第2話:受付嬢のうた
あたしは、イヤな気配を回避するため、ソロリソロリとその場から立ち去る.........
はずだった。
あれ?
なにかに腕を掴まれてる?
てか、引っ張られてる?
いや、待って。
パーティメンバーのところにすら、戻らせて貰えない(汗)
犯人が誰が?
なんて、あたしは知らない、分からない、分かってても知らないんだ!!
パーティメンバーの所まで、逃げなくては!?
なのに、なんでこんなに力強いのよ、リリア。
あんた、受付嬢じゃなくて、冒険者やんなさいよ!!
て、はー。
仕方なく、ホントに、イヤイヤ、あたしは、恐る恐る、リリアの方に振り返るのだった。
(地獄だ.........)
.........
「よかったわね、マリネの期待通りの事件よ!!これは、行くしかないわよね?ね?ね?だって、確かたった今よね、こんな事件を望んでたわよね?(にっこり)」
(ぐっ、いちいち痛いとこ突いてくるわね、相変わらず.........)
「いや、あたしの独断では決められなし?ほら、うちって問題児抱えてるわけだし?ちょーっと、ムリな気がしたり、しなかったり?あは、あははは、あはははは.........」
「あら、でも、フリスくんは行く気みたいよ?ほらっ」
「は?ヤツが、そんなはず.........」
あたしは、またさらに、恐る恐るフリスのほうを振り返る。
そこには、駆け込んできた新米冒険者の傍で、張り切っている阿呆の姿が.........。
(なにしてくれてんだ、あの問題児は)
恨めしそうな目で、ルエリ、カルラ、シビルに視線をやると、全員が揃って目を逸らしやがった(怒)
あたしは、フリスのところまで移動して、阿呆に問いかける。
「ちょっとあんた、そこで何してんのよ!?」
「え、なにって、彼の仲間を助けに行くだろ?当然」
「なぁにが、当然なの!?どうせあんたはいつも通り、後ろで膝抱えてるだけでしょうがっ!!その彼のお仲間とやらを、うちのパーティが助けに行って、誰がホントに助けることになると思ってんのっ!!」
後ろで3人が、あたしに同意しているのを気配で感じる。
「いやだって、彼と彼の仲間たちが、可哀想じゃないか。助けに行ってあげようよ」
「あんたはちょっと黙ってな!!」
あたしは、仕方なく新米冒険者くんに向き直る。
「それで、そいつらはゴブリンと比べて、どれくらいの強さなのさ。それくらいは、分かるんだろ?でなきゃ、誰もそんな危険なとこ、助けに行けねぇーよ」
「そ、そうですねー。見た感じだと、ゴブリンの5倍くらいは強かったんじゃないかと。俺の剣が、皮膚を切り裂くので精一杯でした」
その場の全員が再度怯んだ.........、はずだ。
少なくとも、あたしの腰は確実に引けた。
しかし、ただ1人だけ例外の存在を、あたしは忘れていた.........(合掌)
こういう物語の受付所って、なんでこんな感じで魅力的なのでしょうね?
あたしはあ、話しかけるのもムリです
コミュ障なので……