第54話:月光草、その群生地のうた
眼前のロックリザードは倒しましたが、粉塵の石化の問題が残っています
まずは、これを何とかしないことには、冒険の継続はできまさんね
では、どうするのか、お楽しみください(っ'~')っ
ロックリザードの鱗を剥ぎ取り、あたしたちは束の間の休息を取っていた。
口元を覆う布が外せない。浅い呼吸しかできないし、戦闘の疲労も相まって、立っているのもしんどかった。
「……はぁ。厄介すぎるわね、この粉塵。このままじゃ、ジリ貧よね。ユレノ、これ以外の対策って、ホントにもうないの?」
あたしの問いかけに、ユレノは言いにくそうに、口を開いたのよ。
「対策は…ございますの。ただ、それには、特殊な素材が必要なので、事前に準備することは出来ませんでしたの」
「特殊な素材って、なにかしら?どこかで手に入れることは可能なの?」
「はい。この粉塵を中和できる唯一の薬草、『月光草』と言うのですけれども、生息地が特殊なんですの。そのため、王都であっても、なかなか手に入れることが出来ないんですの」
「それじゃ、結局どうしようもないってこと?」
「いえ、月光草自体は、この森に群生地がある事が分かってますの。その群生地を見つけることさえ出来れば、わたくしが対策を行うことができますの」
(はあ、なるほど。この娘を連れてきてよかったってことなのかしらね。あとは、その群生地を見つけることなのね)
「その『特殊な環境』って、どこかも分かってるの?」
「…はい。月光草は、このロックリザードが出す特殊な魔力を養分としていますの。ですので、ロックリザードの巣の周辺にしか、群生していないのですわ」
「「「……!!」」」
ユレノの言葉に、あたしたち全員が絶句した。
つまり、どういうことか。
この先生きのこるための「薬」は、一番危険な「毒蛇の巣」の中にしかない。
なんという、悪意に満ちた生態系なのかしら。
「…なるほどね。さっきの戦闘は、無駄じゃなかったってわけだ」
あたしが呟くと、ルエリが頷く。
「ああ。あいつを倒したからこそ、この先に進むための『鍵』の在処が分かった、ということか」
「そういうことですの。幸い、今倒したこの個体から、巣の気配を辿ることができますの」
ユレノはそう言うと、倒したロックリザードの鱗の欠片を拾い上げ、何やら呪文を唱え始めた。すると、鱗の欠片が淡い光を放ち、森の奥深く、一つの方向を指し示すかのように、明滅を始めた。
「こっちの方角に、強い同種の気配が集まっています。おそらく、巣は近いですわ」
あたしは、光が指し示す、薄暗い鉱石の樹林の奥を見つめる。
そこには、先ほどの一体よりも、遥かに多くの敵が待ち構えているに違いない。
「やれやれ、結局、一番厄介な場所に、自分から飛び込むしかないってわけね」
あたしは深いため息をつくと、双剣の柄を強く握りしめた。
「……行くわよ!ぐずぐずしてたら、こっちが石像になるわ!」
あたしの号令で、パーティは再び、死地へと足を踏み出すのだった。
ロックリザードの巣に突入する決意を固めました
あとは、やるだけ
次回が楽しみです
では、また(っ'~')っ