表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第6部:ロックリザードの巣窟編
54/60

第52話:トンネルの先は鉱石の森のうた

いよいよ、トンネルの中に入りました

はたして、トンネルの先には、なにが待ち受けているのでしょうか?


では、お楽しみください(っ'~')っ


結局、あたしはやる気に満ちたフリスに引きずられるようにして、不気味なトンネルへと足を踏み入れた。

中はひんやりと湿っていて、壁からは絶えず水滴が滴り落ち、不規則な音を立てている。


「ユレノ、この先は本当に安全なんでしょうね?」

「文献によれば、危険なのは生態系そのものですの。トンネル自体に罠があるという記述はございませんでしたわ。おそらく、大丈夫かと」

「その『おそらく』ってのが、一番信用できないんだけど……」


あたしは悪態をつきながらも、双剣の柄に手をかけ、警戒レベルを一段階引き上げる。シビルが詠唱した明かりの魔法が、あたしたちの進む先をぼんやりと照らし出していた。


トンネルは、思ったよりも長い。

どれくらい歩いただろうか。あたしの集中力が切れかけた、その時だった。


「なあ、マリネ。この壁、何か描かれてないか?」


ルエリが、壁の一点を指さす。

あたしたちが近づいてみると、確かにそこには、苔と風化でほとんど消えかけた、古代の壁画のようなものが描かれていた。


「これですの!」


ユレノが、興奮したように声を上げる。


「古代文献に記されていた、『意味の解読不能な壁画』! まさか、本当に存在するなんて…」


彼女が言うには、この壁画はあまりに古く、描いた民族も、その意味も、何一つ分かっていないらしいわ。

あたしたちは、シビルの明かりを頼りに、壁に沿ってゆっくりと進んだ。壁画は、途切れ途切れに続いていた。そこには、森林に囲まれて暮らす人々の姿や、巨大な見た事のない獣と戦う勇猛な戦士たちの姿が、素朴ながらも力強いタッチで描かれている。


(へえ……。大昔にも、あたしたちみたいな冒険者がいたのかしらね)


そんなロマンを感じさせる光景が、延々と続いていた。

あたしが、その古代の営みに思いを馳せていた、その時だった。


「…マリネ、光だ」

「やった、出口だ。マリネ、早く行こう!!」


ルエリが、前方を指さし、フリスが浮かれている。

壁画が途切れたその先に、不思議な光が差し込んでいる。それは、太陽の光とは明らかに違う、虹色にまたたく、どこか人工的な光だった。


(……。出口?なにか変な光ね。これは、気を抜いてはダメなやつね)


「出口みたいね。でも、慎重に。なにか様子が変よ。なにが出てくるか分からないから、皆、気を抜かないようにね」


メンバーが、無言のまま頷く。


そして、全員で息をひそめて、ゆっくりとトンネルの出口へと近づいていった。



そこに広がっていたのは、森、と呼んでいいのか分からない、あまりにも幻想的な光景。

地面から生えているのは、木々ではない。水晶や瑪瑙、翡翠を思わせる、色とりどりの『鉱石の樹木』。葉の代わりに、雲母のような薄い結晶がきらめき、地面には金属質の苔が青白い光を放っている。


「うわぁ…、綺麗…」


カルラが、うっとりと呟く。フリスも、目をキラキラさせて辺りを見回していた。

風が吹くと、鉱石の葉が触れ合い、シャラシャラと涼やかな音を立てる。空気中には、その衝撃で砕けたのか、ダイヤモンドダストのように、光る粒子が舞っていた。


(なに、ここ…。信じられないくらい、美しいじゃない…)


あたしが、その光景にしばし見惚れていた、その瞬間。


「皆さん、息を止めて! その粉塵を吸い込んではいけませんの!」


ユレノの、今までになく切羽詰まった声が響き渡った。


「これは、石化の呪いを帯びた鉱物の粉塵…! 吸い込めば、肺から石になりますわ!」

「なっ…!?」


あたしたちは、慌てて口元を布で覆う。

だが、その混乱を見逃す敵が、ここにいないはずがなかった。


あたしたちが寄りかかろうとしていた、背後の巨大な水晶の塊。

その表面に、ピシリと亀裂が走る。


亀裂は、ゆっくりと左右に開き、中から、爛々と輝く爬虫類の、黄金の瞳が、あたしをじっと見つめていた。

それは、岩に擬態した、この森の捕食者だった。

なんとお、トンネルの中には壁画がありました

あれ、社会の教科書で良く見ましたよね(笑)

いい思い出です


では、また(っ'~')っ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ