第64話:ジオスライムの恐怖のうた
ユレノの見せ場、第2弾です
お楽しみください(っ'~')っ
アイアンイーターの次に召喚された、それら。
何か、茶色いスライム?がたくさん。
(こ、これは……。これからなにが始まるのかしら?)
流石にあたしも、声が出せないでいた。
辺り周辺が、アイアンスパイダーと、スライムで覆われている。
誰でも、この場から逃げ出したくなるんじゃなかろうか?
(いやなる。ならないはずがない)
あたしは、つい倒置法で突っ込んでしまった。
ところが、このジオスライムとか言うやつ、めっちゃ凄いやつだった。
いや、スライムって奴を、スライム全種族を侮ってました。
(ごめんなさい!!スライムさん達)
思わず心の中で、謝っちゃうわよね。
ジオスライム達がまずやったこと。
「ジオスライムさん、アイアンスパイダーを1箇所に。ジオアースッ!!」
ユレノの合図1つで、ジオスライム達が、何やらプルプル震え出した。
すると、アイアンスパイダー達の動きが止まる……。
そして、アイアンスパイダー達は、あたし達の目の前に、集められた。
「ええええ、なんで、こんなとこに呼び寄せるのよ、ユレノっ!!」
なんとか、突っ込んだあたし以外のメンバーの顔は、蒼白だ。
「これは、ジオスライムの能力の1つで、磁力を操作致しますの。アイアンスパイダーは、鉄で出来てますから、磁力の影響を受けやすいんですのよ。次は、まあ、見ててくださいですの」
なのに、ユレノは(ニッコリ)と笑い、また指示を出す。
「ジオスライムさん、ジオグラビティッ!!」
そのユレノの声に反応するかのように、今度はジオスライムの色か点滅し……。
アイアンスパイダー達の動きが、完全に止まる。
そして……。
「……ギシッ」
「……メシッ」
「ギ、ギ、ギ……」
という鉄の軋む音が響き始める。
「え、まさか……」
「はいですの。ジオグラビティは重力を操作することができますの。重力を操作することで、アイアンスパイダーに数倍の重みを与えているのですの。ジオスライムは、このように、大地の磁力、重力を限定的に操作して、相手の動きを封鎖。そして、相手を圧縮した結果、圧死させることまでできますの。もっとも、アースドラゴンなどのように、大きすぎる相手には、無効なのですけど」
ユレノの、穏やかな笑顔が、逆に怖い。
今までのどんな恐怖にも勝る怖さだ。
アイアンスパイダー達は、どんどんその体躯を低くしていく。
そして遂に、アイアンスパイダーは、元の身長の半分位に縮んだところで、目に宿っていた光を消すことになった。
「ここに居るアイアンスパイダーは、倒しましたの」
「「「「「……」」」」」
ユレノの声だけが木霊したように聞こえた。
あたし達はみな、同じことを考えたに違いない。
(コイツを怒らせるのは、絶対にやめよう。この世を破滅させる)
……。
まだ、アイアンイーターは、アイアンスパイダーを吸収している最中だったが、アイアンスパイダーは、もう動くことはなかった。
僅かに残っていたアイアンスパイダー達も、逃走していた。
そして静かに、夥しい数と数の攻防は終わりを告げた。
あたし達、無名の月のメンバーの心に、しっかりとトラウマを植え付けて……。