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ツムギ発明品図鑑

本編のネタバレを含むので、ご注意ください

物語にそって少しずつ加筆・修正していきます。

⚫︎ミストスライムウール《霧獣毛布》


ミストスライムウールは、ツムギがハルのポシェットを修理するために生み出した特別な布だ。素材には、霧羊きりひつじの毛である ミストウール と、強い衝撃を分散する性質を持つ ドゥームスライムの粘液 を使用している。


ミストウールはふわふわで空気をたっぷり含んでいるが、そのままでは弾力が足りず、壊れやすいものを守るには向かない。そこでツムギは、ドゥームスライムの粘液が持つ「衝撃を吸収し、力を分散させる特性」に着目し、ミストウールに染み込ませることで、普段は柔らかく、衝撃が加わるとしっかりと守る布を作り出した。


しかし、試作の過程ではさまざまな問題があった。粘液をそのまま染み込ませるとベタついてしまい、逆に少なすぎると布全体に均等に馴染まず、硬くなりすぎる部分ができてしまう。さらに、スライム粘液を含んだことで 針を通せなくなり、縫い合わせることができない という予想外の問題も発生した。そこでツムギは、霧吹きを使って粘液を細かく吹きかけることで、布全体に均等に広げる方法を編み出しつつ、仕上げの加工として 熱圧着 を試すことにした。


試しに布の端を加熱しながら軽く押し当てると、繊維同士が密着し、しっかりと接着された。熱を加えることでスライム粘液が布を結びつける接着剤のような役割を果たし、縫うことなく形を整えられると分かったのだ。これにより、縫製なしでも丈夫な構造を作ることが可能となり、布の強度もさらに向上した。


現在、POTENのアクセサリーケースとして使用を開始した。ホビーレのナギと精錬屋のガルスがこの布を改良中。より扱いやすい形にするための研究を進めている。ドゥームスライムの粘液は貴重で加工も難しいため、大量生産にはまだ課題が残っているが、改良が進めば、冒険者の防具や壊れやすい道具の保護布としての活用が期待されている。


「ふわふわなのに、しっかり守れる布って、絶対便利だと思うんだよね」

ツムギのそんな想いから生まれたミストスライムウールは、まだ進化の途中にある未来の素材である。


***


⚫︎透輝液とうきえき


透輝液は、ツムギが水晶樹すいしょうじゅから採取した樹液を月影石の粉を加え加工し、開発した特殊な液体だ。時間とともに硬化し、ガラスのような滑らかな質感へと変化する特性を持つ。月影石つきかげいしの粉を加える量を調整することで、粘度を調整でき、用途の幅が広がることが判明している。


特徴

透明度の高さ:硬化後は美しい透明感を持ち、まるで宝石のような輝きを放つ。

硬化性:属性光源によって硬化の速度や質感が変化する。光属性の光を当てると素早く滑らかに硬化し、闇属性の光では表面が曇った質感になる。火属性の光でも硬化はするが、光属性ほどの即効性はない。風や土の属性では硬化しないことが実験で確認されている。

粘度調整の自由度:月影石の粉の割合を変えることで、さらさらの液体から粘土のような固形に近い状態まで変化させることが可能。流し込み成形やコーティング、立体造形まで幅広く応用できる。

魔力伝導性:魔力を通しやすく、魔法具の封入や加工に適している。特に光属性の魔法との相性が良い


用途

装飾品・アクセサリー:透輝液を固めて加工したアクセサリーは、透明感がありながらも軽く、丈夫で美しい仕上がりになる。

コーティング材:さらさらの透輝液を薄く塗ることで、木材などの素材に光沢を与えつつ、耐久性や防水性を向上させる

立体造形・パーツ作成:粘度を調整することで、繊細な彫刻や頑丈な構造物の成形が可能。魔法道具や装飾品の細工に活用される。


開発の経緯

ツムギは、水晶樹の樹液が月影石の上で硬化し、ガラスのようになる現象に着目し、創術の技術を活かして加工の研究を進めた。最初の試作では硬化速度が安定せず、扱いづらかったが、月影石の粉を混ぜることで粘度のコントロールが可能になることを発見。さらに、属性光を使った硬化実験を行い、光属性の光を当てることで短時間で美しく仕上がることが判明した。


市場での扱い

透輝液は商標登録され市場に出回り始めた。また、ツムギも日々研究を進めている。加工方法が確立したため装飾品や魔法具の素材として高い価値を持つようになった。特に、月影石の粉との組み合わせによる粘度調整や、光属性の光を利用した仕上げ加工は、今後さらなる応用が期待されている。


「透明で美しいだけじゃなく、もっと実用的なものにしたい」

ツムギの探求心によって生まれた透輝液は、まだ進化を続けている未来の素材である。


***


⚫︎アタッチメント《Attachment》


アタッチメントは、ツムギが発案し、ジンが試作を進めた取り替え可能なアクセサリーの仕組みである。ツムギの前世に存在したスマートウォッチのベルト交換やスマホケースの着脱構造を参考に、簡単に石や装飾パーツを付け替えられるのが特徴。これにより、気分や服装に合わせてアクセサリーのデザインを自由に変更できるようになる。


特徴


簡単な着脱:専用の台座に固定金具を組み込み、ワンタッチ式のロック機構を採用。特別な工具なしで装飾の交換が可能。

2種類の固定方式:差し込み式は簡単な入れ替え向き、回転ロック式は動きが多い場合や大きな装飾に適している。

サイズ展開:大サイズ(約5cm)はブローチやマント止め、ヘアアクセサリー向け。中サイズ(約2cm)は指輪やイヤリング、ネックレスに適し、小サイズ(約1cm)は万年筆のキャップ装飾や細かいアクセントに使われる。

石の統一規格:円形の枠に収めることで異なる大きさの石も一定の形状に統一。自由なデザイン性を維持しながら、付け替えのしやすさを確保。


用途


装飾品・アクセサリー:ブローチ、指輪、イヤリング、ネックレス、バッグチャームなど幅広く展開可能。

服飾パーツ:マント止めやヘアアクセサリーとしても利用可能。

万年筆装飾:キャップやボディに装着し、魔法具としての効果を持たせることもできる。


開発の経緯


ツムギは「気軽にアクセサリーを付け替えられる仕組み」を発想し、ジンが試作を進めた。強度と使いやすさを両立させるため、何度も試作を重ねている。


市場での扱い


加工技術の確立が進み装飾品や魔法具の素材として高い価値を持ちはじめた。特に、デザインの自由度と実用性を両立させた点が評価されている。


「ひとつのデザインに縛られず、お客様それぞれの『特別』を作れるようにしたい」

ツムギの想いが込められたアタッチメントは、今後さらなる進化が期待される発明である。

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