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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第4部:牛頭族の楽しいイベント編
46/60

第44話:また逢う日までのうた

それでは、「牛頭族の楽しいイベント編」のエピローグです


お楽しみください(っ'~')っ


こうして、あたしたち「無名の月、異世界編」は幕を……


『閉じないわよ!!』


まだ、報酬を頂いていないわ!!

こんなに頑張ったのに、タダ働きなんて、絶対ダメよっ!!

ボランティアじゃないんだからね。


……。


「ヒロシー、ちょっとお、そろそろ報酬の話をしないといけない時期なのだけど?忘れていないわよね?」

「も、もちろん、わ、忘れてるなんてこと……。あ、あはは……」

「おい、絶対無かったことにしようとしてるわね?そんなことさせないわよ!!逃がさないんだから!!」


(あいつ、絶対誤魔化す気でいやがったわ。報酬は間違っても逃がしたりしないわよ。見てなさい)

あたしは、気を引きしめることにする。


「いーい?ケンタウロスから、美人さん達を守ったのは、あたしたち。分かってるわね?」

「も、もとろんですとも……」

「その後、巣を見つけて、ケンタウロスたちを全滅させたのもあたしたち。ちゃんと素材は採取してきたでしょ?それに現場も確認したわよね?」

「は、はいい……」

「これだけの成果をお見せしたのよ。当然、色つけて、はずんでくれるわよね?当たり前よね?それが、信用ってもんですもんね?」


……。


私ヒロシとしては、正直、もっとマリネさん達に居てもらいたい。

それは、ケンタウロスの件だけじゃない。

マリネさん達が、居てくれるだけで、この世界が明るくなるんだ。


私だけじゃない。

牛頭族の全員が、マリネさん達の残留を願っている。

報酬なんて、実はとっくに準備出来ている。

それを渡すのは一瞬のことだ。


だけど、それをしてしまったら……、、、

マリネさん達ともう会うこともできない。

そんな寂しさから、敢えてとぼけていたのだけれど、やっぱりもう限界なのかもしれない。


マリネさん達には、マリネさん達の住む、居るべき世界が、ある。

それなのに、私達の我儘で引き伸ばし続けてはいけないのだ。

そんなことも、わかっているんだ。


それでも、それでも、まだまだマリネさん達と一緒に居たかった。

一緒に楽しいことをして、笑いあって居たかったから……。

今までとぼけ続けてしまっている。


……。


「分かりました。すみません。報酬が遅くなりました。マリネさん達には、とても感謝しています。こんな言葉では、全然足りないくらい、感謝しています」

「ええ、用意できてるなら、さっさと払ってちょうだいよ。夜逃げされるんじゃないかって、余計な心配しちゃったじゃないの」

「いえ、マリネさん達と別れるのが辛くて、寂しくて、それで引き伸ばしてしまったんです。本当にすみませんでした」


私は、これ以上ないくらいに、深々と頭を下げた。

そんな私に、マリネさんは言ってくれた。


「なに、今生の別れみたいなこと言ってんの。なにかあったら、また来てあげるわよ。ねえ、みんな」

「うん、僕らもここ好きだしね」

「!」

「そんなこと気にしないで、そう言えばよかったのに。何もなくても、遊びに来てくれたらいいわよ。呼んでくれてもいいし。だから、寂しいとか言わないの」


私の目から涙が溢れ、とまることはなかった。

こうして、彼らはこの地を去って行った。

一陣の爽やかな風を残して……。

これで、牛頭族との物語は一区切りつきました

次からは、また新しい物語が始まるでしょう

……、たぶん


では、また(っ'~')っ

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