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来孫  作者: 赤坂秀一
第一章 未知との遭遇
8/52

7 未知の世界

お待たせしました第7話を更新しました。


来夢の所為で謎の部屋に閉じ込められた希美を響が救った事で、来夢の存在とタイムマシンの事が希美にバレてしまった。

 希美(のぞみ)さんと一緒に、僕は龍己(たつみ)神谷(かみや)さんの元へ無事戻る事が出来た。


(ひびき)、二人一緒で何してたんだよ!」


 早速龍己からそう突っ込まれた。まったく面倒臭い奴だ!


「何って、僕はトイレに行って、帰りに希美さんと逢ったから一緒に戻って来ただけだ」


 いくら何でも存在しない部屋に閉じ込められていたのを助けたとか言ったところで信じてはもらえないから……



「ふーん、結構長いトイレだこと、お腹でも壊したの?」


 今度は神谷さん…… いや、そんなに長くは無かったと思うけど。


「まあ、そんなに詮索しなくても良いじゃないの! ちゃんと戻って来たんだから」


 流石、水嶋(みずしま)さんって色々訊かないから大人だと思った。


「でも、希美はあとで色々と(とも)に教えてね」


 やっぱり前言撤回!


「智ちゃんごめん、この後行かなきゃいけないとこが出来たから明日でも良い」


 希美さんも水嶋さん相手にそんなに真面目にならなくても……


「えっ、どこに行くの?」


「えっ、えっと……」


 そう訊かれて希美さんは困ったように僕の方をチラチラ見てます。それって変に思われますって……


「もう解ったわよ! ちゃんとあとから智にも説明してね」


「うん……」


 水嶋さんは何を解ったのか、あっさり身を引きました。


 うーん、やっぱり女性はよく判らない。


 オープンキャンパスも終わり僕達は大学をあとにしましたけど、希美さんも一緒です。まあ、今から僕の部屋へ一緒に行く訳だから、だからって変な事をする訳じゃないです! タイムマシンを見に行くためです。勿論龍己と神谷さんには秘密です。


「あれ、冬野(ふゆの)さんも終わりですか?」


 神谷さんがそう訊いたけど、何か不審に思ったのか……


「うん、これから倉橋(くらはし)とちょっとね……」


「えっ、ひょっとしてデート!」


 いや、神谷さんそんなに真顔で言う事では…… それに希美さんの言い方も可笑しくない?


「神谷さんそんなんじゃないから」


 一応そう言ったけど、余計に怪しいかな……


「そうよ、ただ倉橋の部屋にちょっと……」


 希美さん、それも可笑しいですって、何故この二人にそんなことを……


「おい響、冬野さんを部屋に連れ込んで何するんだ!」


 ほら、龍己が瞳を輝かして喰いついて来た。


「変な意味じゃないのよ! ちょっと、そう、教えないといけない事が……」


「冬野さん、響に何を教えるんですか?」


 龍己の目は好奇心いっぱいの目だな。神谷さんは顔を少し赤くしてこっちを見てるし、希美さんが変な言い方をするから……


「あの、勘違いしないでほしいんだけど」


 僕は冷静にそう言うけど……


「だって、冬野さんのさっきの話では……」


「僕は、えっと料理、そう料理をちょっと教えてもらうんです。男一人じゃまともな料理が出来ないから」


 僕は本当に嘘つきだ。


「本当?」


 神谷さんの目が怖い。


「それなら私も一緒に習おうかしら」


 うーん、そこまで言われると…… でも、本当の事は言えないから…… でも、あれ、神谷さんは溜息を吐いて……


「冗談よ! 私も人の邪魔をするほど暇じゃないから」


 神谷さんはそう言ってちょっと俯いた後、僕達を解放してくれた。


「いや、神谷…… 良いのかよ」


 龍己は神谷さんの事を心配してる? この二人ってそういうこと…… まあ、無いか。


「良いの、行くわよ! 倉橋君じゃあね……」


 そう言うと神谷さんと龍己は帰って行った。うーん、あの二人には悪いとは思うけど、巻き込めないから。


 でも、明日学校で訊かれるんだろうな……


 


 私は倉橋と一緒にアパートに到着した。とうと、倉橋の部屋に来てしまった。高三の男の子の部屋…… 良いのかな……


『ガチャ』


 倉橋が部屋の扉を開けると……


「あっ、お帰り早かったね」


 もう、来夢さんは部屋にいた。


「希美さん、どうぞ」


「あっ、はい」


 男の人の部屋なんて、何だか緊張する…… 来夢さんがいるからまだ良いけど……


「ねえ、コーヒーを淹れたから飲んでから行こうか」


「へえ、気が効くんですね」


 倉橋は来夢さんとはどういう関係だろう……


「響君はブラックだよね」


「はい」


 彼のコーヒーの好みまで知ってるの?


「希美さんは?」


「えっ、あっ、私は砂糖とミルクを」


 ちょっと変に思われたかな……


「来夢さんはブラック?」


「ううん、少しだけ砂糖を入れるよ」


 この二人はこの部屋に一緒に住んでるのかな、それとも……


「来夢さんちょっと濃くないですか?」


「えっ、そうかな? 私はこれくらいが美味しいと思うけど」


「希美さんはどうですか?」


「そう言われれば、砂糖とミルクが入っているのにちょっと苦いです」


「あっ、ごめんね、ちょっと濃くし過ぎたかも……」


 そう話ながらコーヒーも飲み終わりましたので、いよいよ行きます。


「それじゃ、そろそろ行こうか」


 そう言うと来夢さんは壁にちょっと大きめのファスナーのつまみを押し付け、下に動かします。すると、上の方の壁がグニャリと柔らかくなって壁に大きな穴が開き、入口が出来ました。


「さあ、どうぞ!」


 来夢さんが先に入った後、私を入口の中に誘います。この壁とか大丈夫なのかな…… 私は不安ながらもちょっとワクワクと期待しているものが大きいです。


 壁の入口を入ったすぐのところにタイムマシンというか形としてはUFOと言えるような物が木々に覆い隠されてありました。


「希美さん、これがタイムマシンだよ!」


 来夢さんは自慢気にそう言いますけど…… これって見た目はUFOです。倉橋がUFOと言うのもわかる様な気がします。私はUFOを間近に見ようと森の中へ足を進めますが……


「イタッ!」


 私は雑草で足を切ってしまいました。


「希美さん大丈夫、血が出てます」


 倉橋がハンカチで私の足の傷口を押さえてくれてますけど、傷口の痛みもだけど、倉橋に足を触られているのも何だか複雑です。


「あっ、倉橋もう大丈夫だから……」


 私がそう言った時、私達はオレンジ色の暖かい光に包まれました。何だかふわっと宙に浮いているような…… これって……


 オレンジ色の光が消えた後、私はいつの間にかワンルームの広い部屋のような場所にいました。


「えっ、ここは?」


「タイムマシンの中よ! 希美さん、足を見せて!」


 来夢さんが、そう言いますけど…… 来夢さんが手に持っている物って拳銃?


「響君、ハンカチを取って!」


「はい、何をするんですか?」


「ちょっとね!」


「あっ、ストッキングが伝線してる。これ、お気に入りだったのに……」


 そう私が言った後、来夢さんが拳銃のような物を私の足に向けます。


「えっ、あの……」


 実際に銃口を突きつけられるって、私は顔面蒼白かも……


「動かないで!」


 銃口から白い光が出て私の足にその光があたっています。すると、私の足の擦り傷はみるみると治り、ストッキングの伝線も綺麗に治りました。


「えっと、これって?」


「あっ、これ? 未来の医療マシンだよ」


「へえ、便利ですね」


 倉橋が興味津々に見てますけどそれって私の足を見てるんだよね、何だか恥ずかしい……


「これはね、ある程度の怪我なら治す事が出来るの」


 やっぱり未来は今以上の最先端の技術があるんだ。


「来夢さん、今度からタイムマシンと部屋を直接繋いだ方が良いと思いますけど」


「どうしたの? 今までは否定的だったのに」


「タイムマシンの周りにアザミが沢山生息してるみたいだから」


「アザミって……」


「タイムマシンの周りに紫色の小さい花があったでしょう。あれの葉っぱがギザギザで棘があるから」


「ふーん、じゃあそうしようか! 響君って植物とか詳しいのね」


 倉橋は普通に来夢さんと接しているけど、彼にとってこの状態は日常なのかな……


「あの来夢さん、これに乗って私達も未来に行ったり過去に行ったり出来るの」


「勿論、行ってみたい?」


「えっ、良いんですか?」


 私が訊く前に倉橋が訊いちゃった。


「但し、上空を飛ぶだけだよ」


「えっ、街には降りれないの」


 私は未来の街を歩いてみたいと思いましたけど……


「うん、それはルールだからね」


 でも、上空から下の様子を見るだけでも楽しいかもね!


「それじゃ、ちょっと行ってみようか!」


 来夢さんが早速そう言ったのでちょっと楽しみです。


「えっ、今から行くんですか?」


 倉橋は未来に興味があったんじゃないのかな……


「響君は何か予定でもあるの?」


「いえ、予定はないんですけど、帰りが遅くなるのは……」


「帰って来る時間は調整出来るから今の時間にも出来るよ!」


「はあ……」


「倉橋、行くって言っても未来に行って、上空を飛んで帰って来るだけだよ」


「まあ、そうなんですけど、希美さんは…… いや、なんでもないです」


 倉橋は何が言いたかったのかな……


「それじゃ、二十三世紀に向かって飛ぶよ!」


「ちょ、ちょっと待って!」


「今度はなに?」


「シートベルトとかは?」


「そんなの無いよ! 大丈夫この中はそんなに揺れないから」


「来夢さん、操縦は?」


「あっ、全て自動操縦だから! スマホに行きたい年数と時間を設定するだけだよ」


「まあ、画期的ですね……」


「それじゃ、行くよ」


 来夢さんは年数を設定してスタートしました。するとタイムマシンは上昇して横に少し揺れたかと思ったけど、後は静かです。


「もう、着いたんですか?」


「希美さん、そんなに早くは着かないよ。さっき上昇してタイムスリップしたから、今は時空の中、もうすぐ着くよ」


 するとちょっとした横揺れがして……


「到着したよ! 二十三世紀にようこそ」


 私と倉橋は外の景色を見たけど、あまりよく判りません。


「あまりよく見えないね」


「うん、結構高度がありますね」


「あっ、モニターで映すね」


 未来の街の様子がモニターに映りました。


「あれ、車はタイヤで走っている」


「当たり前でしょ! 車なんだから」


「いや、未来の車って、宙に浮いて走るイメージが……」


「そんなの映画の見過ぎだよ! でも、乗り物のほとんどはAIが搭載されているから自動制御なんだ。だから運転手は乗っていないんだよ」


「来夢さんも車、持っているんですか」


「ううん、この世界では個人で車を所有している人はいないよ! だってスマホで呼べば二、三分で来るし、車の維持費とかも考えなくて良いし、それに車の燃料を何処で入れるのよ!」


「いや、それはガソリンスタンドでしょう」


「未来の車の燃料はガソリンじゃないよ、水素だから! それに水素スタンドなんてのもないしね」


「それじゃバスとかタクシーが主な交通手段ですか」


「まあそうね、JD5SかBD2Mとか言うんだけどね」


 まあ、私達の時代のタクシーやバスを安い料金で乗ることが出来るシステムのようです。


『ガコン!』


 いきなり大きな音がして大きく揺れました。


「な、なに!」


「どうしたんですか?」


「こちらは時空管理警備局だ! 速やかにハッチを開けなさい」


 えっ、今度はなに! どういう事?


「来夢さん、これは?」


「時空管理警備局! 何だか知らないけど拘束されたみたい。話をするから、あなた達はそこのソファーに座っていて」


「うん、でも一人で大丈夫ですか?」


「うん大丈夫、響君が関わると余計に話が拗れるから」


 来夢さんは一人で話をするみたいだけど、大丈夫なのかな……

来夢のタイムマシンで未来に来た響と希美だが、いきなり時空管理警備局に拘束されてしまった。来夢は犯罪者なのか? それとも……

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