第15話:報告という名の脱線のうた
ギルマスとリリア、あたしたちが部屋に入ると、ギルド職員さんが、優しくお茶(って、紅茶よ)をいれてくれた。
とても上品なかほり(香り)がして、幸せな気分になれるわね。
「よく、無事に帰ってくれたな、例を言う。で?中はどうだったよ?」
「最初は普通だったわよ?途中から段々ゴブリンが居なくなってって、最後には全く会わなかったわ」
あたしは自信満々で答える。
「え?……」
「え?……」
あ互いに顔を見合わせ、おし黙る。
「例のギミックを調査してきたんだろ?」
「……?」
「おい、リーダー、あれのことだよ。忘れてるの?」
「え、シビル。なんのことだっけ?」
「変な装置あったよね?何していいのか、分からなくて、困ってたア、イ、ツ」
「ああっ、あれね?そうそう、あれよあれ(笑)。覚えてるわよ、もちろんよね。アハ、アハハハ」
全員の目の白さが痛い……。
「そう言えば、あの人どうなったんだっけ?あの、……、ほら、たし、かあ、そう、ヒロシとかいう人。あの人、どうなったの?」
「いや、俺は知らないな。気づいたら居なくなってたし。カルラ、なんか見た?」
「えー、あたしですかー?全然知りませんよ?フリスさん出ていって、慌ててついて行ってから、見てませんもん」
「そうだよね、気づいたら居なくなってたよね」
シビル、カルラ、ルエリ全員が知らないようだった。
なのに、なぜこの人は……。
「あ、彼なら戦闘始まってしばらくしたら、またあの隙間に入っていったよ?」
あたしたちパーティ全員が、白い目で彼を見やる。
そう、脳天気な勇者フリス様。
「なんでそれを、もっとはやく言わないのよっ!!」
「だって、戦闘中に言えないし、倒してからは、縛るとか引きずるとか……、言う暇なかったよ?」
(がく)。あたしは、この瞬間に、人生最大の疲れを感じました。
そこに、ギルマスが割って入ります。
「おい、なんのことだ?その、なんとかってヤツは、何もんなんだ?」
「さあ?」
あたしも、サラッと答える。
ホントに知らないもんね、答えられないよね?
なのに、ギルマスは額に手をやって、上を向いている。
(え?あたし、なにかいけないことを言ってしまった?ヤバい?)
背中に冷や汗を感じる。
「分からん。順番に話してくれないか?」
「いや、最初からそのつもりだったのに、変な話題をあんたが振るからさ。それで、おかしくなったよね?うん、あんたのせいで、あたしは悪くない。間違いない」
ここで、きっちりとギルマスに責任を転嫁しておくことも忘れちゃダメ。
マリネ姉さんが喋ると、脱線だらけですね(笑)
報告もなかなか進まないようで
次回はちゃんと、報告できますか、マリネ姉さん
では、また(っ'~')っ