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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第6部:ロックリザードの巣窟編
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第58話:主との対話のうた

勇者フリスが、パーティーを離れ、一人で主に立ち向かいます

フリスの戦闘を、お楽しみください(っ'~')っ


崖の上で、僕は森の主と対峙する。

立ち上がる主の咆哮が、森全体を震わせる。

そして、四つ足で大地を掴むその姿は、まるで小さな山のようだ。


先に動いたのは、主だ。

地を揺るがす突進から、その瞬間だけ立ち上がり上段から放たれる、巨大な爪の一撃。

僕は、それを大剣で受け止める。ゴオオオン!と、重い衝撃音が響き渡り、僕の足元の岩盤が砕け散る。


「くっ…!」


主は、力押しだけではなかった。僕が大剣で押し返したのを見て、即座に体勢を入れ替え、その長大な尻尾を、鞭のようにしならせる!!

僕は咄嗟に後方へ飛び退き、それを避けるしかなかった。僕のいた場所は、尻尾が叩きつけられ、岩を粉砕していた。


(強い……。 これは、流石に一撃必殺なんて言ってられないか……!)


僕は、ただひたすらに、剣と、技と、そして勇者としての勘の全てを総動員して、その猛攻を凌く。

主と言えど、いつまでも連撃を続けられる訳でもなく、反撃を加える。

しかし、うつ伏せは弱点のコアを、巧妙に隠す。


(……、攻撃が、コアに届かない)


僕は、珍しく思案していた。


(このままでは、アイツを倒すことができない。どうやって、あのコアを狙えばいいんだろう……。こんな時、マリネが居れば、なにかアドバイスくれてるのに)

しかし、今この場には、マリネは居ない。

マリネ達も、崖下で残りのロックリザード達相手に奮闘している。


(僕しか、コイツを倒せない。僕にしか、出来ないんだ。考えろ。なにか手はあるはずだ……)

戦闘でこんなに頭を使うのは、本当に久しぶりだ。

いつも、どれだけリーダー、マリネに頼っていたかを実感する。


(マリネって、本当に凄いんだな。戦闘中に、自分だけじゃなくて、チーム全体のことを考えてるんだもんな。僕なんて、自分の事でも、手一杯なのに……)

戦闘中に、そんなことを考えて、一瞬主の攻撃を受け損なってしまった。


「くっ、余計なことを考えちゃダメだ。集中しろ。そして、コアに攻撃する隙を掴むんだ」


僕は、それからいろいろ試すことにする。


(僕は、考えたっていい案なんて思いつかない。なら、試すだけ試して、有効な手を見つけるだけだ)

頭に斬りつける。

尻尾の攻撃を受け流して、背中に飛び乗る。

そして、背中に剣を突き立て……、られない。


(硬すぎる。なんて硬度なんだ……)

あまりにも硬すぎて、剣は突き刺さらなかった。

しかし、ここで光明を見つけた。

この攻撃を受けると、主は立ち上がって、僕を振り下ろし、そして前足の爪で、なぎ払いをしてきた。


初めて見せたその隙に、一度は飛び退き退けることに専念する。


(焦るな。慎重に行動するんだ。いつもマリネがそう言ってる。そうすれば、必ず道が見えるっ)


そうして、何度か石化光線を避け、舌による鞭のような恐ろしい攻撃を躱し、伏せた状態の前足のなぎ払いを剣で受け止め続けた。

尻尾による攻撃を待ち続ける。

もちろん、効果なくても剣で斬りつけ、防御させることも、忘れずに行った。


(出来ることは、何でも試す。僕にはそれしか出来ないんだから……)

どれだけ時間が経ったのだろう。

気づくと、息が少し苦しくなってきていた。


(あ、石化防止のマスクの効果が……)

主は僕のその隙を逃さなかった。

僕の虚をついた尻尾攻撃を仕掛けてきた。

僕は確かに虚を突かれたけど、これを待ってたんだ。


(落ち着け。そうすればしくじらない)

自分にそう言い聞かせ、尻尾攻撃を躱し、できたその一瞬の隙に、主の背中に飛び乗る。

そして、その大きすぎる背中に、僕は大剣を突き立てた。


主は、立ち上がり、僕をふるい落とし……、

大きな咆哮をあげながら、前足の爪によるなぎ払いを仕掛けてきた。


〈グオオオオオオ……〉


その声に、思わず気を取られそうになる。


(今だ。今しかないっ)

僕は思い切りダッシュで前進。


「ここだっ!!」


主の喉元に光る、その、美しいコアを

僕は大剣で思い切り斬りつける。


〈グギャアアアア……〉


主の大咆哮を浴びながら、僕は一瞬遅れて飛び退き、ギリギリで主の巨躯を躱した。

咆哮を終えた主と視線が合う。


激戦の後だからか、主の眼は優しく、そして、静かに閉じられた。

主の身体が動くことは、二度となかった。


そして、主の身体は美しい彫像のように輝きを放ち始めた。


「……、綺麗だ」


思わず声に出してしまった。

そして、我に返る。


(下の、マリネ達はっ!?)

慌てて崖下を覗いてみると、そこも戦闘は終わっていた。

事情は後でマリネがきっと教えてくれるさ。

とにかく、みんな無事のようだった。


僕は安心からか、目を閉じその辺の木にもたれかかって、休むことにした。


(なんだか、久しぶりに酷く疲れた……)


ようやく、ロックリザードとの戦闘が終わりました

お疲れ様でした


では、また(っ'~')っ

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