が32名いました。」
山田幸子8歳
「嗚呼、どうか、こんな日本にはならないでください」