第27話:呼び出しのうた
「じゃあ、まずゴブリンダンジョンの件からだな。突然ケンタウロスが出てきたわけだ。しかも合計すると、6体もだな。明らかに異常事態だというのは、言わなくても分かるな?」
「いえ、全然、全く分かりません。自分、新人冒険者なもんで(てへっ)」
ギルマスが、静かに睨んでくる。
しかも、後ろから
「リーダー、それはあまりなにもムチャだぜ」
などと、背後から銃撃してくる。
(ちょっとシビルあんた、どっちの味方なのよ。あたしのフォローしなさいよ)
という目で、シビルを睨んでやる。
が、全然応えていないみたいだった。
あたしは、仕方なく諦めて
「それで、それがあたしたちに、なんの関係があるわけ?」
「あるんだよ。当然だろ、ケンタウロス倒して、生け捕りして、牛頭族にも遭遇した。これ以上の関係者が、何処に居ると思ってんだ、お前」
「そんなん、この王都中にごまんと……」
「アホかっ。お前たちだけだろ。ったく、すぐとぼけようとしやがって。逃がさんと言っただろう。諦めな」
「そんな簡単に巻き込まれてたまるかって、何回も言ってるだろ、こっちも!!」
「だからな、もうムリなんだよ。お前らは確定なんだ」
「だから、なんでなのよっ!!あたしらじゃなくても、いいでしょうよ。あのカスにでも頼んであげなよ。あたしが領主になったのが、相当面白くないみたいだし?」
「はあ?ありゃ、違うだろ。分かってねえのかよ、コイツ」
ギルマスが、あたしの後ろの面々に話を振る。
メンバーは全員、「コクコク」と頷いているみたいなのよ。どういうことか、あなた分かる?
「ああ、やっぱりか。まあ、あのバカのことは、どうでもいい。お前らのことだよ」
「だから、なんであたしらなのよ?」
「相手からのご指名だからだよ」
「……は?」
さっぱり分からない。ご指名ってなに?
「つまりな、あのギミック近くの壁にだな、プレートが出てんだよ」
『この場でケンタウロスを討伐し、生け捕りにした冒険者よ。我々のところまで来るがいい』
……。
「ケンタウロスを討伐して、生け捕りにしたのって、勇者カス様ご一行でしたよね?(エヘ)」
「バカっ。ダメなんだよ、お前たちでないと。実際、カスのヤツが名乗り出たんだ。ところがな、お前たちの証言と同じヤツのはずなんだが、『違う、私があったのはお前たちではない。早々に立ち去るがいい』と、追い払われたんだ。
これはほら、お前たちの会った、牛頭族のヤツだろ?だから、お前たちじゃないとダメなんだよ」
「えええーっ。ますますヤダなあ。このまま無視しておこうよ。どうせ、それ以上のことは、しないんでしょ?」
「ダメだ」
「なんでよ?」
「その周辺を、ケンタウロスが数体徘徊してる。あれをなんとかしないと、ゴブリンの生態系に、もう大きな影響が出ている。街にも数体やってくるほどにな」
「はあ」
「だから、もう一度あの場に行って、あの状況を納めてきてくれ」
(えええ、またあ?)
あたしは、内心で泣いた。
というわけで、結局巻き込まれ確定です
マリネ姉さんの受難は続きます
では、また(っ'~')っ