第5話:新米冒険者パーティのうた
あたしが支援に入るとフリスは、そのまま後方へ下がっていく。
(あの阿呆、あとで絶対に死なす)
心に静かに誓うあたし、マリネ。
怒りパワーが炸裂して、一体目より楽にトドメを刺す。
そして、4人で気になる新米冒険者パーティの所へ。
シビルが、懸命に回復魔法をかけ続けている。
「どう?なんとかなりそう?」
あたしの問いかけに、シビルは静かに答える。
「なんとかな。生命に別状はないが、どちらにしろ、早く街で治療した方がいい事に変わりは無い」
あたしたちは、新米冒険者パーティの4名を急ごしらえの担架に乗せて、街まで運ぶのだった。
.........。
街の治療院に、新米冒険者パーティを任せた後、あたしたちは今回の件の報告のため、ギルドを訪れた。
扉を開け入った目の前に現れたのは、思ってもみない顔だった。
「よう、マリネ。相変わらず、ドタバタやってるみたいだな、ウケるぜ」
この、なんだかな王国ナンバーワンパーティのリーダー、勇者カスだ。
「うっさいわね。あんたには、用なんてないのっ!!さっさと、そこを通して。邪魔よ」
「あーあ、つれないねえ。フリスだけじゃなくてさ、俺の相手もしてくれよ(ニタニタ)」
(キモッ)
あたしは、ゾッとしながらも、なんとかカウンターのリリアの元まで辿り着いた。
「おかえりなさい、マリネ。今回はありがとうね。で、どうだったの?」
「ただいま、リリア。あれはね、ケンタウロスが五体だったわ。新米くんたちも、よくやったと思うわよ。なんとか、ゴブリンダンジョンで、食い止めてたんだから」
「そう。それで、討伐は?」
「ああ、終わったわよ。これらが、素材ね。緊急で対応したんだから、ちゃんとイロ付けてよね(ニコ)」
「はいはい、分かってますよ。じゃ、とりあえずは安心なのね?」
「そうね。他には脅威になりそうなのは、居なかったわ」
「ありがとう。.........、それにしても、なぜあんな所にケンタウロスが.........」
あたしには、最後のつぶやきは聞こえなかった。
ええ、なぜゴブリンダンジョンなんかに、ケンタウロスなんて奴らがいたのかなんて疑問は聞こえませんでしたとも、ええ、ええ。
ギルドに報告が終わったので、あたしたちは、もう一度、治療院を訪れた。
医師によると、もう大丈夫だそうだ。
全員が、無事でなによりである。
ギルドに駆けつけてきた彼に、改めて詳しく話を聞かされることになってしまった。
ここを訪れたことを、心底後悔した。
なにしろ、こちらの意思に関係なく、彼が喋る喋る。
こいつ、伝説の口から生まれてきた小僧じゃないのか?
このパーティは、とても好かれてますね
人気者はつらい、とか言ってみたいモブです