第16話:幽霊のうた
(あー、ホント、めんどうだわ。早くここを抜け出して、銭湯にでも浸かりたいわね)
ギルマスの話しは、長いのよ。もうパワハラだわ、あれは。
「それじゃあ、知ってることを洗いざらいゲロってもらおうか?」
「だから、あたしら脅しても効果ないよ?普通に聞いたら?」
「ちっ、なんだよ。せっかく雰囲気作ってやったのに……」
「現実でそれやったら、面倒臭いだけなんだよ。学びなよ(笑)」
「わーかったよ。それで?」
やっと、ここからが報告になるのね。
長かったわ。こんなに無駄話してるから、いつまで経っても、お忙しいままなのよ。
まあ、あたしの知ったことではないから、気にしないけどね。
「それじゃあ、いいかな?あ、リリアも準備いい?」
「ええ、私はマリネちゃんのお料理も大好きよ?」
(ここって、冒険の報告をする場、でしたよね?なんか、1人だけ違う話題(しかも本題に全く関係しない)を語ってらっしゃるような?)
あたしは、ギルマスの方へ向き直ってから、話を始めるのだった。
「だから、最初に言ったわよ、ね?ゴブリンダンジョン自体が、おかしかったって。でも、大元はあの、ギミックの辺りで間違いないわね。ね、みんな?」
パーティメンバーは、全員あたしに同意して頷いていた。
あたしは、満足して続けた。
「んで、ギミックを前にして、困ってたわけよ。触っても、叩いても、持ち上げようとしても、なあーんの反応もないんだもの。お手上げだったわ」
さらに、同意して頷くメンバーたち。
あたしは、段々調子にのってきたわ(笑)。
「そしたらさー、大変だったのよ、これが。フリスはいじけるし、シビルは怒り出すし、カルラは涙目でしよ?ルリエだけよ、あたしを助けてくれたのは」
「いつ、俺が怒ったんだよ!!」
「え?いま?」
「私、泣きそうになんてなってません!!なりそうでしたけど……」
「あ、なりそうだったんだ(汗)」
「僕はまだ、いじけてなかった!!」
「あれ?そうだっけ?(笑)」
1人、ルリエだけが冷めた目で、あたしたちを見つめていた。
「それで、お前たちはどうしたんだ?結局のとこ」
「まあまあ、そんな感じで途方に暮れてたわけよ。あたしら全員、もう帰ろうかって、言い出しそうなタイミングよね」
今度は全員がちゃんと頷いてくれている。
「そしたらさ、なんかこう、どこかからか、『ピッ』って音がしたのよね。そしたらさあ、なんか壁に隙間ができて、こう『スーッ』って広がってくの」
「隙間が?しかも広かった、か」
ギルマスは、顎に手を当てて、何事か考え込んでいる。
(んー、マンダム)
これ知ってる人って、今どきいるのかしら?
「でさあ、続きいっていい?」
「ん、おお、悪い悪い。続けてくれ」
「んじゃ、続けるわね。そう、その隙間からね……、幽霊が出てきたのよっ!!」
「「「「んなわけねぇーだろっ!!」」」」
いやいや、幽霊は適当すぎですよね〜(笑)
もう少し真面目でもいいかもですね
次回に期待、ですね
では、また(っ'~')っ