第44話:また逢う日までのうた
それでは、「牛頭族の楽しいイベント編」のエピローグです
お楽しみください(っ'~')っ
こうして、あたしたち「無名の月、異世界編」は幕を……
『閉じないわよ!!』
まだ、報酬を頂いていないわ!!
こんなに頑張ったのに、タダ働きなんて、絶対ダメよっ!!
ボランティアじゃないんだからね。
……。
「ヒロシー、ちょっとお、そろそろ報酬の話をしないといけない時期なのだけど?忘れていないわよね?」
「も、もちろん、わ、忘れてるなんてこと……。あ、あはは……」
「おい、絶対無かったことにしようとしてるわね?そんなことさせないわよ!!逃がさないんだから!!」
(あいつ、絶対誤魔化す気でいやがったわ。報酬は間違っても逃がしたりしないわよ。見てなさい)
あたしは、気を引きしめることにする。
「いーい?ケンタウロスから、美人さん達を守ったのは、あたしたち。分かってるわね?」
「も、もとろんですとも……」
「その後、巣を見つけて、ケンタウロスたちを全滅させたのもあたしたち。ちゃんと素材は採取してきたでしょ?それに現場も確認したわよね?」
「は、はいい……」
「これだけの成果をお見せしたのよ。当然、色つけて、はずんでくれるわよね?当たり前よね?それが、信用ってもんですもんね?」
……。
私ヒロシとしては、正直、もっとマリネさん達に居てもらいたい。
それは、ケンタウロスの件だけじゃない。
マリネさん達が、居てくれるだけで、この世界が明るくなるんだ。
私だけじゃない。
牛頭族の全員が、マリネさん達の残留を願っている。
報酬なんて、実はとっくに準備出来ている。
それを渡すのは一瞬のことだ。
だけど、それをしてしまったら……、、、
マリネさん達ともう会うこともできない。
そんな寂しさから、敢えてとぼけていたのだけれど、やっぱりもう限界なのかもしれない。
マリネさん達には、マリネさん達の住む、居るべき世界が、ある。
それなのに、私達の我儘で引き伸ばし続けてはいけないのだ。
そんなことも、わかっているんだ。
それでも、それでも、まだまだマリネさん達と一緒に居たかった。
一緒に楽しいことをして、笑いあって居たかったから……。
今までとぼけ続けてしまっている。
……。
「分かりました。すみません。報酬が遅くなりました。マリネさん達には、とても感謝しています。こんな言葉では、全然足りないくらい、感謝しています」
「ええ、用意できてるなら、さっさと払ってちょうだいよ。夜逃げされるんじゃないかって、余計な心配しちゃったじゃないの」
「いえ、マリネさん達と別れるのが辛くて、寂しくて、それで引き伸ばしてしまったんです。本当にすみませんでした」
私は、これ以上ないくらいに、深々と頭を下げた。
そんな私に、マリネさんは言ってくれた。
「なに、今生の別れみたいなこと言ってんの。なにかあったら、また来てあげるわよ。ねえ、みんな」
「うん、僕らもここ好きだしね」
「!」
「そんなこと気にしないで、そう言えばよかったのに。何もなくても、遊びに来てくれたらいいわよ。呼んでくれてもいいし。だから、寂しいとか言わないの」
私の目から涙が溢れ、とまることはなかった。
こうして、彼らはこの地を去って行った。
一陣の爽やかな風を残して……。
これで、牛頭族との物語は一区切りつきました
次からは、また新しい物語が始まるでしょう
……、たぶん
では、また(っ'~')っ