第18話:ご褒美のうた
あれから、ギルドと王城から派遣された衛兵とで、例のケンタウロスは王城まで、運ばれたらしい。
あたしたちが、たった5人で運んだってのに、そんな大袈裟な、とは思ったけれど、まあ、王様の趣味のためだものね。あれ以上キズを付けないためなのでしょうね。
ホント、皆様も大変でございますわね(笑)。
そんなこんなで、今、あたしたちはギルマスと、再び謁見の間にひれ伏しております(嘘、片膝ついてるだけよ)。
今回呼び出された理由?
当ててご覧なさいよ、すぐ分かるでしょ?
そうよ、見事にケンタウロスを生け捕りして、差し上げたからよ(エッヘン)。
普通に考えたら、これはお褒めの言葉とご褒美を頂ける流れよね。
ワクワクするわね。
「此度の成果、見事である。さすが、勇者フリスを擁する無名の月よ。天晴であった。其方らに依頼した世の目も、節穴ではなかったということよな」
(え?押し付けたのはギルマスだし、苦労はあたしたちしかしてないのに、王様の成果なの?)
あたしが内心でディスっていると、まわりの家臣様たちは……、
「まったくですな。陛下のご慧眼、恐れ入りまする」
などと、大きな太鼓を持っていらっしゃる。
「流石は陛下でございます。あの勇者カスに依頼しなかったのは、正に陛下の判断によるもの。これより、陛下の威厳もさらに高まるというもの。ご立派な決断でございました」
と、こちらも美味しそうな胡麻がたくさんすられてます。
「やはり、貴公たちもそう考えるか。うむうむ、流石である」
陛下も、もう素晴らしくご満悦ですね。
「さて、勇者フリスと無名の月よ。其方たちには、褒美を取らせよう。大臣」
王様の目配せにより、担当大臣様一歩前へ。
「勇者フリス、及び無名の月に、以下の褒美を与えるものとする。
一、王都隣の『貧弱』の領地
一、『貧弱』を治めるための家臣一同
一、金貨5万枚
以上」
……。
(え?……。いま、何をくださるって言ってた?あの農地その他、ほぼ全ての生産物が貧弱な、あの領地、ですって?)
あたしの目の前は、真っ暗になりかけて……。
思わず倒れそうになってしまった。
そんなあたしたちに、ご立派な家臣の御一方が有難く仰る。
「みな、此度は陛下の依頼を、よくぞここまで見事に達成してくれた。陛下より、暖かい褒美を得た其方らも、さぞかし鼻が高いことであろう。これよりも、さらに王国に仕えることだ。大儀であった」
この言葉を合図に、あたしたちは王城から退場した。
誰か、誰かこの悪夢を夢だと言って!!
いや、悪夢が既に夢なのね、ってそんなこと、どうでもいいのよ。
あんな領地頂いてしまって、どうするのよ!!
あたしたちに、領地を治めろって、冒険者に何を求めてるの?
あたしたちは、総員で睨みつける、ギルマスを。
王様からご褒美を頂きました、おめでとうございます
立派な領地ですよ
これでマリネ姉さんも、一国一城の主ですよ
これから、この領地で順調に治めることができるのでしょうか?
そしてなにより、これから先、内政物語に?
気になるところで、これにて
では、また(っ'~')っ