第25話:勘違いナンパのうた
ついに、ついにこの時がやって来たわ。
王都のギルドの前に到着したのよ。
ヤツに、ギルマスを問い詰めるために、ここまでやって来たわ。
なんの躊躇いもなく、さっさと扉を開けて中に入ると……。
(なんで、コイツがこんなタイミングで、こんな所にいるのよっ!!)
「よお、マリネ。久しぶりだな。どうだったよ、貧乏領地はよ?」
勇者カスが、あたしの目の前に立っている。
(いちいち、鬱陶しいのよね、コイツ。毎回突っかかってきて、一体なんなのかしらね、ホント)
「ええ、そりゃもう、噂に違わぬ悲惨さよ。おかげで、冒険者を続ける理由が、また1つ増えたわよ。こちとら、感激の涙で前が見えないほどよ」
勇者カスは、そこで今までとは違う反応を示したわ。
「ふん、俺たちを差し置いて、活躍を陛下に見せるからだ。……、でも、俺の女になるなら、俺がそのへっぽこ領地を治めてやってもいいぜ。どうだ、悪い話じゃないだろ?」
(コノヒト、ナニヲイッテイルノデスカ?オレノオンナッテ、ナンデスカ?イミフメイ。イミフメイ。シコウヲテイシシマシタ)
あたしが静かに思考停止を起こしていると、勘違い野郎は何を更に勘違いしたのか
「おいおい、嬉しくて言葉も忘れちまったか?そんなに俺のとこに来たかったなら、さっさと素直になれば俺だって、迎えてやったってのに(笑)」
「おい、カス。マリネは俺たちのパーティのリーダーだ。お前なんかにはやらないって、いつも言ってるだろ!!」
(おお、珍しくカッコイイぞ、フリス。そのまま頑張れ。応援してるぞお!!)
「そうですよ。マリネさんは、これから冒険者と領主の二足草鞋で、大変なんですう。貴方と遊んでる暇なんて、ないんですう!!」
「その通りだ。バカなこと言ってないで、道を開けてもらおうか」
カルラとシビルも素敵だわ、ありがとう。
「お前なあ、いい加減、相手にされてないの気づけよ。そこまで来るともう、ギャグにしかなんねーぞ(笑)。顔洗って出直してきな」
トドメは、やっぱりルリエだった。
「みんな、ありがとう。大好きよ」
そっと、心の中で呟いたはずの言葉は、はからずも声に出てたらしい(汗)
「ええ、私も大好きよ、マリネちゃん」
突然、リリアが割り込んできた。
「ビックリしたあ。急に出てこないでよ!!」
「えー、酷いわ、マリネちゃんたら。せっかく呼びに来てあげたのに。ほら、ギルマスに用があるんでしょ?」
(いや、恥ずかしいタイミングで、出てくるからでしょ?)
あたしは思いながら
「そうよ、何処よギルマスはっ!!さっさと案内しなさいよ。だから、こんなのに変に絡まれちゃったじゃない!!」
こうして、リリアについてギルドの奥の部屋に入っていったのよ。
話が進まない(笑)
意外なところで、人気ありますね
では、また(っ'~')っ