第19話:領主様のうた
受け取らないわけにいかないご褒美……。
仕方ないので、一目見るため、やって来ました『貧弱』領。
領主館にご到着。
「え?ここ、ホントに貧弱領の領主館なの?」
「おいおい、王都のホームなんか、目じゃないなこりゃ。凄いじゃん」
「ええ?こ、ここがこれからのホームになるんですかあ?凄すぎますう」
「意外と良さげじゃないか。気に入った」
「ええっ!!こんな凄いとこにこれから住めるの?僕、こんな立派な家に住むの初めてだよ」
みんな、それぞれ想像より豪奢な領主館に、心を奪われた様子である。
でも、一体どういうことなの?
とりあえず、館に足を踏み入れてみる。
と、そこにはズラッとメイドさんと執事さんが!!
「はっ、場所間違えた?ごめんなさい、すぐ退散しますぅ」
と、逃げようとしたところ
「「「おかえりなさいませ、ご領主様」」」
と、一斉に声を掛けられ?
「え?」
と、立ち止まる、しかないよね?
(なんか、ヤバい集団に囲まれてない?大丈夫なの?これは……)
そんな心配を他所に、執事長みたいな人と、メイド長みたいな人に、あたしは捕まり……。
(やっぱり、やっちゃったんだ、あたし。何やらかしちゃったんだろ……?)
もう、心臓バクバク。
そして連れてこられた、会議室。っぽい部屋。
広い。こんな広い会議室は、ギルドでも見たことない。
そこに、あたしたちと、さっきのメイドさん、&、執事さんたち。
皆さん、大変余裕そう。
対するあたしたち、緊張で全員が固まってる。
執事長さん(仮)と、メイド長さん(仮)が、あたしたちの眼前に進みでる。
「お待ちしておりました、領主様。わたくしは、この度この館の執事長を賜りました、セバスチャンと申します」
「ご挨拶の許可を、領主様。わたくしは、メイド長のメアリーと申します」
「「以後、よろしくお願い申し上げます」」
メイドさんたち、執事さんたち、全員が先頭の2人に合わせて、一礼する。
(うわあ、壮観だわ)
あたしの呟きも、当然というものでしょう。
メンバー4人は、まだ固まっているようですね。
(あれ?ちょっと待って?あたしたち5人よね。領主様って、誰?まさかの5人の合議制なんてこと、有り得るの?)
とか、考えていると、セバスチャンが、明らかにあたしを見て
「では、領主様、ここに控えているもの達に、一言賜りたく存じます」
「……、え?」
あたしの笑顔がひきつる。
今度はメアリーが、
「はい、ですので、貧弱領、領主マリネ様、どうか、わたくしたち、この館の者に、一言ご寵愛を賜りたく、よろしくお願い致します」
「え、ええぇぇえ。あた、あたしが領主様やるの?」
(勘弁してください。神様、仏様、この際、あのキモ王様でもいいから、どうか助けて……)
という、あたしの心の叫びは、誰にも届くことはなかった。
貧弱領の視察に来ましたマリネ姉さんたち
なにか、思っていた雰囲気と違ったみたいですね
大丈夫なのでしょうか?
では、また(っ'~')っ