第36話:双剣乱舞のうた
ケンタウロスとの戦闘が始まります
王国ナンバーツーパーティーの実力は、彼らケンタウロスに通じるのでしょうか?
あ、通じてましたね、あちらの世界で
ま、まあ、とりあえず、お楽しみください(っ'~')っ
あたしの目の前には、一体のケンタウロスがいる。その巨躯があたしを見下ろし、血走った目はあたしを通り越し、背後の牛頭族の美女様たちを捉えているようだ 。
(あたしなんて、眼中にないってか。それは、少しばかり失礼ってもんじゃないの?)
ケンタウロスに求婚されたい訳ではないが、女として完全に無視されるのも、腹が立つ。なにより、冒険者としてナメられるのは、我慢ならない。
「後悔させてあげるわよ、このエロ馬…!」
あたしは鞘から二本の愛剣を抜き放ち、その切っ先を揺らして挑発する。奴が苛立ちの唸り声をあげ、巨大なハンドアックスを振りかぶるのが見えた。大振りね、好都合よ!
あたしは強く地面を蹴り、奴の懐へと一気に踏み込む。振り下ろされるアックスを、左手の剣でガキンッ!と甲高い音を立てて受け流した。腕に痺れるような衝撃が走る。
(重いっ…! でも、がら空き!)
体勢を崩したケンタウロスの胴体へ、がら空きになった右手の剣を、流れるように突き立てた。分厚い筋肉に阻まれる、鈍い感触。それでも構わず、体重を乗せてさらに深く捻じ込む!
「グオオオォォォォっ!!」
ケンタウロスが絶叫し、あたしを振り払おうと暴れる。その衝撃波をまともに受けてしまい、あたしは後方に吹き飛ばされた。
「ちっ、タフなやつ!」
砂煙の中、体勢を立て直すあたしの耳に、風を切る音が届く。あたしのすぐ横を通り過ぎた一本の矢が、ケンタウロスの首筋に深々と突き刺さった。
「グガッ…!」
断末魔の声を上げ、巨体がその場に崩れ落ちる。すかさずルエリが放った、完璧な追撃だった。
あたしは自分の剣を回収しつつ、ケンタウロスがもう二度と動かないことを確認する。
「ありがと、ルエリ。助かったわ」
「おう、任せとけよ。中距離は俺の縄張りだ」
こうして、まずは一体。残り三体だ。
—
一方、フリスは相手の動きなど気にしない。
己の直感を信じ、ただ突き進む。自分は、勇者なのだ。こういう時の勘が外れることはない。そう信じていた。
彼の持つ大剣が、凄まじい風切り音と共にケンタウロスへと振り下ろされる。
(これで終わりだ!)
一刀両断にするはずの一撃。しかし、その輝きはゴッ!という鈍い音と共に、呆気なく止められた。ケンタウロスが、その小さなハンドアックスで、勇者たる自分の必殺の剣戟を、完璧に防御してしまったのだ。
大剣を持つフリスの両腕に、信じられないほどの衝撃が伝わる。そして、彼の心にも。
「だ、ダメだ。俺はやっぱりダメなヤツなんだ。こんなケンタウロス一体も、一撃で倒せないなんて。俺には勇者の資格なんてないんだ…」
再び、我らが勇者様は、戦場の片隅で膝を抱え始めたのだった。
安定のマリネ姉さんと、ルエリ
安定の勇者フリス
予定通りに戦闘は続きます
作戦は無事に達成されるのでしょうかね
では、また(っ'~')っ