小休止:憧れのマリネ様のうた
会議室から出てきた面々、メイドや執事たちは興奮を抑えるのに、精一杯だった。
理由はただ1つ、マリネの凛々しさにあてられたためだ。
冒険者が領主になることは、珍しくないこの世界。
だがそれ故に、当たり外れが大きいのが現実である。
そもそも冒険者あがりは、豪胆なものが多い。
つまり、歯に衣着せぬならば、粗野なのだ。
それは、召使への対応の粗さや、領地の統治への影響が出る。
ここに居る召使は、このように冒険者が領地を賜った場合に派遣されるために、王城に控えている。
王国も、冒険者に領地を与えてなにも面倒を見ないのでは、まったく王国のためにならない。
なにも知らぬ冒険者が、いきなり領地の統治などできようはずもない。そんなことは、分かっていて、敢えてやっているのだ。
目的?
それは、ふふふ。
そして、今回は無名の月が領地に送り込まれたわけだ。
彼らの内面も、実は心臓バクバクだ。
領主がハズレだったら、如何にしてさっさと逃げるか、対策を練る必要があるからだ。
だが、今この時、そんなことを覚えているものは皆無だった。
それどころか……
「かっこよかったね、マリネ様。私今回は大当たりだったわ」
「そうよね、私も完全にマリネ様の大ファンになってしまったわ。絶対このお舘に使え続けるんだから!!」
「ああ、凛々しく在られたわね、マリネ様。あの方こそ、女神様よ」
などなど、メイドたちからの人気が爆上がりだ。
一方、執事たちはというと
「マリネ様、なんと美しく気高い方なんだ。今までの冒険者領主様とは、雲泥の差だ」
「俺は此の先、ずっとマリネ様について行くと決めたぜ」
「私は、あの方の傍に居られるのなら、冒険者に組み込んで頂こう」
と、こちらも大盛況である。
果たして、この事実をマリネ本人が知る日は来るのであろうか
乞うご期待である
という訳で、概ね好評のようですね
なにか、上手く行きすぎな気がしなくもないですが、マリネ姉さんも不幸が続いてますからね
少しは報われて欲しいものです
では、また(っ'~')っ