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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第4部:牛頭族の楽しいイベント編
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第39話:楽しく手加減のうた

確か、残り一体は逃がすんでしたっけ?

ホントにやるのでしょうか


では、お楽しみください(っ'~')っ


(あと一体ね。全く、フリスさえまともならもっと楽なのに……)

あたしは、独り言でつぶやき、そして


「さあ、最後よ。気合い入れていくわよっ!!」

「「「おうっ!!」」」


メンバーの気合いを入れ直す。

そして、全員(あ、一人欠けてたか)で、ソイツと対峙する。

一番デカく、体格も桁違いにどっしりとしている。


「致命傷はダメよ。限界までダメージ入れて逃がすわ。でも、いいの貰っちゃダメよ。慎重によっ!!」

「おいおい、ムチャ言ってる自覚あんの?」

「手加減できるような相手じゃないでしょうよ」

「それなら、さっきのにしときゃよかっただろうよ」


シビル、カルラ、ルエリがそれぞれ文句を言ってる気がするけど、あたしには聞こえない。


「聞こえないわあ。さ、文句ならいくら言ってもいいから、ちゃんとやるのよ」

「「「はあーい」」」


三人の快く納得してくれた返事に満足しながら、あたしは獲物に襲いかかった。

あたしが先陣を切り、大物ケンタウロスの注意を引きつける。奴の狙いはあたし一人。好都合よ!


「カルラ、足止めお願い!」

「はいですぅ!」


あたしの叫びに、カルラが即座に応じる。彼女が呪文を唱えると、ケンタウロスの足元から無数の闇の茨が伸び、その蹄に絡みついた。巨体が動きを鈍らせる。


「ルエリ、武器を狙って!」

「言われなくてもな!」


ルエリが放つ矢が、ハンドアックスを握るケンタウロスの手首を的確に射抜く。致命傷にはほど遠いが、確実に奴の握力を奪っていく。


「シビル、あたしに強化を!」

「とっくにやってる!」


シビルの魔力が、あたしの体を駆け巡る。よし、これで役者は揃った!


あたしは、動きの鈍ったケンタウロスの側面へと回り込み、双剣を振るう。狙いは、急所を外した胴体や太腿。あえて浅く、しかし無数の傷を刻みつけていく。


「グオオッ!」


ケンタウロスが怒りの咆哮を上げ、闇の茨を力任せに引きちぎった。そして、狙いをあたしから、後方のカルラへと変更する!


(まずいっ!)


あたしが前に出ようとするよりも速く、シビルが一歩前に出て、杖を地面に突き立てる。


「聖なる障壁サンクチュアリ!」


カルラの目の前に、半透明の光の壁が出現し、ケンタウロスの突進を寸でのところで防いだ。壁に激突した衝撃で、あたりが揺れる。


「今だ、マリネ!」


シビルの叫び。あたしはその一瞬を見逃さない。

がら空きになったケンタウロスの背後から、渾身の力を込めた双剣の斬撃を、交差させるように叩き込んだ!


「ギャアアアアッ!」


さすがに堪えたのか、ケンタウロスは背中から血を流し、初めて怯んだように後ずさる。その目に、闘志よりも恐怖の色が浮かぶのが見えた。


(よし、そろそろね…!)


あたしは、わざと追撃の手を緩める。

その隙を突き、ケンタウロスはあたしたちに背を向け、一目散に山の奥へと逃げ出した。


「逃げるわよ!ルエリ、追跡の矢を!みんな、距離を保って追うよ!見失うんじゃないわよ!」


あたしの号令一下、『無名の月』の、本当の戦いが始まった。


目論見通り、ダメージ与えて逃がしてしまいましたよ

これで、巣まで案内してくれればいいのですがね


では、また(っ'~')っ

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