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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第6部:ロックリザードの巣窟編
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第53話:戦闘(ロックリザード)のうた


亀裂から現れた黄金の瞳が、あたしを射抜く。

考えるより先に、あたしは地面を蹴って、横に飛び退いていた。あたしが元いた場所を、岩石のような巨大な顎が、牙を剥き出しにして噛み砕く。ガキンッ!と、地面の水晶が砕ける音が響いた。


「ロックリザードですの!皆さん、外皮が非常に硬いですわ!」


布で口元を覆いながら、ユレノが叫ぶ。


(そんなこと、見れば分かるのよ!)


あたしは悪態をつきながら、双剣を構え直す。呼吸が苦しい。粉塵を吸わないように、浅い呼吸を繰り返すしかない。これじゃあ、長期戦は不利だ。


「フリス、ルエリ!側面から攻撃!」

「で、でも、息が…!」

「そうね。でも、やってね(にこり)」


フリスが怯えているが、今は構っていられない。あたしが正面から注意を引きつけ、その隙に二人が攻撃を仕掛ける。いつものパターンだ。

ルエリの矢が、フリスの大剣が、ロックリザードの側面に叩きつけられる。しかし、鈍い音を立てるだけで、分厚い水晶の鱗に弾かれてしまった。


「ダメだ、マリネ!こいつ、硬すぎる!」

「物理攻撃がほとんど通りませんの!それに、あの上位種の外皮は、魔法への抵抗力も高いはず…!」


ルエリとユレノの絶望的な声。


(えええ、それ、攻撃通らないじゃないの。なにか、弱点とかあるはずよね。あるって言って、お願いします)

あたしが内心で焦っていると、ユレノが何かを思い出したように叫んだ。


「喉元ですの!あの、喉元で一際輝いている鱗!あれがおそらく、魔力の循環を司る『コア』ですわ!そこを破壊すれば…!」


(喉元のコア!)


あたしはロックリザードの動きを睨みつける。確かに顎の下、首との境目あたりに、心臓のように脈打つ、青い光を放つ鱗が一枚ある。狙うは、そこだけ!


「カルラ、一点集中の魔法は準備できる!?」

「はい!でも、詠唱に少し時間が…!」

「シビル、カルラに結界を!ルエリ、あたしが隙を作る!あんたは、そのコアを正確に射抜くのよ!」

「「「了解!」」」


あたしは、再び突進する。今度はダメージを与えるためじゃない。奴に上を向かせるため!

あたしはロックリザードの顎の下に滑り込むと、双剣で顎を力任せに打ち上げた。


「グアアッ!」


巨体が、わずかにのけぞる。無防備に晒される、喉元の青いコア。


「今よ、ルエリ!」


あたしの叫びと、ルエリが矢を放つのは、ほぼ同時だった。

風を切り裂き、矢は寸分違わず、青いコアの中心に突き刺さる!


パリンッ!


コアに、蜘蛛の巣のような亀裂が走った。


「カルラ!」

「いきますう!『闇の穿槍ダーク・ジャベリン』!」


詠唱を終えたカルラが、杖の先に生み出した漆黒の螺旋槍を、一直線に放つ。

槍は、亀裂の入ったコアへと吸い込まれるように着弾した。


声も音もなく、ロックリザードの黄金の瞳から光が消え、そして、倒れ伏した。

ロックリザードの鱗が、青白く美しく、ほんのりと光を放ち始める。


「このロックリザードの鱗を採取しましょう。高額で引き取って貰えます」


ユレノの言葉で、あたし達はロックリザードの鱗を回収した。


(初っ端から、厄介な相手だったわね。この調子だと、先が思いやられるわ。ああ、予想通りすぎるじゃないの。やっぱり、戻るべきだったわ)


早速、ロックリザードの洗礼を受けた一行

この先も、なんとか乗り越えられますかね?

そんな期待を込めつつ……


では、また(っ'~')っ

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