第28話:探し人はあなたのうた
「さて、それじゃあ、今日は退散して、また後日ダンジョンに向かいましょうか、皆さん」
あたしは、にこやかにメンバーを引き連れて、出ていこうとした……、のに。
「おい待て。まだ話がおわっとらんだろうが」
「いや、もう十分なお話を伺いました。そのうちダンジョンにも、行ってきますって。勇者フリスを信用してやってくださいよ」
「え?僕一人なの?ねえ、マリネ、着いてきてよお」
(やっぱり子供だな、コイツ)
「はいはい、いい子ね。あなたは、とてもいい子。大丈夫。もうなんだって一人でやれるわよ。自信を持ちなさい」
「こら、なに俺の前で茶番やってるんだ。いいから、全員で行ってこい」
「……はあい」
仕方なく、あたし他メンバーが頷く。
「じゃ、そういう事で、また今度ねえ」
「だから、まだ貧弱の話があるだほうが」
……。
「ちっ、覚えてやがったか」
「聞こえてるぞ。あそこに行ってきたなら、もう事情は分かってるな?」
「超貧乏と噂のあの街は、とても潤ってるってこと?街の外との関わりが薄くて、王国にはその事実が、伝わっていないってこと?それが知れたら、領民の生活が脅かされるってこと?」
「おう、全部理解してくれてるな」
「ええ、理解してますわよ?誰かがワタクシを領主に推薦なさったこと。あたしなら、貧弱を守ってくれると、誰かが太鼓判を押したってことも。ねえ、誰かさん?」
「お?急に言葉遣いが変わったな。貴族らしくていいじゃないか(笑)」
「笑い事じゃないのよっ!!どうしてくれんのよ、この状況。なんか、領民総出でかつぎ上げられちゃったわよっ。大体、なんでギルマスがあの領地にそんなに詳しいのよ?」
「実はな、俺はあの領地の出身なんだわ」
……。
「え?」
「俺はな、あの領地からこの王都に出てきたんだ。そこで、あの噂を聞いて、納得したわけだ。なぜ、あの領地が王国から放っておかれているのか、そして、バレた時の王国の処置とかな」
「それで?」
「俺は、探していた、あの領地の領主として任せることの出来る人材をな」
「ふーん、それでその人は見つかったの?」
「お前、自身のことには、とことん鈍いんだな。それが、お前だよ。もう、領主になったんだろ。俺の故郷をよろしく頼んだぜ、マリネ」
ギルマスは、あたしの両肩を叩きながら、頼んでくる。
「え?どういうこと?」
「つまりギルマスは、リーダーにあの領地を治めるように頼んでるってわけだ」
「そおですよお、ギルマスの探してた人ってが、マリネさんのことなんですう」
「ま、そういうことだな。俺たちはとっくに分かってたぜ?」
(えええっ。そういうこと?)
あたしは、やっとそういう事だと、気づきましたよ。
自分のことになると、全く理解が追いつきませんね
いい加減にしないと、こちらがキレそうです
気をつけてくださいね
では、また(っ'~')っ