第10話:やる気でない依頼のうた
やっと、王城から退去できたあたしたち。
なんでもいいから帰してくれ、だったが、まさかのケンタウロス生け捕り命令。
いや、そもそもですよ?
あの、ゴブリンダンジョンは、ゴブリンが主に出るから、ゴブリンダンジョンなのですよ。
ケンタウロスが出没したのだって、原因不明な訳ですよ。
つまり、何度か通ってりゃいずれ鉢合わせすっかもね、なんて、高確率ぢゃない訳さ。
ひょっとしたら、生涯、ゴブリンダンジョンでは、ケンタウロスに出会わない可能性すらある。
いや、その可能性しかないっ!!
出会える可能性があるなんて、あの阿呆くらいしか考えないだろう。
クソギルマスめ、簡単に巻き込んでくれちゃって、いつか、必ず痛い目に合わせてやる……。
はあ、どうしたもんかしらね。
国王陛下との約束の期限は、1週間。
もう亡命しか、残された手はないかもしれないわね。
いっそのこと、下請けに出しちゃう?
複数のパーティに依頼すれば、どっか1組くらい……。
て、それもダメね。
生け捕りなんて、リスクが大きすぎるわ。
あたしたちくらいしか、この王国ではムリね。
なぜかしらね、こんなにやる気の出ない、依頼は久しぶりだわ。
他の3人と、顔を合わせては、ため息よ。
そんな中、予想通りアイツだけは、妙なテンションでやる気に溢れている。
ホント、羨ましいおツムをなさっているわ。
さて問題は以下の通りね。
①ケンタウロスは、また出現するのか
②どうやって生け捕りにするのか
①は、どうしようもないから、とりあえず②を考えましょう。
て言っても、あれよね。
大体さ、罠とか?手加減して叩きのめすとか?の2択でしょ?
あたしたちだってそうよ。
でも、大きな欠点は、あたしたちの仲間って、罠に精通していないのよね。
つまりは、出たとこ勝負、当たって砕けちゃえ作戦しかなかったわけ。
ま、いつも通りよね。
その方が、みんな気楽ってもんよ。
あとは、運を天に任せて、突撃あるのみってね。
それなのに、勇んで突撃しようとしている、あたしたち『無名の月』を、あのギルマスが呼び出してきたわけよ。
王城でのこともあるし?
勝手にあたしらを推挙してくれちゃった件もあるし?
いい機会よね、普段からギルドはあたしたちを、いいように使ってくれちゃってるから、文句のはとつも聞いてもらわなきゃね。
颯爽と、パーティ全員でギルドへ足を向けたわ。
そして、諸悪の根源ギルマスとあたしたち(主にあたし)は、ギルド本部で対峙したわ。
「よく来やがったな、ガキども。準備は万全か?」
「ええ、どっかの誰かさんの頭をぶっ飛ばしてやるくらいの準備なら完璧よ」
ギルマスとあたしの間の火花に、我が勇者フリス様は、火傷をしていた。
(え、どこまで阿呆なのさ、この人?)
いやあ、視線のぶつかり合いによる、火花
これで、やけどできる人って居るんですね(笑)
これはきっと、ほら、ファンタジー世界だからできることなのでさね?
うん、きっとそう
皆さんも、そう思いますよね?(* ˊ꒳ˋ*)