第26話:前哨戦のうた
通された部屋。
そこは、滅多に使われることのない、とても絢爛な部屋だったわ。
こんな部屋が、このギルドの中にあったなんて、知らなかったわ、驚きよお。
とか言って、その実この建物の中なんて、そんなにあちこち入らないわよ、職員じゃないんだから(笑)
え、ならなにも不思議はないって?
その通りなのよ、なにか文句でも?
そんなお約束を通過しつつ、寛いで待っている(ここ重要よ、テストには出ないけどね)と、やっと、目的の彼、ギルマスが入ってきたわ。
「おう、元気そうだな(笑)」
(イラッ)
「……そ、そんな一言ですむかあっ!!あんたねー、言いたいことが山の量だけあるんだからねっ!!」
あたしは、当然の権利を行使するわよ。
「ガーハッハッハッ。まあ、そう熱くなるな(笑)
。そんなだと、俺に言いたかったことを1つ2つ忘れちまうぞ」
「なに、自分だけ落ち着いちゃってんのよ?あたしは怒ってるのよ!!ちゃんと謝罪して、全部説明しなさいよ!!」
ギルマスは、一瞬キョトンとして
「んー?俺は何か怒らせるようなことしたか?」
「何言ってんの?ケンタウロス討伐させて、生け捕りさせて、貧弱領を押し付けたでしょうが!?忘れたとは言わせないわよ?」
あたしが、こんなに明確な証拠を明らかにしてるのに、ギルマスは少し考えたと思ったら
「最初のケンタウロス討伐は、俺は関係ないなあ(笑)。あれはリリアだろ?多分。その件は、リリアに文句言いな(笑)」
(ちっ、どさくさに押し付けようと思ったのに、聡いわね)
「……。バレたわね(汗)。仕方ないわ。ほかの件よ、さっさと謝罪しなさいよ。生け捕りとか、ギミックとか、貧弱とか」
「おお、説明だったな。今から順に説明してや……」
「待って。説明は要らないわ。どうせ面倒事に巻き込まれるだけだもの。そんなのはもう、ゴメンだわ」
ホントに、これ以上はお腹いっぱいなのよ。冒険者しながら、貧弱も面倒みないといけないって、どれだけ罰ゲームなのよ。
なのに……。
「いいや、聞いてもらう。これはもう、お前たちにしか頼めないんだ。何がなんでも、巻き込まれてもらう」
(こいつ、言い切りやがったよ。さて、どうやって逃げ出そうか?)
「えーと、いや、急に用事を思い出したわ。だから、サクッと謝罪だけ受け取って、今日はお暇を……」
「ははは、まあ待てよ。その用事は悪いがキャンセルだな。なに、問題あるなら、俺が一緒に謝ってやるから安心しとけ」
(いや、あんたと一緒だと、大半の人はビビっちゃうから。てか、それだと、この場から逃げられないじゃん。ダメダメ、そんなの許可できない(汗))
「えーと、ほら、ギルマスと一緒だと、お相手様が余計ビビって逃げちゃうから、ね?今日は中断ってことで、さあ、謝罪だけお願いしますっ」
(これで、諦めてくれるはず?)
そぉーっと、ギルマスの顔を伺うと、とてもいい笑顔で仰った。
「悪かったな、強面でよ。それなら、一緒にリリアも付けてやる。これなら、問題ないな。じゃ、順に始めるぞ」
あたしの意思は、全く考慮されなかったのよ。
マイペースなギルマスに、また押し付けられそうです(笑)
なかなか、平穏になりませんね
では、また(っ'~')っ