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悪役令嬢とはなんですの?

作者: 瑞音

「アレクサンドラ・ベランジェ伯爵令嬢、ジュリー・ギュマン男爵令嬢を虐めているというのは本当なのか?」


王立学園の卒業パーティーの最中にわたくしの婚約者であるサミュエル・ゴテルリエ伯爵令息が叫んでいます。

わたくしはアレクサンドラ・ベランジェ。ベランジェ伯爵の娘です。

サミュエル様の隣にいるのは、ジュリー・ギュマン男爵令嬢。

彼らはいつの間にそんなに仲良くなったのでしょうか。

ジュリーとはわたくし、お友達だと思っていたのに…。


「サミュエル様、虐めているとはどういうことでしょうか?わたくしには身に覚えがないことなのですが、ご説明いただけますか?」


すると一人の令嬢がサミュエル様の近くに寄り添いました。

「こちらにいるイザベラ・バルニエ伯爵令嬢が、君がジュリー嬢を虐めているのを見たと言っている」


イザベラ様は一歩前に出ると、

「わたくしはアレクサンドラ様がジュリー男爵令嬢に対して、お茶会のマナーがなっていないと呼び出しをしているのを見ましたわ」


イザベラ様は事あるごとにわたくしにむかって

「サミュエル様にアレクサンドラ様は似合わない、早く別れて差し上げたら」

「サミュエル様にはジュリー様がお似合いよ」

と因縁をつけられてきました。

イザベラ様とは何もかかわりがないのになぜこんなに嫌われているのでしょうか。


「それはジュリー様からお茶会でのマナーを教えてほしいと言われたので、指南していただけですわ」


ジュリー様はギュマン男爵の養女で、元はギュマン男爵のお兄様と侍女とのお子様です。

ギュマン男爵のお兄様は廃嫡になり、平民として暮らしていましたが流行り病でご両親を亡くされたジュリー様をギュマン男爵が養女として迎えたのです。


平民として暮らしていたので、貴族のマナーに疎く、他の令嬢達から嫌味を言われていたところに出くわし、わたくしが助けたことが縁で彼女の為に、学園にいるあいだマナー講師をしてあげていたのです。


するとイザベラ様が

「それだけでなく、教科書を破るなどの嫌がらせ、しまいには階段から突き落とそうとするなど恐ろしいですわ」


「わたくしはそんなことしておりませんわ」


すると、わたくしの隣に幼馴染のエドガール・レーヌ伯爵令息がやってきました。

「イザベラ嬢、その件に関して少しいいかな、デューク報告を」

「はい」


エドガールはなぜかわたくしの従者であるデュークを呼びました。

デュークは娘のわたくしを溺愛するお父様が心配してつけてくれた従者です。


「報告致します。教科書が破られたという日はお嬢様はサロンにおり、その時間帯にジュリー様の教室に行き、教科書を破るのは不可能です。また、ジュリー様が階段から突き落とされそうになった日はお嬢様は図書館に、こちらにいらっしゃるエドガール・レーヌ伯爵令息と一緒におりそれも不可能です」


イザベラ様は怖い顔をしながらこちらを見ています。


エドガール様は悪い顔をしながら、

「実はイザベラ嬢がジュリー嬢を階段から突き落とそうとしているのを見たという証言があるのだけど」


「悪役令嬢のくせに全然仕事しないのがいけないのよ」

イザベラ様は恐ろしい血相でわたくしを睨みながら叫びました。


「悪役令嬢?」


わたくしのことなのでしょうか?


「私はサミュエル様とヒロイン・ジュリーのルートが大好きだったのよ。だから、乙女ゲームのこの世界に転生できて近くでスチルが見れると思っていたのに、悪役令嬢であるアレクサンドラが全然悪役らしいことしないじゃない。物語が進まないから私がジュリーの教科書を破ってあげたの。そしたら、サミュエル様とジュリーの裏庭密会イベントのスチルが見れたから、ジュリーを階段から突き落とせば、卒業パーティーでのアレクサンドラ断罪イベントからのサミュエル様ルートのハッピーエンドスチルが見れると思ったのに」



イザベラ様がよくわからないことを叫んでいますが、

サミュエル様とジュリーの密会とは?


「アレクサンドラが誤解するようなことを言わないでほしいな」

サミュエル様が恐ろしいほど怖い顔でイザベラ様を睨んでいます。


「ひぃ」


「ジュリー嬢と裏庭にいたのは、ジュリー嬢から卒業したらアレクサンドラの侍女になりたいと相談を受けてね、アレクサンドラは結婚したらゴテルリエ伯爵家に入るだろう。だから僕に使用人の応募予定はないかと聞いていたんだよ」


「まぁ、ジュリー本当なの?」


「そうなんです。学園にいる間とてもお世話になったアレクサンドラ様のお役に立ちたくてサミュエル様に私を雇って欲しいとお願いしていたんです」


「イザベラ嬢、僕の婚約者を陥れようとしたことはゴテルリエ伯爵家から抗議文を送らせて貰うから覚悟しておくといい」


イザベラ様は「何で私が」とブツブツ言っていると学園の関係者が来て、

「イザベラ・バルニエ伯爵令嬢、こちらで詳しい話を聞かせて頂きます」

と言ってイザベラ様を連れて行ってしまいました。


「アレクサンドラ、心配かけてすまなかったね」

サミュエル様がわたくしを抱き寄せます。


サミュエル様によるとこの卒業パーティーの出来事はジュリーが言い出したことがきっかけだそうだ。


イザベラ様はわたくしの悪い噂を流していたようで、ジュリーにも

「サミュエル様はアレクサンドラ様よりあなたの方がお似合いよ」

「アレクサンドラ様から奪ってしまいなさい」

と言ってわたくしとサミュエル様を別れさせようとしていたみたい。


「アレクサンドラ様を傷つけるような話を言いふらしているイザベラ様が許せなくて」

プンプン怒りながら話すジュリーが可愛らしくてつい抱き締めてしまいましたわ。


「ジュリー、わたくしの為にありがとう」


「ジュリー嬢、アレクサンドラは僕の婚約者だから少し離れてくれないか」

サミュエル様はムッとした顔をしながらわたくし達を引き離します。


「あはは、君達は相変わらず仲が良いね」

エドガールが笑っています。


「エドガール、君はなぜアレクサンドラとふたりきりで図書館にいたんだい?」

サミュエル様はなぜ怒りながらエドガールを問い詰めてるのでしょうか。


「サミュエル、落ち着いてくれ。ふたりきりではないし、たまたまアレクサンドラと会っただけだよ。全くこんなにサミュエルはアレクサンドラの事が好きなのにイザベラ嬢はなぜジュリー嬢とくっつけようとしたのかわからないよ」




その後、イザベラ様は悪役令嬢やらヒロインやらと訳のわからないことを言っていたそうで、バルニエ伯爵はイザベラ様が精神異常を起こしているとして修道院へ入れることにしたようです。



結局、イザベラ様が言っていた悪役令嬢とは何だったのでしょうか。




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[良い点] 婚約者が主人公を一応好きだという点。 [気になる点] 最後の流れにしたいのなら、最初に不愉快にも不適切な場で叫ぶ必要が全くない。婚約者もご友人も主人公も、全員能天気なのでしょうか。 イザベ…
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