第20話:一言挨拶のうた
メイドさんたち&執事さんたちを、お待たせしている、この状況。
(なんとか、回避せねば。って、これ、どう見ても詰んでるわよね?なんか、とりあえず一言発しないと、そもそもこの場から脱出すら出来ないよね?仕方ない。いろいろ気になることは、この場を乗り切ってからよっ)
あたしは、即座に決意したのよ。
「はい皆さん、初めまして。私はマリネ。この度、王都の国王様より、この領地を任されることになりました。とはいえ、私たちは統治については素人の冒険者。皆さんには、館の外。つまりこの領地の統治まで、お手伝いをお願い致しますわ。どうかそのお覚悟で、今後ともお付き合いを、よろしくお願い致しますわね」
ふと、気づき、さらに言葉を続ける。
「そうそう、冒険についてきたい人がいらっしゃいましたら、何時でも声をかけてくださいまし。私たちが責任持って、冒険にお連れ致しますわ。では、今度こそよろしくお願い致しますわね」
あたしは、さらっと一言を短めに発した後、一礼したのよ。
なのに、会場から沸き起こる拍手喝采。
当の本人である、あたしがビビりますわ(汗)。
隣では、
「さすがマリネね、こういう時は、ホント頼りになるわあ」
「うん、やっぱりこういう役は、マリネが一番だね」
「うわぁ、素敵だよ、マリネ。さすが僕がいつも頼ってるだけある」
とかとか、勝手なことをほざいていやがります。
自分たちでないから、安心しきって言いたい放題じゃないの!?
さっきのさっきまで、固まりまくってたくせに、喉元過ぎたからって直ぐに調子にのって!!
そこに、スーッとメアリーが、忍び寄ってきた。
「ご挨拶としては、短めかと存じますが、よいスピーチでございました。短めにして頂いたのは、わたくしたち、召使いのためでございましょうから、お小言は申しません。お疲れ様でございました」
メアリーさん、ここで優雅にカーテシーを決めてくださる。
(さすがねー。優雅さと気品を兼ね備えた、美しい所作だわ)
と、メンバー全員で呆けていたのに……。
どなたか、背後に立たれた模様。
この気配は、『メアリーさん』。
予想は、……的中して欲しくなかった。
「皆さんも、早くこれくらい出来るようになって下さいね。いえ、なにかとても鍛えがいのある方たちのご様子。このメアリー、明日からを思うと、夜しか眠ることができそうもありません」
(いや、十分だろ!!というツッコミはさすがに、まだできる訳もなく……。
メアリーさんは、どんどん続けて
「それと、あのような言葉遣いが、おできになられるとは、存じておりませんでした。謹んで、お詫び申し上げます」
メアリーさんの、優しい微笑みと地獄のお告げが、お迎えしてくれました(合掌)。
こうして挨拶まで致しました
なかなかの滑り出しです
召使いさんたちには、どう受け止められたのでしょうか
乞うご期待(笑)
では、また(っ'~')っ