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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第4部:牛頭族の楽しいイベント編
43/62

第41話:遅すぎるのよのうた

勇者抜きで、この大群に立向かう、我らがマリネ姉さん

カッコよすぎです

きっとこのまま全滅、ですね


では、お楽しみください(っ'~')っ


「――やりなさい、カルラ」


あたしのこの一言で、集まっているケンタウロスへの先制攻撃は、成功した。

ケンタウロスたちは、今やパニックのただ中にある。

この期を逃す手はないわね。


「あたしが突入するわ。みんな援護頼んたわ!」

「「おうっ!!」」

「はいっ!!」


意思疎通は、大丈夫ね。


「そこの勇者が復活したら、さっさと突撃させてちょうだい。少しは働いてもらわないとね」

「りょーかい、復活したら即刻放り込んでやるよ」

「まかせたわよー!!」


あたしは、声を置き去りにして、ケンタウロスの群れに突撃するのだった。


茨に囚われ、炎に焼かれ、混乱するケンタウロスたちの群れ。そのど真ん中に、あたしは一陣の風となって飛び込んだ。


狙うは、茨から逃れようともがいている一体。あたしは奴の死角に滑り込み、双剣を十字に振るう。二条の閃光が走り、ケンタウロスの両脚の腱を断ち切った。悲鳴を上げる暇もなく崩れ落ちる巨体。まず一体。


「マリネ、右!」


ルエリの鋭い声。あたしは咄嗟に身を翻す。あたしが元いた場所を、別のケンタウロスの振り下ろしたアックスが叩き潰し、土を抉った。


(危なかった!)


礼を言うより早く、そのケンタウロスの眉間に、一本の矢が深々と突き刺さる。ルエリの寸分違わぬ援護射撃だ。二体目。


だが、敵の数はまだ多い。四方八方から、怒りと憎悪に満ちた視線が突き刺さる。

あたしは双剣を振るい、迫りくる敵刃を弾き、いなし、斬り裂いていく。だが、数が多すぎる。


(キリがない…! 少しずつ、削られてる…!)


シビルの強化魔法がなければ、とっくに地に伏していたかもしれない。

一体を仕留めたかと思えば、二体が襲いかかってくる。あたしが一人で引きつけられる限界が、近づいていた。


「囲め! あの女を囲んで殺せ!」


一体の、ひときわ巨大なケンタウロスが叫ぶ。リーダー格ね!

その号令で、ケンタウロスたちの動きが変わった。混乱は収まり、あたし一人を殺すためだけの、完璧な包囲網が形成されようとしていた。


(まずい、これは…!)


逃げ場はない。四方から迫るアックスの刃。

あたしが、死を覚悟した、その瞬間。


「――そこをどけええええええっ!!」


空気を震わす、馬鹿でかい雄叫び。

次の瞬間、一体のケンタウロスが、まるで砲弾にでも撃ち抜かれたかのように横殴りに吹き飛んだ。


振り返るとそこには、復活したバカ(勇者フリス)が、大剣を担いで立っていた。その目は、もういじけていない。怒りに燃えている。


「よくもマリネを、みんなをいじめてくれたなああああっ!」


(いや、あたしだけよ。みんなは虐められてないわ)


彼は、あたしを守るように前に立つと、包囲していたケンタウロスたちに向かって、ただ一振り、大剣を薙ぎ払った。

轟音。

衝撃波が巻き起こり、フリスの眼前にいた三体のケンタウロスが、紙切れのように宙を舞った。


「「「……!?」」」


ケンタウロスたちに、明らかな動揺が走る。

この好機を、あたしたちが見逃したりしないわ。


「カルラ、ルエリ、シビル!フリスに続きかのよ!一気に終わらせるわ!」


あたしの号令で、パーティは反撃に転じる。

勇者が戦線に復帰した今、もはやこの戦いに、あたしたちの敗北はありえなかった。


なんということでしょう

あのマリネ姉さんが窮地に追いやられるなんて

しかも、そこに颯爽と勇者フリスって

美味しいところを

そして、この戦局の行方は……


では、また(っ'~')っ

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