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臆病勇者の憂鬱  作者: さらん
第1部:ケンタウロス生け捕り編
4/9

第3話:無謀坊やのうた


「よしっ!!早速行こうよ、みんなっ!!早く早く、支度して出発だよぉ」


遠足に行く幼稚園児の如き、阿呆フリスがはしゃいでいる。

誰だよ、こんなのに勇者としての加護を与えたという、阿呆神は?


そう、フリスが勇者たる所以こそが、どこの誰だか知らない神のご加護らしいのである。

どうせなら、もっとメンタルの強いのにしてくれれば、と、過去に何度恨んだか数え切れない。


(さて、どうしたものかしらね。でも、流石に無視はできないか。これでも、今、ここにいる中じゃ、あたしたちのパーティの実力が一番、だしね。なんで、勇者カスのパーティは、今、この場にいらっしゃらないのかしらね。ホントの実力ナンバーワンなのに、まったく、いつも肝心な時に役に立たないんだから)


そぉーっと、残り3人に視線を向ける。

やっと、3人がこちらに、しかし、ゆったりと近づいてきた。


「やっと、来たわね。それで、どうする?阿呆は行く気よ」

「みてーだな、まったくこの阿呆は、なにも考えちゃいねーし」


シビルはあたしの後を追ってくる。


「でも、実力あるパーティで、今、動けるのは私たちしかいないですっ!!」


カルラは、いつもホントいい子よね。

可愛いわ。


「しかし、ゴブリンの5倍くらいか。まあ、この阿呆が使い物にならなくても、俺たちならなんとかなる、てくらいだけどな」


ルエリは、根拠のなさそうな自信満々で言ったわ。

あたしの目の前は、真っ暗になりかけていた。


(誰か、救世主はいないのかしら。あたしをこの場から、颯爽と助け出して欲しいわ)

と、思考放棄するあたしをおいて、フリスは新米冒険者くんと意気投合しているようだ。

完全にあれは行く気だわ。


なにか、後ろからの視線も痛いわね。そんなにあたしたちに押し付けたいのかしらね、あの受付嬢は。

そして、遠く取り囲んでいるその他の冒険者パーティの皆さんの、期待に満ち満ちた視線が、とても、とーっても、ひっじょーっに、痛いわけよ。


これはあれですか。

あれですよね。

あたしが周囲に期待されながら、首を横に振るという、一世一代の演技をかます場。

これに間違いないですよね。

一度は、断る流れですよね!?


なのに、分かってる。

分かってますよ、このお約束を実行すべきだって。


でも、あたしのメンタルは、そこまで強くなかったわ(泣)


そして、一言発するのが精一杯だったのよ。


「分かったわよ。行けばいいんでしょ?行けば!!」


世の中は、欺瞞で満ちている。

あたしが、悟った瞬間でもある。


ついに、押し付けられてしまったみたいです

可哀想な、マリネ姉さん

でも、既定路線ですから、外せないですよね

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