第31話:牛頭族の郷のうた
隙間の向こうの世界です
お楽しみください(っ'~')っ
ヒロシについて、隙間の中に入っていく。
正直、心臓バクバクよね。
(未知の世界にでも、繋がってるんじゃないかしら?)
そんな気分すら、感じさせるのよね。
なのに……。
隙間を通ったらあっという間に、何処かの景色の一部になっていたわ。
そう、山の中腹にあたしたちは、ポツンと立っていたの。
「ねえヒロシ、ここはどこなの?」
当然の質問をヒロシに投げかける、あたし。
「ここは、牛頭族の郷の近くだよ。人間が郷に来るのは、とても久しぶりと聞くよ」
「久しぶり?あたしたちの前にも、ここに来た人間が居るの?」
「ふふふ、まあ、詳しいことは街に戻ってからにしようよ。多分、話をしだすと長くなるからさ」
そう言って、ヒロシは先頭に立って歩き出した。
あたしたちも、ヒロシに続いて歩き出した。
と、思ったら近場の虚に入っていく。
そこには、なにか光る模様が地面に描かれていたの。
「ねえヒロシ、これは?」
「これは、街に繋がる魔法陣だよ。この中に入って僕らが詠唱すると、街に戻れるんだ。さあ、君たちも魔法陣の中に入って」
ヒロシの手招きに従って、あたしたちも魔法陣の中に入る。
(大丈夫なのかしら?なんか、不気味に光ってるけど。行ったらすぐに殺されたりしないわよね?)
あたしは、一応警戒しながら転送を待つのよ。
冒険者としての普通の対応よね。
そんなことは、関係なくヒロシが詠唱を始めると、光はさらに輝きを増したわ。
あたしの警戒はさらに高まっていくのよ。
そして、いっそう光が強く輝くと一瞬視界が真っ白に。
……。
「おい、マリネ大丈夫か?」
咄嗟に対策を練ったらしい、シビルがまだ視界が白いあたしにそっと囁いてきた。
「まだ、視界が白いわね。どんな様子か分かる?」
「とりあえず、俺ら以外はいないようだ」
「それなら、この隙に襲われることはなさそうかしらね。……、やっと目が慣れてきたわ」
目が慣れてきて、周りの様子が見えてくる。
ヒロシは、なにか黒いものを目に前にしていて、平気そう。
(あの黒いものは何かしら?あの光に耐えられるもの?あたしにも、貸して欲しかったわ)
愚痴ってしまう。
やっと、全員動けるようになったところで、ヒロシが口を開く。
「どう?もう目は慣れた?初めてだと、慣れるまで少しかかるよね」
「ええ、そうね。あんなに眩しくなるなら、先に言っておいて欲しかったかもね(笑)」
「あ!言ってなかった?ゴメンね。失敗したあ」
(あら、案外素直に謝るのね。実はいい人なの?)
あたしの彼に対する心象が少し変わった瞬間だったのかも知れない。
怪しげな転送陣に説明不足
ヒロシもかなり適当なヤツのようです
この牛頭族の郷では、平穏無事で過ごせるのでしょうか?
え、そんなはずないだろ?
ですよねえ(笑)
では、また(っ'~')っ